「赤い手形」を口元につけてプレミアに登場した女優。その意味とは？

ディズニー映画『モアナと伝説の海』で、モアナの声を担当した俳優のアウリイ・クラヴァーリョ。新作ドラマの試写会に登場し、先住民女性に対する暴力問題に光を当てた。

俳優のアウリイ・クラヴァーリョは、ディズニー映画『モアナと伝説の海』で、モアナの声優を務めたことで知られている。

Amy Sussman / WireImage / Getty Images

新作SFドラマ『The Power（原題）』の試写会に、口元に赤い手形のペイントを付けて登場。先住民女性に対する暴力問題に光を当てた。

Theo Wargo / WireImage / Getty Images

アメリカやカナダでは、先住民女性を標的とした暴力が問題になっている。

Sarah Morris / Getty Images

先住民女性への暴力は、「Missing（誘拐）」「Murdered（殺人）」「Indigenous Women（先住民の女性）」の頭文字を取り、「MMIW」問題とも呼ばれている。

全米犯罪情報センターによると2020年、ネイティブ・アメリカンの女性や少女の行方不明者相談は、5295件にのぼったという。

カナダの国家警察に当たる王立カナダ騎馬警察（RCMP）は2014年、過去30年で殺人、誘拐事件の被害にあった先住民女性は約1200人だと報告した。

しかし2023年、パトリシア・ハイデュ先住民サービス大臣は、実際の被害者の数は2014年に発表された数を上回る、4千人にのぼると発言した。

今回、アウリイが試写会で口元につけた「赤い手形」は、声を上げる機会を奪われた先住民女性たちの象徴だという。

Theo Wargo / WireImage, Nurphoto / NurPhoto via Getty Images

ネイティブ・アメリカンを支援する非営利団体ネイティブ・ホープは、赤い手形のシンボルについて、こう説明している。

「赤い手形のシンボルは、この問題について沈黙しているメディアや法執行機関に対する抗議です。声を上げる機会を奪われた行方不明の先住民女性たち、#NoMoreStolenSisters を掲げて戦う先住民女性への抑圧を意味しています」

「#NoMoreStolenSisters」とは、先住民女性への権利迫害の撤廃を訴える運動。世界最大の国際人権NGOである、アムネスティ・インターナショナルが先導している。

朝の情報番組「グッド・モーニング・アメリカ」のインタビューでアウリイは、MMIW問題に「憤りを感じる」と語った。

Theo Wargo / WireImage

「ドラマの撮影地であるバンクーバーで、殺害・誘拐された先住民女性のために建てられた石碑をたくさん見かけました」

「被害者がいるにも関わらず、きちんと捜査が行われている事件が少ないことにも憤りを感じます。警察が、必要な捜査にきちんと財源を当てていないということです」

今までMMIW問題や先住民女性の人権侵害は、社会や政府から見過ごされてきた。アウリイは試写会後にインスタグラムを更新し、「#NoMoreStolenSisters運動に、光を当てることができてよかった」とつづった。

この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳：オリファント・ジャズミン