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性被害にあっていても、自覚がない子どもがいる。観てほしいアニメがある。

認定NPO法人3keysが作成した動画「ミーのなやみ」では、デートDVや虐待の場面が具体的に紹介されています。

「性的虐待」や「デートDV」という言葉は、自分には関係がないと思う人もいるかもしれません。

しかし、中には被害にあっていてもその自覚がない子どもがいます。そんな子どもに向けた動画があります。

家族・親戚編「性的虐待」

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「お風呂をのぞかれる」「無理に服を脱がされる」「デリケートゾーンを触られる」など

虐待やいじめ、デートDVなどを、子どもにもわかりやすく紹介しているアニメーション動画「ミーのなやみ」です。

具体的な場面がまとめられ、1分間ほどの長さになっているこの動画。

制作したのは、家庭環境などに悩む子どもたちを支援している認定NPO法人3keysです。「ミーのなやみ」について、3keysの鈴木さんにお話を伺いました。

子どもでも理解しやすいアニメーション。

この動画の主なターゲットは10代。子どもが観てもわかるよう、わかりやすいアニメーションに、ふりがなが振られたテロップがついています。

動画の最後には、「これらの行為はガマンしなくていいもの」というメッセージが表紙され、相談機関を紹介するボタンが表示されます。

「虐待などを受けている子どもは、自分が悪いと思ってしまうことも多く、被害にあっているという自覚がないことも多くあります」

そのため、「相談や支援をする機関はあっても、被害にあっている本人が繋がることが難しい」といいます。

これらの動画をYouTubeで公開した理由は、子どもの目に触れるようにすることで、「自分が受けている行為は我慢しなくて良いものなんだ」ということに気づくきっかけをつくるためです。

「虐待を受けている子どもは特に、スマートフォンが貴重な外部とのつながりになることがあります。子どもたちが自分だけで、いつでもどこでも観られるということが大切です」

デートDV「性暴力編」

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「ムリヤリ、キスや性行為をする」「性行為を写真や動画で撮る」など

ミーの性別や年齢は決められていません。

動画の主人公のミーは、年齢や性別を限定しないように表現されています。

それは、被害を受けている子どもが「性的虐待は女の人が受けるもの」「僕はもうお兄さんだから我慢しなくては」など、属性の先入観によって自分の被害に気づけなくなることを避けるためだといいます。

「一方で加害者には性別らしきものを少し加えています。こちらは被害者とは逆のメッセージで、加害者は男性のみという先入観をなくすためです」

また、動画にはセリフが登場しません。

これも、具体的に場面を限定しすぎないことで、自分が被害者にあてはまることに気づいてもらうための工夫だといいます。

登場するのは羊のキャラクターですが、動画は明るすぎず、深刻になりすぎない雰囲気です。観た人の多くは、動画をほとんど最後まで閲覧しているといいます。

デートDV「精神的暴力編」

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「思うようにならないと機嫌が悪くなる」「叩いたのは『あなたが悪かったから』という」など

デートDVの動画を作成した理由。

主に家庭環境に悩む子どもを支援している3keysですが、デートDVの動画を作成したのは「家庭に居づらい子どもが大きくなったとき、恋人や友人などの周囲に居場所を求めることがあるから」だといいます。

「日本では虐待や暴力の定義について教わることが少ないため、家族からの虐待だけでなく、恋人からのDVなどの被害にも自覚がないケースが多いです」

「恋人ができること自体は悪いことではありませんが、もしも何かあったときに、これはDVだということに気づけるようにと制作しています」

動画のターゲットは10代。でも…。

「ミーのなやみ」は、大人が観ることにも意味があるといいます。

動画の中には、大人が観ても『よくある行為なのでは』と思ってしまうようなシーンも含まれています。

そのような行為が虐待やDVなどに繋がっていると認識することで、通報につながる場合もあるからです。

こんな場面も、デートDVです。

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「いつ誰とどこにいるか毎回報告させる」「電話やメールをチェックする」など

また、現在は被害にあっていない人でも「自分が受けてきた行為は当てはまるのでは」ということに気づける場合もあります。

「この動画が考え方を変えるきっかけになれば」と鈴木さんは話します。

これらの動画は、多くの人に知ってもらうため、学校現場・学習会・講演会などでも自由に活用することができます。