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新型コロナで妊婦の労働者の勤務制限 医師や助産師の指導で可能に

新型コロナウイルスの流行で不安を抱えながら働く妊婦が作業の制限や出勤制限を受けることができるよう、厚労省が緊急措置を決めました。

新型コロナウイルスの感染拡大で、働く妊婦に「自分も感染するのではないか」「感染したら胎児に影響があるのではないか」と不安が広がっている。

厚生労働省はこうした不安が健康に与える影響を重くみて、医師や助産師の指導を受けて雇用主に申請した場合、作業内容の制限や出勤の制限などを受けることを可能とする緊急措置を取り入れる方針を決めた。

時限的な措置で、2021年1月31日まで。

男女雇用機会均等法に基づく指針を改正することで対応する。5月1日の労働政策審議会に諮問し、答申が得られれば7日から運用する方針。

妊婦健診などで医師や助産師から健康上の配慮を指導された場合

元々、妊娠中や出産後1年以内の女性労働者は、母子保健法に基づく健診や保健指導で医師か助産師から健康上の指導を受け、それを事業主に申し出た場合、事業主はその指導を遵守することが男女雇用機会均等法で義務付けられている。

時短勤務や時差出勤、妊娠中の休憩や、負担の多い作業の軽減、作業環境の変更、勤務時間の短縮などの指導だ。

医師や助産師は、その指導内容を「母性健康管理指導事項連絡カード」に記入し、それを妊産婦が事業主に申し出た場合、事業主は対応する。

カードの提示がなくても、指導があって申し出た場合は事業主は対応する義務がある。

今回の改正では、それをまだ妊婦への健康影響の実態が不明な新型コロナへの対応にまで広げる。

具体的には、新型コロナウイ
ルス感染症に感染するおそれに関する心理的なストレスが母体や胎児の健康に影響があると医師や助産師から指導を受けたと申し出があった場合には、雇用主は作業の制限、出勤の制限(在宅勤務、休業など)
等の必要な措置を講じる。

妊婦や胎児のリスクは明らかではないが...

新型コロナによる妊婦の重症化リスクや、胎児へのリスクは、まだはっきりしていない。

流産や早産、死産のリスクの増加、胎児に異常が出るなどの報告は現時点ではないが、子宮内での感染疑い例は報告されている。日本産婦人科感染症学会は以下のように、注意を呼びかけている。

「一般的に、新型コロナウイルス以外の肺炎でも、妊婦さんが肺炎になった場合に は重症化する可能性があります。加えて、妊娠中はレントゲン撮影や使用できる薬剤に制限があります」

新型コロナウイルスの治療薬候補として期待がかけられているアビガン(ファビピラビル)は、動物実験で胎児の器官が形作られるのに異常をきたす「催奇形性」が明らかになっており、妊婦には使えない。

こうしたことから、不安を抱えながら配置転換や在宅勤務などができずに働いている妊婦は多いと見られ、心理的ストレスが母体や胎児の健康に与える影響が懸念されていた。

妊娠中の医療従事者への勤務上の配慮を求める署名活動も行われていた。