• covid19jp badge
  • medicaljp badge

新型コロナ陽性で発症前の人を経過観察 藤田医科大学病院長「国の危機に貢献する使命がある」

新型コロナウイルス感染者の受け入れを決めた「藤田医科大学岡崎医療センター」は、発症前の患者を経過観察します。決断に関わった藤田医科大学病院長がBuzzFeed Japan Medicalの取材に「大学病院は国の危機にも貢献する使命がある」と語りました。

4月に開院予定の救急病院「藤田医科大学岡崎医療センター」(愛知県岡崎市針崎町)が、開院前に新型コロナウイルス (COVID-19)の感染者を受け入れることを決めたニュース。

当面、検査で新型コロナウイルスに感染していることが検査で判明し、まだ発症していない人を受け入れる。

決断に関わった学校法人藤田学園常務理事で、藤田医科大学病院の病院長、湯澤由紀夫さんがBuzzFeed Japan Medicalの単独取材に答え、感染者の受け入れを決めた理由を語った。

「国の危機に大学病院として貢献する使命がある」

検査陽性で発症していない人が対象 19日には受け入れ可能に

湯澤さんによると、今回、岡崎医療センターで担うのは、感染を検査で確認しているが、発症していない人の経過観察。

藤田医科大学病院(愛知県豊明市)から交代で、肺炎を診ることができる呼吸器内科の専門医、感染症専門医、救命救急医の3人の医師を派遣し、感染管理の資格を持つ看護師複数名を常駐させる。

「医療機器は入っていますが、診療行為として使う認可が県からおりる前ですので、発症後の治療はできません。ただ、一般のホテルに滞在するより医療機関で経過を診るわけですから、安全な環境で経過観察できるということです」

発症したら、愛知県の厚生局や県の指導の下、発症後の治療ができる受け入れ病院に速やかに搬送する。藤田医科大学も対象病院の一つだ。

現在、何人を受け入れるかは厚労省と協議中だ。

「400床フルオープンにするのか、一部の病棟だけにするのか、具体的な受け入れ人数は厚労省とこれから詰めます。報道で見る限り、200人から300人の間ぐらいになるのかと考えて準備はしています」という。

17、18日でシーツなどの必要な備品や勤務するスタッフを突貫工事で準備し、19日には受け入れを開始できる状態にする。実際の受け入れ時期は厚労省の連絡待ちだ。

心配なのは人手不足だが、一定の目処はたっている。

「岡崎医療センターについては2年前から準備を進めており、2019年中には4月から働くスタッフも全て決まっていました。その人たちに前倒しで働いてもらう。今回は、特別な感染症なので、藤田医科大学からもしばらく専門の医療スタッフを常駐させますが、大丈夫だと思います」

日曜日に要請 大学病院の使命を考えて翌日には受け入れ回答

藤田医科大学を経営する学校法人藤田学園の星長清隆理事長に厚生労働省から受け入れ要請があったのは、2月16日のことだ。

理事長や湯澤さん、岡崎医療センターの病院長に就任する守瀬善一さんら経営幹部が緊急協議して受けることを決め、きょう17日には厚労省に伝えた。

「藤田医科大学は地域の救急医療を担う病院として、広域災害に対する愛知県に指定される基幹病院にもなっています。感染症が広域災害に当たるかどうかは別にですが、オープン前で余裕があるのだから大学病院として国の危機に対して貢献するべきだという理事長の強いリーダーシップがあり、全員それに賛同したということです」

地域の人は不安に思う可能性もあるが、それへの対処も丁寧に進めるという。

「愛知県や岡崎市、厚労省の皆さんと一緒になって説明することが必要だと考えています。連携しながら、地域の皆さんにできるだけ理解していただくよう努めていきたいです」