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新型コロナ対策 各党の公約を比較した:検査編

新型コロナ対策で不足が指摘され、活用方法についても度々議論が分かれてきた検査の問題。各党がどんな政策を掲げているか、衆院選の公約を比べました。

10月31日に投開票が行われる衆議院選挙では、新型コロナウイルスの対策も主要な争点の一つとなっている。

感染対策の柱として検査のあり方も重視されるが、各党はどのような政策を掲げているのだろうか?

主要8政党(自民党、立憲民主党、公明党、共産党、日本維新の会、国民民主党、社民党、れいわ新選組)の公約を比較した。

検査の活用、これまでも議論に

新型コロナの検査については、感染拡大期の検査の不足や、無症状者への検査の是非、PCR検査以外の検査の活用、陰性証明となり得るかなどが論点となってきた。民間の検査の精度管理も課題だ。

政府の専門家分科会は、感染力を持たない時期にも陽性と出る可能性や、一定の確率で間違った結果が出る検査の限界から、濃厚接触者など感染の可能性が高い人以外の無症状者への検査を原則、推奨していない。

意味のない隔離や、偽りの安心で感染対策が緩んでかえって感染が拡大することを防ぎ、限られた検査や医療の資源を効率的に使うためだ。

体調不良があっても直ちに医療機関を受診できない場合に、学校などでの抗原検査キットなどの活用も始まっているが、感染拡大を抑止する効果は不明だ。

「1日100万件」「いつでも、誰でも、無料で大規模検査」

自民党は、「『無料PCR検査所』の設置、『抗原検査』など在宅検査手段の普及により、経済を動かします」と検査の拡充を打ち出すが、検査の担い手や検査を受ける人の要件には触れていない。

立憲民主党は、「安価で迅速大量に検査できる機器の開発・導入が各地で進むよう、国が支援します」「医療機関等の検査機器購入代金の全額を補助することにより、検査件数の拡大を図ります」「唾液による定性抗原検査の開発を支援し、大量生産により手軽・安価に感染確認ができるようにします」と検査数の拡大を全面的に打ち出す。

検査対象者についても、以下のように大幅に広げる政策を打ち出している。ただし、陽性となった場合の対処方法は不明だ。

「エッセンシャルワーカーの希望に応じて実施する検査について、国が費用を負担して円滑かつ確実に実施するための制度を構築します。その際には、自費で検査した後の精算も可能とします。さらに、感染拡大地域の住民に対するより積極的な検査の実施について検討します」

「濃厚接触者の濃厚接触者も行政検査の対象とします」

「自主的な検査を促進するため、国が費用の支援を行います」

「公衆衛生の視点から、コロナ禍で多発している不審死を含めてPCR検査、遺体解剖の体制を強化します」

海外からの入国者に対する水際対策でも現状よりはるかに厳しい体制を敷くとする。

「入国管理については、入国再開時には当面全ての入国者をホテルで10日間滞在させ、1日目、6日目、9日目にPCR検査を実施し、海外からのウイルスの持ち込みを防ぎます。また、当面は1日最大2千人程度の受け入れ体制を確保し、順次受け入れ人数を拡大します」

公明党は、「検査体制の拡充・強化では、現在1日33万件のPCR検査能力を大幅に拡充し、同100万件をめざします。また、抗原定量検査機器を増産するなど検査体制を抜本的に強化します」と目標値を示す。

検査の大幅拡充を打ち出すが、検査の担い手や検査の要件、陽性となった場合の対処方法は不明だ。

日本共産党は「『PCR検査を広げると医療崩壊がおきる』という内部文書までつくって検査を抑制」と自公政権の検査政策を「科学無視」と批判。

コロナ対策の3本柱の一つとして、「ワクチンと一体で大規模検査を――大規模・頻回・無料=いつでも、誰でも、無料で」と掲げ、こう現状を分析する。

「日本でも、世界でもワクチン接種後の『ブレークスルー感染』が起きています。感染抑止のためには、ワクチン接種(追加接種を含めて)を安全にすすめるとともに、大規模な検査を行い、感染の火種を見つけ、消していくことが必要です」

「ところが自公政権は、『ワクチン一本やり』で、大規模検査を軽視し続けています。この1カ月間をみても、日本の人口当たりのPCR検査数は、イギリスの23分の1、フランスの9分の1、アメリカの8分の1です』

その上で、このような政策を掲げる。ただしこちらも、検査の担い手や陽性となった場合の対処方法については不明だ。

「『いつでも、誰でも、無料で』という立場で、大規模・頻回・無料のPCR検査を行います。感染が集中するスポットを明確にし、国の責任で集中的なワクチン接種とともに大規模検査を行い、リバウンドが起きないようにします」

「職場、学校、保育所、幼稚園、家庭などでの自主検査を大規模かつ無料で行えるように国が思い切った補助を行います」

「傷病手当金のコロナ特例、検査で陽性となった自営業者に対する休業支援金の支給など、検査を受ける人が安心して休むための所得保障を進めます」

日本維新の会は、「感染症法を改正し、国民が検査や医療を受けることができる権利を明確にすることで、安心して日常生活を送れる環境を整備します」と法律改正の必要性を訴える。

国民民主党は、「『無料自宅検査』によるセルフケアで家庭内感染を抑制」「陰性証明を持ち歩ける『デジタル健康証明書(仮称)』の活用」「国による検査精度管理で陰性に『お墨付き』」と3つの政策を打ち出す。

また、「子どもコロナ三策」の一つとして「検査の拡充『見つける』」を掲げ、(1)有症状の子どもの外来受診、(2)無症状者の定期検査、「自宅無料予備検査」を提案する。

れいわ新選組は、コロナ対策の重点政策の一つとして「検査の徹底と保健所体制の強化」を掲げ、「PCR検査最大能力を1日100万回以上に向上へ」「下水PCR検査の推進(下水PCR検査で再拡大の兆しをつかみ、感染者の早期発見・割り出しを面的に加速。保護・入院体制を大幅に拡大します)」という政策を打ち出す。

社民党は公約で触れていない。