車椅子が車内のドアを通れなかったため、リーズからロンドンまで一等車両で移動した女性が、2時間以上もの間、トイレを使うことができなかった。
同区間を運行するロンドン・アンド・ノース・イースタン鉄道(LNER)は謝罪し、調査すると述べたが、返金を申し出なかった。
9月25日、障害を持つ医師についてカンファレンスで話すために、研修医のハンナ・バーハム=ブラウンさんは、自宅があるリーズからブリストルに移動していた。
ハンナさんはエーラーズ-ダンロス症候群を患っており、関節が自然と外れてしまうため転びやすい。そのため、足の痛みを和らげ、転倒を防ぐように、標準サイズの車椅子を使っている。「転んでしまうと、大変なことになります」とハンナさんはBuzzFeed Newsに話している。
「皮肉なことですが、私は立ち上がって、障害を持った医師であることがどんなに素晴らしいことかを、カンファレンスで大げさに話してきました。カンファレンスに出向いて、電車移動で悪夢に遭遇するのは、今回で2度目です」とハンナさんは付け加えた。
間際になってハンナさんは一等車を予約し、快適な列車で、サービスの食べ物や飲み物を楽しみながら移動できると楽しみにしていた。
だが、一等車の椅子は幅が広いため、車椅子では車内のドアを通ることができないことが、乗ってから分かった。
「一等車には折り畳み式のテーブルがついた車椅子のスペースがあるのですが、そこまで車椅子ではたどり着けませんでした」とハンナさんは話す。
ハンナさんの足は少しは動くため、自分の場所までたどり着くことはできたが、スタッフの手助けなしでは、車両からの出入りはできなかった。そして、スタッフの助けはなかった。
「動けはするので、一番近い椅子にドスンと座って、車椅子を畳み、席まで移動してから座りました。そこで気がついたのです。トイレまでたどり着けないのです」とハンナさんは話した。
トイレに行けないことが分かったので、食べ物や飲み物を薦められても我慢するほかなかった。
「美味しそうなワインやジンを乗せたワゴンが通り過ぎて行きました。でも、2時間半はトイレに行けないので、飲みたくありませんでした」とハンナさんは続ける。
「スタッフの人に勧められましたが、トイレ自体が障害者用ではなかったため、トイレまで人手を使って連れて行ってもらったとしても、転倒するリスクがありました」
「私の障害は、自然と関節が外れてしまうことなので、足下がおぼつかない走行中の列車でトイレに行くことは、自分自身も手伝ってくれる人も危険な状態にさらすことになります」
「そんなリスクを冒す価値はありません。なので、脚を組んで2時間は座っているほかありませんでした」
ロンドンのキングス・クロス駅に到着したら、移動中にトイレを使えなくて、とても居心地が悪かったと駅員に伝えた。
「2時間半、失禁せずに席に座っていられて、ラッキーでした。ですが、過去数年間において、トイレが間に合わなかった障害者の人の報告が、複数あります」とハンナさんは話す。
昨年、車椅子で使えるトイレがなかったために、クロスカントリー社の列車で3時間移動した際に、パラリンピック選手のアン・ワフラ・ストライクさんは失禁してしまったことを告白している。
「電車から降りたとき、とても不快でした。移動時間がさらに長かったら、一等車で恐らく失禁してしまったことでしょう」とハンナさんは続ける。
「もどかしく、気まずくもありました。飲み物を薦めるワゴンが通るたびに、見知らぬ人でいっぱいの車両でトイレの説明をするのです。まったく屈辱的です」
Disabled woman, stuck on train, unable to access toilet safely for 2 hours. And having to turn down food and drink in first class because God forbid disabled people people travel in the nice coaches. @Tanni_GT @samrenke @AlansTweets @MikScarlet @transportforall @laurafleur https://t.co/DeacxAvwDL
「障害を持った女性です。列車で身動きが取れなくなっています。2時間もの間、トイレにたどり着けないのです。一等車で食べ物や飲み物を断らないといけません。障害者は一等車で移動もできないなんて」
自分の体験をツイートした後に、ハンナさんはLNERに連絡を取り、予約前に連絡する必要があったと告げられたそうだ。その日に運行している車両がバリアフリーか否か、確認するというのだ。
だが、ハンナさんは仕事で定期的に移動するのと、間際になって予定が決まることも多いため、常に予約前に連絡をするのは難しいと告げた。
「どの車両がいつ運行しているかを気にしながら予定を立てないといけないなんて、ばかげています」
ハンナさんは、障害者給付金を請求しておらず、障害者用のレールカードは持っていなく、正規の料金を支払っている。「他の人と同じ料金を払っているので、他の人と同じように利用できるべきです」とハンナさんは話す。
ハンナさんは、英国医師会に所属しており、急にカンファレンスで話すことが決まる場合が多い。
「数時間後にロンドンに来て欲しいと電話をもらって、電車に飛び乗ることがあります」とハンナさんは話す。
「障害者なので、やり甲斐がある職業を持っていない、責任がある立場にいない、他の人みたいに移動する必要がない、あるいは、時間を持て余していて移動の計画を立てる時間がたくさんある、と常に思われているように感じます」
LNERの広報担当者は、謝罪した、とBuzzFeed Newsに声明で答えたが、ハンナさんへの返金の可否についての言及はなかった。
「当社は、すべてのお客様に最高のサービスを提供できるように尽力しており、障害をお持ちのお客様が快適にお過ごしいただけるよう真剣に考えております」と声明には記載されている。
「当社サービスをご利用中にバーハム=ブラウン博士が遭遇された事態につきましては誠に遺憾であり、詳細につきましては調査いたします」と書かれている。
返金についてはあまり関心はなく、むしろ、障害者が施設を使いやすいように、鉄道会社が改善してくれることを希望している、とハンナさんは話している。
「列車に乗って、また同じ状況になったらと不安になります。他の人と同じように、駅に行って列車に乗りたいだけなのです」とハンナさんは結んだ。