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峰宗太郎先生も新型コロナウイルスのワクチンを受けました 体験記と日本のみなさんに伝えたいこととは?

新型コロナウイルスについてウイルス学、免疫学の専門家として積極的に発信を続けている医師、峰宗太郎さん。新型コロナのワクチン2回目の接種を終え、体験記と体験動画を送ってきてくれました。

日本でも医療者で先行接種が始まった新型コロナウイルスのワクチン。

海外で一足先に接種している医師たちから、続々と体験談が届いています。

日本に向けて新型コロナの発信を続け、わかりやすく最新情報を伝えるウェブサイト「こびナビ」を副代表として運営している医師で米国国立研究機関の研究員、峰宗太郎さんも現地時間の2月23日、2回目の接種を終えました。

直後に体験記を送ってきてくれた峰さんに、BuzzFeed Japan Medicalはインタビューしました。

2回目の接種体験記

2021年2月23日(火)にモデルナのmRNAワクチンの2回目の接種を受けてきました。

YouTubeでこの動画を見る

youtube.com

峰宗太郎さんが接種を自撮りした動画

当日は晴天で気持ちの良い日でした。まず職員用カフェテリア内に設置された接種会場へ向かいます。建物に入るためには48時間以内にコロナウイルス感染症の症状がないかの確認をされ、マスクを渡されるというスクリーニング(ふるい分け)を受けます。検査はうけません。

会場へはあらかじめオンライン予約をしてから行くので、混んでいるということはなくスムーズに入ることができました。

受付の場所では、職員がフェイスガード・マスク着用で待機してくれており、まずはIDカードでの身分証明を行って、今回の接種の確認を行います。問診などはありません。

一定の距離を保ちながら接種するブースが空くのを待ちます。ブースはモデルナ社用のブースと、ファイザー社用のブースがあります。前回モデルナ社のものを受けていたので今回もモデルナのブースへ入りました。待ち時間は1分ぐらい。

カーテンで区切られたブース内ではNP(ナースプラクティショナー、診療看護師=医療行為のできる看護師さん)が待機しており、ここでも本人確認が行われます。

そして簡単にワクチンの説明と、今日の体調について聞かれ、アレルギーの既往はないか確認されます。前回、1回目の接種の後に異常はなかったかも聞かれました。すべて問題ないと答え、着席。

いよいよ接種「撮影してもいい?」「もちろん!」

ブース内ではすでにバイアル(瓶)から各シリンジ(注射器)にワクチンを取り分けるなどして準備がされています。すぐに接種できるように工夫されているのですね。

「体験記用に動画を撮ってよいか? 写真もとってよいか?」ときくと “Sure, sure of cause!(もちろんです!)”と慣れた感じで許可してもらえました。

素直に着席したまま袖をまくり、おもむろにiPhoneを構えます。ドキドキ…は特にはせず、たんたんと録画開始。

すばやく左肩を消毒してもらい、ぷすりと注射。ゆっくりと薬液を注入してもらいました。痛みは全く感じません。とくに薬液が入れられる感覚もなし。冷たさもないですね。接種完了ということで絆創膏を貼ってもらいました。

接種後、カードに記載をしてもらいました。うってもらったワクチンのロット番号などが記載されています。「あなたがうった時間は12:10だから12:25分まで待機スペースにいてね」と言われます。

万が一、アナフィラキシー(重いアレルギー反応)などの急性の副反応が起きたらすぐに対応するためです。

待機スペースでもディスタンス(一定の距離)。皆さんは慣れていて静かに待ちます。担当者が見ていてくれています。Twitter上で接種報告などをしつつ、15分待ち。終わったので、椅子を自分で消毒布で拭いて、会場を後に。特に痛みもなにも感じません。

というわけで、スムーズに流れるようにすべての行程は30分以内に終わり、お昼ごはんを食べて研究室へ戻りました。

外はすがすがしい晴天、心もはればれです。

これで少しでも自分が守られていれば、このうんざりするような新型コロナとのお付き合いももうすぐ終わりにできるなぁと感慨深く。同時に科学の進歩に感謝し驚嘆する気持ちと、研究者としては、うーむ、将来こういう大きな仕事に関わりたいなぁと思ったりもしつつ。

日本でも順調にワクチン接種がすすむことも願って、今日の接種はおわりとなりました。

その後12時間が経過しましたが、うった部分に少し違和感がある程度で、特に大きな副反応は出ていない状態です。

接種を終えた峰さんに聞く このワクチン、受けた方がいいですか?

さて、2回の接種を終えた峰さんにBuzzFeed Japan Medicalはインタビューしました。

ーー先行接種した医師が増えてきましたが、体験談を公開する方が多いのはなぜでしょうか? どんなことを読者に伝えたいと考えていますか?

やはり先行して打った医師は、ワクチン接種がしっかりすすむことを願って体験談を公開していると思います。少しでも接種がスムーズに進むことで、このコロナ禍を早く終わらせたいという気持ちが強いとも思いますね。

また、効果も安全性も証明されているワクチンですが、やはりうつと、安心感や安堵の気持ちが生じますね。こういったことも伝えていきたいと感じる人も多いのではないでしょうか。

実際、安心して受けられるワクチンですとしっかり伝えたいですね。

ーー軽い副反応を経験した方が多いようです。また、2回目の接種でより強く感じる人が多いようですが、免疫が発動している姿だと考えてもよろしいですか? こういう反応へ、どんな心構えや心の準備をしておいたらいいかも教えてください。

副反応がなくても免疫の反応はしっかり起こっていますが、副反応は体がワクチンに対して反応しているという傍証とも言えますね。2回目に強く生じる傾向があるのも体の免疫がしっかり反応しているからでしょう。

熱など頻繁におこる副反応は出やすい人と出にくい人がいます。ワクチン接種後に体調に変化があることも前提として予定などは組んでおくのがよいと思いますね。

ーー接種が進んでいるイスラエルやイギリスで早くも接種の効果が報告され、感染予防効果までみられることが報告され始めています。改めてこのワクチンの評価をお願いします。

文句をつけるところが本当にないワクチンであると評価しています。効果も安全性もこれだけの多くの人に接種されて証明されています。

日本では供給量や供給ペースに不安がある程度でしょうか。まずはよく知っていただけば、接種に臨まれる方が多くなると思っています。

新型コロナウイルス感染症自体を軽く見ている人からはワクチンは不要という考えが出てくることはあるかもしれませんが、世界中で多くの方が亡くなり、経済などにも大打撃を与えつづけ、パンデミック状態にある感染症の流行を収束させる有効な一手であることを忘れてはいけません。

「きわめてすぐれたワクチンですよね」と繰り返しになりますが伝えたいと思います。

ーー日本でも医療者の先行接種が始まりました。日本でのワクチン接種の広がりに期待することをお願いします。

とにかく整然と、順序よく接種が進むことを願っています。発症予防、重症化予防に加えて、感染予防効果まであることが証明されつつあります。

うった人が得られる安心感も大きいですし、そのうち流行を拡大させるリスクを減らしながら行動を緩和して元の生活に近づけるようになっていくでしょう。接種率が上がり、安全と、本物の安心が広がることを願います。

ーー最後に4月以降に接種が始まる一般の皆さんにメッセージをお願いします。このワクチン、受けた方がいいですか?

なにとなにをメリットとデメリットとして比較して考慮するかという問題はあるのかもしれませんね。まずはとにかくこのワクチンについてよく知っていただきたいと思います。

ワクチンは科学の粋を集めて作られた公共財でありインフラです。ワクチンは必要性があって開発されているものであり、許容できる安全性があるから認可され、大きな事故がないから接種がこれだけ広がっているわけです。

ただし、それと同時に大事なことは、個々人の選択はそれぞれが納得して決断するべきということです。これは言うまでもないことです。嫌なら受けなくてもよいのです。

その上で…...「受けたほうが良いですか?」という問いに対して、私の個人的な考えからアドバイスするとすれば、「受けられるなら受けたほうが良いですよね」という回答になりますね。

【峰宗太郎(みね・そうたろう)】米国国立研究機関博士研究員(病理専門医)、薬剤師、博士(医学)

京都大学薬学部、名古屋大学医学部、東京大学大学院医学系研究科卒。国立国際医療研究センター病院、国立感染症研究所等を経て、米国国立研究機関博士研究員。専門は病理学・ウイルス学・免疫学。ワクチンの情報、医療リテラシー、トンデモ医学等の問題をまとめている。ツイッター@minesoh で情報発信中。

新型コロナウイルスについても積極的な発信を続けており、この感染症やワクチンに関する正確な情報を届けるプロジェクト「こびナビ」の副代表として運営に関わっている。