米インディアナ州で生後3か月の女児が母親の車の中で死亡しているのが見つかり、育児放棄の疑いで母親が逮捕された。
逮捕されたのはレイチェル・マカフィー容疑者。3月4日、妻と娘の行方がわからないとして夫のジョンさんが届け出、警察が捜索したところ、翌日にマカフィー容疑者と車が見つかり、車内にいた娘エマちゃんも発見された。
インディアナポリス市警察は声明を発表し、「救命措置を取ったが、現場でエマちゃんの死亡を確認した」と述べた。司法解剖が行われており、現時点で死因は特定されていない。
母親のマカフィー容疑者は病院へ搬送され、保護責任のある乳児を育児放棄により死亡させた疑いで逮捕されている。この罪に問われた場合、20年から40年の懲役と1万ドル以下の罰金が科される。
夫のジョンさんは地元テレビ局の取材に対し、マカフィー容疑者はエマちゃんの出産後、産後うつとアルコール依存に陥っていたと話している。
「波があります。アルコールが入っていないときはちゃんと聞く耳をもって、話し合いができます。でも酒を飲んでいると、何もかもめちゃくちゃに投げ出して、すべてまたやり直しです」
産後うつをめぐる偏見や悪いイメージは、近年、少しずつ払拭されつつある。それでも、産後の母親が喜びや幸福感とは異なる感情を抱くことがタブーとされる風潮は今も残る。
ニューヨーク在住の精神科医で、女性のメンタルヘルスや産後の問題に詳しいスー・ヴァーマ医師によると、出産後に産後うつを経験する女性は15パーセントほどにのぼる(ヴァーマ医師はマカフィー容疑者を直接診断してはいない)。
「気づかないうちにそうなっているケースが多いです。女性たちは周りから、出産を前に不安になっているだけだよ、赤ちゃんと対面すれば不安は消えるから、と言われるんです」
出産後、「ベビーブルー」と呼ばれる状態を経験する女性は多い。気分の落ち込み、不安、不眠などが短期的に生じる状態だ。数週間のうちに収まる場合が多いが、産後うつはこうした状態が長期的に続く。
産後うつの場合、単に気分が沈むだけでなく、強い悲しみや絶望感を抱き、日常生活に支障が出る。ベビーブルーと異なり自然には解消されず、新たに母親になった女性たちは赤ちゃんとの愛着関係が築けないと感じてしまう。
ヴァーマ医師は次のように説明する。「赤ちゃんに関して不安が募ったり、赤ちゃんが寝ていて自分が疲れているときも眠れない、極度に心配して、眠っている間に赤ちゃんが死んでしまうのではないかという不安が頭から離れない、などがあります。いらだったり、ぼんやりと無感覚になったり、関心や興味を失ったりすることもあります」
原因はいくつもある。ホルモンバランスの変化、睡眠不足、赤ちゃんの世話による疲労、完璧な母親でいなければという社会からのプレッシャー、授乳がうまくいかない、などが挙げられる。一般的には抗うつ薬と治療で対処する。ヴァーマ医師によると、過去にうつになった経験があったり、家族に心の病を抱える人がいたりする場合、産後うつになる確率は高くなるという。
状況に対処する手段として、薬物やアルコールに走る人もいる。
「残念ながら、こうした乱用について多くの人は医師に相談しません。どうせ理解してくれないだろうとか、よく思わないだろう、非難されるのではないか、と考えて、黙って産前や産後も乱用を続けてしまいます」とヴァーマ医師は言う。
「こうした類いの会話を社会が認めないため、妊娠中から問題が解決されないまま、産後にも持ち越されてしまうのです」
よりまれなケースとして、1000人に1人か2人の割合で、産後うつからより深刻な産褥精神病へと発展する場合もある。妄想や幻覚、強い不安や恐怖心、気分の急激な変化などがみられ、自身や赤ちゃんに危害を加えようとする衝動をともなうこともある。
「これはまれで、大変悲しく不運なケースです」
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