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【歴史的快挙】「人類には不可能」と言われたシューティング史上最凶ボスをついに人間が打ち破る。12年にわたる死闘にピリオド、達成後は「涙が止まりませんでした」

人類への挑戦状とも言われた弾幕シューティングゲーム『怒首領蜂最大往生』で、12年間破られなかった裏ボス「陰蜂」がついに人間の手で撃破されました。人類初の偉業はどのように成し遂げられたのか、プレイヤーの犀領さんにお話を聞きました。

超高難易度を誇る弾幕シューティングゲーム『怒首領蜂最大往生(どどんぱちさいだいおうじょう)』で、“人類への挑戦状”とまで言われた真の最終ボス「陰蜂(いんばち)」をノーコンティニューで撃破し、史上初の快挙を達成したプレイヤーが話題を呼んでいます。

2012年4月に稼働したアーケード版から12年。これまで誰も達成できなかった偉業に「すげぇ、人間卒業する方が出ちまった」「人ってここまで出来るんだな」など、ゲーマーたちから称賛の声が上がっています。

偉業達成の瞬間(30:10ごろ~)

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【Not the end】怒首領蜂最大往生(xbox360) 陰蜂ノーコンティニュー撃破ALL A-EX / Via youtube.com

これまでの撃破報告はトレーニングモードのみ

人類初の記録を達成したのは、犀領さん(@ifc_srh)。

犀領さんは今回、家庭用ゲーム機(Xbox360)版の『怒首領蜂最大往生』で陰蜂撃破に挑戦。自機は前方攻撃特化型のType A+エキスパート強化の組み合わせを使用し、2024年3月21日18時51分、通しプレイによる撃破を達成しました。

「死ぬがよい」一瞬の判断ミスも許されない攻略中

攻略中の弾幕がすごい場面

そもそも裏ボスだけあって、撃破どころか出現させるだけでも恐ろしく難しい陰蜂。戦いの土俵に上がるためには「ノーミス&ノーボム」「全ステージで蜂アイテムパーフェクト」「一定以上のランク」「一定以上のヒット数」という困難な条件をすべて満たす必要があります。

緊急回避手段であるボムを禁じられた状態で、なおかつ少しのミスも許されない――。ステージを選択してプレイできるトレーニングモードですら、ノーコンティニューでの撃破が確認されたのが2021年。ちなみにそれも、今回の記録を達成した犀領さん自身によるものとなっています。

その後も、理論上は撃破可能なことが確認されていくものの、通しプレイで陰蜂まで撃破できた人はいませんでした。

トレーニングモードでの撃破の様子

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youtube.com

そして、2024年3月21日。ついに犀領さんが記録を達成。今度はトレーニングモードではなく正真正銘、通常プレイでの完全撃破です。

約12年にわたるシューティングゲーマーたちの死闘に、一つの決着がつきました。

ゲーム史上でも快挙といえるこの出来事にSNSでは、

💬  「すごい。これはホントに偉業」
💬  「陰蜂出現させるだけでも日本に何人いるんだよレベル」
💬  「人類はやはり高みに到達してしまいましたか」
💬  「歴史的快挙じゃ」
💬  「感動をありがとうございます!」

など、称賛の嵐。犀領さんを称えるゲーマーからの声が寄せられました。

陰蜂撃破という記録的な偉業を達成した犀領さんに、お話を伺いました

――まずは陰蜂撃破おめでとうございます! X上では「泣きそう」と書かれていましたが、撃破した瞬間、どんな思いでしたか?

「ありがとうございます! 撃破した瞬間は、まず『ようやく繋がった、自分にできるんだ』という安心感が来ました」

「その時は次に向けて気持ちを切り替えたつもりでしたが、撃破報告をした後に見てくださった方々から沢山のメッセージをいただいた時はもう涙が止まりませんでした」

――2021年4月11日に攻略を始めていたと投稿にありました。この間、どれくらいプレイされていたか、覚えている限りで教えていただけますか。

「攻略を始めてからしばらくは継続的にプレイしていましたが、去年の5月から『原神』を遊び始めて完全にハマったので、そこからは本当に最近までシューティングゲームを遊ぶ頻度が激減していました」

「ですので、実際にやっていた期間は約2年だと思います。トレーニングモードしか遊ばない日もあれば数回通しプレイをする日もありましたし、1~2カ月に1回、京都のゲームセンターa-cho(公式サイト)で手元カメラの映像と一緒に収録をさせていただいた日もありました」

「少し前までは全然遊んでいませんでしたが、陰蜂ALLを達成する2日前に同じ『最大往生』で、かやるさんという凄腕プレイヤーの方がB-EX機体で6兆超えかつ陽蜂ALLというとんでもない全一記録を叩き出されてから一気にやる気が満ち溢れ、そこから再びやり始めました」

「ちなみに、『原神』は始めた時から今までずっと大きな心の支えになっています(笑)」

見返したら2021/04/11に攻略を始めてました
ここまでほぼ3年
高専生活半分以上最大だったらしい…w https://t.co/QQqsPoDYyO

— 犀領 (@ifc_srh) March 21, 2024
Twitter: @ifc_srh

――これまで誰も達成できていなかった陰蜂ですが、攻略に挑もうと思ったきっかけのようなものはありましたか?

「攻略を始める前は、同じ蜂シリーズ作品である『怒首領蜂大復活ブラックレーベル』で、裏ボスのザツザの撃破を狙っていました」

「その時にザツザは無事撃破できて満足したので、次に何の作品を遊ぼうか考えた時に、今の実力で陰蜂に挑んでみたくなった、というところがきっかけです」

――陰蜂に挑むにあたって「倒せる」という確信はありましたか。

「正直に言うと、昨日ノーコンALLを達成するまで通しで倒せる確信はありませんでした」

「最初は、YouTubeやニコニコ等に上がっている陰蜂戦の動画をスロー再生して『隙間はあるから理論上は撃破可能』というところから始まりました」

「そこから自分流の陰蜂撃破パターンを考えた上で、陰蜂出現のための道中の大まかな動きを完成させて、2021年12月27日にトレーニングモードで初めて陰蜂を倒した時に『繋がれば理論上行ける』という段階までは行きましたが、それでもまだ通しで倒せる自信はありませんでした」

「2022年9月24日に、a-choで始めて陰蜂を出現させられてから少しずつ現実的になってきたなと思ってはきましたが、それから昨日まで確信に変わることはほぼなかったです」

――今回の初撃破を振り返ってみて、攻略のうえで決定的なポイントのようなものはありましたか?

「前座となる5面ボスのパターン改良、これに尽きます。特に第二形態、通称ジェット蜂の最初の弾幕が本当に難しく、トラウマになったレベルで何度も陰蜂フラグを折られてきました(陰蜂出現条件の一つが5面ボス撃破までノーミスかつノーボム、オートボム発動もアウトだからです)」

「これまではこの開幕の攻撃を『7割運ゲー』の一言で済ませていましたが、本当に撃破したいなら向き合う必要があると考え、よく観察し、少しでも楽な避け方を考えました」

「その結果、開幕で青弾に混じっている赤弾の法則をようやく理解し、『ジェット本体の動きをゆっくり追うように、けれど真ん中の方から動きすぎないように赤弾の広い隙間を縫う』という動きを完成させ、開幕突破率を6~7割まで上げることができました」

ただの運ゲーだと思ってたけどようやく法則を完全に理解した
結論はヤツの動きをゆっくり追う感じにすると良さそう pic.twitter.com/AawdnpfPC6

— 犀領 (@ifc_srh) March 20, 2024
Twitter: @ifc_srh

――ちなみにシューティングゲーム歴はどれくらいですか……?

「記憶が正しければ小学1~2年のころからシューティングを遊んできたので、シューティング歴自体は11~12年くらいです。また、中学2年くらいのころから『東方』シリーズ原作をはじめとする弾幕系を本格的に遊び始めたので、弾幕シューティング歴は約6年です」

――犀領さんから見て、シューティングゲームのどんなところが魅力だと思いますか。

「他のジャンルでも同じことが言えるかもしれませんが、シューティングの魅力は理論が通じるというところだと思っています。自機を使いこなし、敵を観察し、攻撃を理解し、ゲームを理解する。自分的に言うと勉強と同じです」

「ただ練習を繰り返すだけじゃなくて、練習の中で攻略を見つけ、最終的には理論に則って攻略を確立させる。ランダム要素は定期試験で過去問と同じ問題は基本的に出てこないようなものだと思っています」

「そうして努力して上手くなるという過程が楽しくもあり難しくもありますが、自分はそこが魅力だと思います」

――「明日からもまた練習しようか」と投稿されていたのが印象的でした。次はやはりアーケード版での撃破でしょうか。今後の目標をぜひ教えてください。

明日からもまた練習しようか

— 犀領 (@ifc_srh) March 21, 2024
Twitter: @ifc_srh

「『次はアーケード版での撃破』と何度か言ってきましたが、今言い直すなら『アーケード版での撃破』ではなく『a-choで撃破』が今後の目標です」

「a-choは初めて行ったシューティングのあるゲームセンターで、本当に多くの方々にいつもお世話になっている大好きな場所です」

「お会いするたびに自分のどうでもいい話を聞いてくださったり、いろいろなゲームの貴重なお話をしてくださる常連の方々、X繋がりの遠征者の方々や、いつも自分のためだけに録画機材を準備してくださっているスタッフの方には感謝してもしきれないですし、自分はこうした恩を結果でお返しするのが礼儀だと思っています」

「また、アーケード版では本当にもう少しのところまで追い詰めている回もあるので、今後はa-choでの撃破を目指します!」

【Not the end】

怒首領蜂最大往生(xbox360) A-EXで陰蜂ノーコンALLできました!!!!!!!!

しかしまだ終わりではない
これで終わった気でいちゃいけない
次はAC版です
最後は必ずa-choで落とすhttps://t.co/a0I9ylietp https://t.co/hRLFDf7qX4

— 犀領 (@ifc_srh) March 21, 2024
Twitter: @ifc_srh

・・・・・・

人類への挑戦をテーマに、多くの弾幕シューティングを作り続けてきたゲームメーカー・ケイブ。その最後のアーケード作品であり、これまで数知れない人類を叩きのめしてきた『怒首領蜂最大往生』に、人類が本当の勝利を得る――その日が来るまで、ぜひ見守っていきたいですね。

【3月23日追記】

開発元であるケイブの公式X(@cavegames)から、犀領さん宛てに祝福のメッセージが投稿されました。

「犀領さん」

「怒首領蜂最大往生の陰蜂撃破おめでとうございます」

「今回もまたやり過ぎてしまったのか…と不安な日々を送ること12年」

「我々開発側の敗北、そして人類が勝利を掴む日が来ました」

「ここまでプレイし続けてくれて本当にありがとう」

「そして今回の陰蜂クリア改めておめでとうございます! IKD」

ケイブ公式Xより)

Twitter: @cavegames