コロナ禍で再開した高校。混雑している廊下の写真をSNSに投稿した生徒らに処分

    休校期間を終えた米ジョージア州の高校で撮影された廊下の写真が、ツイッターで拡散した。同校では生徒らにマスクの着用を義務付けておらず、生徒や職員らの中から陽性者も確認されている。

    新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化しているアメリカでは、休校状態だった学校が各地で再開し始めている。

    時期尚早ではという懸念の声も一部ではあるものの、トランプ大統領は再開を進める意向だ。

    そんな中、ジョージア州ダラスにあるノースポールディング高校に通う生徒が8月4日、学校の混雑した廊下の写真をツイッターに投稿した。この写真が拡散したため、少なくとも2人が停学処分を受けたと、生徒らは話している。

    問題となった投稿。「ジョージア州ノースポールディング高校の(休校期間が終わってから)初日の様子です」とある。

    写真には、休み時間に廊下が生徒らで一杯になっている様子が写っている。新型コロナウイルス感染症が拡大を続けている中でも、社会的距離が取れているようには全く見えない。マスクを着けている生徒も、わずかしかいないようだ。

    アカウント @Freeyourmindkid がシェアした後、写真は拡散した。

    別の投稿で写真を掲載した生徒の1人、ハンナ・ワッターズさん(15)は、同じ様子を捉えた動画もツイッターに投稿した。この2件の投稿が原因で、5日間の停学処分を受けたとBuzzFeed Newsに話した。

    ノースポールディング高校の廊下で、多くの生徒らがすし詰め状態になっている

    ワッターズさんは、上の写真に次の言葉を添えて投稿している。

    「ノースポールディング高校が再開して、2日目の写真。本当にひどい状態。あまりに廊下が混雑しているので、途中で動けなくなってしまった。あまりに他の生徒との距離が近く、2時間目の教室に行くまで何回も押された」

    「新型コロナウイルス感染症が拡大している中、これでいいわけがない。もちろん、マスクを着けてる生徒の割合が10%くらいなのは言うまでも無い」

    投稿の翌日である8月5日の正午頃、ワッターズさんは事務室に呼び出された。この写真を投稿したことが、校則に違反していると言われたそうだ。

    「許可なく、SNSに投稿する目的で携帯電話を廊下で使用し、同意無しに未成年者である他の生徒の写真を投稿したことが、生徒の行動規範に違反しているのだそうです」とワターズさんは語った。

    BuzzFeed Newsは、ノースポールディング高校に今回の停学処分についてコメントを求めたが、返答はなかった。

    登校中は携帯電話を使用してはいけない、SNSにアクセスしてはいけない、許可なく録音・録画機器を使用してはいけないと書かれた項目に印がついている

    もう1人の生徒(匿名希望)も、ツイッターに別の写真を投稿したことで停学処分を受けたと、BuzzFeed Newsに明かした。

    しかし、最初に拡散した写真の撮影者が誰か、そしてその人物は学校から処分を受けたかどうかは、不明のままだ。

    8月5日、ノースポールディング高校のゲイブ・カルモナ校長は校内放送で、SNSで学校を批判していると判明した生徒は、懲戒処分を受ける可能性があると発表した。

    ワッターズさんは、自分の学校が「無知の状態で再開されてしまった」ことを啓発するために写真を撮影したと話す。

    「学校が再開されただけではなく、学校の中が安全ではないことも問題です」

    「郡が新型コロナウイルス感染症の対策を義務化しなかったため、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)のガイドラインに従って行動しない人が多いのです」

    顔にモザイクのかかった生徒らが、近距離で廊下を歩いている

    ノースポールディング高校の生徒、教師、保護者らは、学校の再開は時期尚早だったのではとBuzzFeed Newsに話している

    同校は、生徒と職員の中で新型コロナウイルスの陽性者が確認されているにもかかわらず、授業を再開した。授業に出席しなかった生徒は、退学処分を受ける可能性もあるそうだ。

    7月に授業が再開したとき、1人の教師が安全性への懸念を理由に辞任している。

    加えて同校は、CDCがマスクの着用を推奨しているにもかかわらず、マスクの着用を強制しないことを選択している。マスクを着用するかしないかは、「個人的な選択」という認識だそうだ。

    しかし8月8日、ノースポールディング高校の生徒6人と職員3人が、新型コロナウイルスの検査で陽性反応が出ていたと明らかになった。アトランタ・ジャーナル・コンスティテューションABCニュースが報じた。

    ワッターズさんは、クラスで何人の生徒がマスクを着用しているかを集計し、ツイッターに投稿している。全てのクラスで、マスクを着用していた生徒は半数にも満たなかった。ワッターズさん自身は、昼食時を除いてほぼ一日中マスクを着けているという。

    「今回の処分は厳しすぎるとは思いますが、私が校則に違反したことは理解しています」とワッターズさんは話す。学校から懲戒処分を受けたのは、今回が初めてだそうだ。

    南部貧困法律センターで、子どもの権利プロジェクトの上級顧問弁護士を務めるマイケル・タフェルスキ氏は、直ちに今回の停学処分を取り消し、生徒らの記録から処分の履歴を取り消すよう学校に要請している。

    「生徒らは、学校でも憲法上の権利を放棄していません。生徒らに対する処分は、学校側が裁量権を濫用してることになります」とタフェルスキー氏は声明で述べた。

    ワッターズさんによると、ワターズさんの家族は今回の停学処分を取り消すため、学校側と争う意向だという。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。