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新型コロナ対策 各党の公約を比較した:ワクチン編

今回の選挙で、新型コロナウイルスの対策は重要な争点の一つとなっています。対策の要の一つ、ワクチンについて各党がどのような政策を掲げているのか、主要8政党の公約を比較しました。

新型コロナウイルスの第6波がこの冬、必ず来ると言われる中で行われる衆議院選挙(10月31日投開票)。

各党は新型コロナに関してどのような公約を掲げているのだろうか?

主要8政党(自民党、立憲民主党、公明党、日本共産党、日本維新の会、国民民主党、社民党、れいわ新選組)の公約を比較した。

まずは、コロナ対策の要の一つ、ワクチン政策について見てみよう。

【ワクチン接種】

政府は11月までに、すべての希望する人への2回の接種完了を掲げている。

自民党は、「希望する方へのワクチン接種を11月早期までに完了します」と、接種完了の時期を明記している。

立憲民主党は、「新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種を希望する人が、一刻も早く、安心・安全、円滑・確実に接種を受けられるよう環境整備と体制確立に全力で取り組みます」とする。

特徴的な政策としては、「リスクコミュニケーションを強化するとともに、最新のエビデンスに基づいて、ワクチン接種の意義、ワクチンの有効性・安全性、副反応に関する正確で具体的な情報を迅速かつ分かりやすく情報発信します」と副反応の可能性も含めた情報提供のあり方について触れている。

さらに、「ワクチン接種や接種意思の有無による誹謗中傷や偏見、差別、いじめ、行動制限、職業上の制限などの不利益が起こらないよう十分な配慮を行い、ガイドラインの策定や周知・啓発、相談体制の整備に取り組むとともに、未接種者への差別を禁止する条例の制定を進めます」と、接種しない人への偏見や差別を防ぐ対策についても踏み込んだ。

公明党は、「新型コロナのワクチン接種について、感染状況を踏まえて来年も無料で実施します。また、ワクチン接種のスピードアップへ、接種の予約や記録管理などについて、デジタル技術を最大限に活用します」と費用負担と、接種を早く進めるためのデジタル活用を盛り込んだ。

日本共産党は、「ワクチンと一体で大規模検査を――大規模・頻回・無料=いつでも、誰でも、無料で」と、ワクチン接種と対象者を限定しない大規模検査を組み合わせた政策を提言。

「日本でも、世界でもワクチン接種後の『ブレークスルー感染』が起きています。感染抑止のためには、ワクチン接種(追加接種を含めて)を安全にすすめるとともに、大規模な検査を行い、感染の火種を見つけ、消していくことが必要です」としている。

日本維新の会は、「市区町村や大規模会場、更には大企業の職域接種に加えて、商工会議所や協会けんぽとも連携した中小企業の職域接種も実施し、国全体でのワクチン接種を加速化させます」と中小企業での職域接種も提案している。

国民民主党は、「ワクチンを地域・年代に着目して戦略的に重点配分」と配分の仕方について触れ、「12歳未満のワクチン接種に関する検討の開始」と子どものワクチン接種についても言及している。

れいわ新選組は、「副反応の可能性について、すぐに因果関係なしとすることには無理があります。私たちは知見が積み上がり、十分な医学的・科学的判断が行えるまでの間に発生する副反応疑いに関しても、柔軟に積極的かつ十分な救済を行います。副反応・副反応疑いに関する情報の透明性の確保、公開の徹底により、人々が接種・非接種の判断をしっかり行えるようにします」と、副反応の可能性について注目する。

社民党は、公約で触れていない。

【3回目接種(ブースター接種)】

2回目の接種以降、時間が経つと抗体価が下がることがわかっている。3度目の接種である「ブースター接種」をどうするかが注目されている。

自民党は、「エビデンスに基づき、3回目の追加接種等について必要な準備を進めます」と書き、対象者の範囲や時期については触れていない。

立憲民主党は、ブースター接種については以下のように接種が進んでいない海外の状況にも配慮しながら進めるとし、優先接種の対象者や進め方についても見直すとしている。

「諸外国にも配慮しながら、今後必要とされる可能性のある3度目のワクチン接種(いわゆるブースター・ショット)分をはじめ、この冬以降の接種のためのワクチンの確保や体制整備について、先手先手で備えます」

「今後追加接種を行う場合には、優先接種の対象者や進め方についても改めて議論し見直します」

「ワクチン接種後時間が経過すると、抗体価が大幅に下がるとの調査結果もあるため、希望者への2回目接種終了を前提に、エビデンスを確認し、諸外国にも配慮しながら、医療従事者等への3回目接種を実施するとともに、希望する国民への3回目の接種について早急に検討します」

公明党は、「今後、懸念される感染“第6波”に備え、ワクチンの効果を持続させるための3回目接種の無料化をめざします」と、費用負担に着目した書き方をする。

日本共産党は、「日本でも、世界でもワクチン接種後の『ブレークスルー感染』が起きています。感染抑止のためには、ワクチン接種(追加接種を含めて)を安全にすすめるとともに、大規模な検査を行い、感染の火種を見つけ、消していくことが必要です」(再掲)としている。

日本維新の会は、「科学的根拠に基づき、3回目接種を適切に推進」とする。

国民民主党れいわ新選組社民党は公約で触れていない。

【ワクチンパスポート、ワクチン・検査パッケージ】

ワクチン接種済みの証明や検査での陰性証明によって、社会活動を緩和する「ワクチンパスポート」や「ワクチン・検査パッケージ」の導入は、コロナ対策と経済対策の両立を図る上でも注目の政策となっている。

自民党は、「希望する方にワクチンが行き渡った後、ワクチンの接種記録や検査の結果を活用し、イベントや旅行、大人数での会食等における行動制限を緩和するなど、『新しい日常』を実現します」と、いわゆる「ワクチン・検査パッケージ」を導入することを明記。

「海外でも活用可能な標準を満たす『電子的ワクチン接種証明書』」により経済を動かすとしている。

立憲民主党は、「いわゆる『ワクチン・パスポート』については、接種をできない人や受けない人が差別的な扱いをされるなどの懸念もあることから、慎重に対応し、当面、海外渡航用に限ります。必要な人が社会的・福祉的サービス等を受けられないなどといったことがないように配慮します」と海外渡航用に限るとし、接種できない人や接種しない人への差別的な扱いへの懸念を重視する立場だ。

公明党は、「社会経済活動の正常化に向け、ワクチン接種やPCR検査や抗原定量検査等による証明を活用して、感染防止 策を徹底した店舗での飲食や、旅 、イベント参加などを段階的に拡大する取り組みを進めます」と、ワクチン・検査パッケージの導入を語る。

日本維新の会は、「ワクチン接種を受けることができない者への不当な扱いを防止しつつ、ワクチンパスポートを感染防止措置の一環として積極的に活用します」としている。

国民民主党は、ワクチンの接種証明が入るかは不明だが、「(検査の)陰性証明を持ち歩ける『デジタル健康証明書(仮称)』」で、「自粛生活から解放」をうたう。

日本共産党れいわ新選組社民党は公約で触れていない。

【国産ワクチン】

今回、海外の製薬会社が作るワクチンを確保することも、大きな課題となった。ワクチンを国産で賄える体制づくりは、今後の感染症対策でも注目される。

自民党は、「国産治療薬、国内のワクチンの開発・生産体制の強化を図るとともに、緊急時の医薬品等の供給体制を確立します。緊急事態において、安全性や有効性を適切に評価しつつ、より早期のワクチン・治療薬等の実用化の支援に取り組みます」とした。

立憲民主党は、「国民の生命と安全を守るワクチンを自国で確保するため、ワクチン開発や製造体制強化のための支援を拡充・継続するなど、ワクチンの開発を加速するとともに、安全性を確保するため、予算を拡充します」と予算の拡充についても触れた。

公明党は、「感染収束の切り札となる国産ワクチン・治療薬の迅速な開発・実用化を国家戦略に位置づけ、必要な法整備を行うとともに、早期に実用化を図ります。国内での研究開発から、安全性の確認、迅速な承認、円滑な生産・備蓄までを全面的にサポートする体制強化を行います」と、国産ワクチンの開発を国家戦略として重視する立場を示した。

日本共産党は、「ワクチンや治療薬の研究・開発に対する財政支援、水際・検疫体制の抜本的な強化、予防接種の推進、正確な知識の普及など、感染症の発生をくいとめ、重症化を防止する施策を、国の責任で推進します」

日本維新の会は、「国産ワクチンや治療薬の研究開発・生産体制について、大胆な投資を行うなど安全保障の観点から抜本的に強化し、実用化の際には十分な量が国民に確保・供給できる体制を確保します」と、国産ワクチンの推進を安全保障の問題と位置付けた。

国民民主党は、「国産のワクチン、経口治療薬の開発、承認を加速」とする。

れいわ新選組社民党は公約で触れていない。