ヨガ講師のエリカ・ジェイコブズさんは最近、職場で起きたあるできごとを通して、ファットフォビア(太っていることへの嫌悪)と、やせていることを優位とみなす文化についてTikTokで声を上げ、反響を呼びました。
動画で体験を語る前、エリカさんはこう切り出しました。「この話をするのは、誰かを非難するためではありません。私も、もうこの件で傷ついてはいません」
そう断ってから、次のように話を始めました。「2カ月くらい前から新しいヨガスタジオで教えているんですが、その日、受付の後ろにいるとスタッフの一人が近づいて話しかけてきたんです」
「その人は栄養士だそうで、クライアントの一人が70ポンド(約32キロ)減量したというので、私は『へえ、そう』と返しました。私は減量を称えはしませんから」
「心配してくれてありがとう。でも私、減量には興味ないから」
「そしたら向こうは『えっ。へえ…そう』って、ものすごくまずいものでも見たみたいに」
「ちょっと嫌な気分になったし、ちょっと傷つきました。でも同時に、自分たちがいる世界を痛切に意識しました」
「ファットフォビアは私たちみんなの中に根づいているんだと。白人至上主義が、人種を問わずみんなの中に入りこんでくるように」
「ファットフォビアは体格、体型、体重、人種に関係なく、あらゆる人の中に入りこんでくる」
「次の週、またその人が私のところにきて話しかけてきました。『あなたほど、今のそのままの自分に満足している人に会ったことがない』って」
「それで私はこう答えました。『それは私が今の自分に満足しているのとは違う。体重を減らしたり、やせた体型をキープしたりすることは、私にとって今の自分をどう感じるかとは関係ない』」
「相手にはやせ型のクライアントもたくさんいて、ほんの1〜2キロ体重が増えただけで大騒ぎするため、水分補給や身体のサイクルによって1〜2キロ増えるのは普通だと伝えているそうです」
「普通、体重に関する話をわざわざ人とすることはありません。だから『この業界、特にこの会社、こういうカルチャーの中では、ファットフォビアの問題は深刻だと思う。世の中の全員がやせたいはずだという決めつけは、問題だと思う』と言いました」
BuzzFeed編集部はエリカさんに話を聞きました。エリカさんはフィットネスインストラクターとして15年の経験があります。
エリカさんは社会をプールに例えて説明しました。
「私たちは、プールの中にいるみたいなものです」
「このプールには消毒用の塩素の代わりに、白人至上主義、システミックレイシズム(制度に組み込まれた人種差別)、ファットフォビア、健常者優位主義、性差別、トランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)、ミソジニー(女性嫌悪)などなどが入っています」
「このプールは私たち全員が入れるだけ広くて、言ってみればみんなここで生まれたんです」
「私がずっとこのプールで生きてきて、私にやせたいかと聞いてきた人もずっとこのプールの中で生きてきたんだとしたら、その問いかけは個人的な攻撃ではなくて、このプールにあまりにも長い間入っていたことの表れだと言えます」
「私が『自分は減量に興味がない』と答えたのは、プールにいる他の人を非難したり、質問を個人攻撃ととらえたりせずに、まずは自分がプールから出る、そのための足場を見つける私なりのやり方でした」
「このプールでやっているパーティには今も出ているし、日常的にそこで泳具こともあります。でも自分がプールの中にいて、こういうちょっとしたことから抜け出そうと意図して動くとき、成果は出ているかなと感じています」