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Updated on 2019年3月11日. Posted on 2019年3月11日

「外国人の生活保護は違法」は誤り ”最高裁の判決”がネットで拡散、厚労省の見解は?

これまでもたびたび、ネット上で拡散されてきた。厚労省は「違法性や違憲性を示したものではありません」と断言する。

日本の最高裁判所が外国人への生活保護は違法と判決を下した」という話が2019年3月に入り、Twitter上で改めて広がっている。

これは誤情報だ。にもかかわらず、これまでネット上で繰り返し拡散されてきた。

発端となったのは、「『本当の真実』を発掘する」というTwitterアカウントによる動画の拡散だ。最近のニュースのように伝えているが、そもそもこれは5年前のニュースだ。

日本の最高裁判所通が外国人への生活保護は違法と判決を下しました

この3月5日のTweetは1万8千以上リツイートされ、拡散。再生数は100万近い。さらにまとめサイト「netgeek」(3月6日)や「Share News Japan」(同)が取り上げた。

それぞれ以下のような見出しで、TwitterやFacebookでも大きく拡散している。

【話題】『日本の最高裁判所通が外国人への生活保護は違法と判決を下しました』(1万3400シェア)

「外国人は生活保護の対象ではない」 最高裁判所が勇気ある判断(9200シェア)

それぞれ、この1年間でネット上にアップされた「生活保護」が見出しに入る記事で、2番目、5番目に拡散している(BuzzSumoを使って分析)。

まず、経緯を振り返る

Share News Japan

そもそも、ツイートにも引用された最高裁判所判決は2014年7月18日のもの。「外国人の生活保護は違法」という判断を示しているわけではない。

これは、「永住外国人が生活保護法の対象外」であると初めて示した2014年7月18日の判決で、当時大きな話題を呼んだ。

訴訟は、永住資格を持つ中国人の女性が起こしたものだった。生活保護法に基づく申請を却下した大分市に、処分の取り消しなどを求めた。判決の原文はこうだ。

外国人は,行政庁の通達等に基づく行政措置により事実上の保護の対象となり得るにとどまり,生活保護法に基づく保護の対象となるものではなく,同法に基づく受給権を有しないというべきである

判決ではさらに、外国人は生活保護法の対象にはならないとしつつも、厚労省が各自治体などに出した通知に基づく「保護の対象になり得る」としている。

永住・定住など一定の資格を満たした外国人に対しては、生活保護に準じた保護が以前から行われてきた。結論から言えば、この判決は、そういう形で外国人に対する保護が行われることを、否定してはいないのだ。

にも関わらず、この判決はたびたび「最高裁が違法(違憲)判決」という言葉を伴い拡散されてきた。2016年末にも保守系の元北海道議がツイートし、BuzzFeed Newsではファクトチェックを行っている。

厚労省も「違法性を示したものではない」と断言

時事通信

厚労省省保護課の担当者はBuzzFeed Newsの取材に「最高裁判決は、(外国人が生活保護を受けることの)違法性や違憲性を示したものではありません」と断言する。

「適法に日本に滞在し、活動に制限を受けない永住、定住等の在留資格を有する外国人については、人道上の観点から、行政措置として、生活保護法に準じた保護を行っています」

「日本人からの申請があった場合と同様、その者の資産や収入等に関する調査を実施し、適正な支給に努めています」

厚労省が「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」という通知を出したのは、1954年のことだ。それ以降、外国人への生活保護支給はこれに基づいて行われてきた。

同省が自治体向けに出している「生活保護問答集について」(2009年)では、以下のような外国人を保護の対象としている。

  1. 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者及び定住者
  2. 特別永住者
  3. 認定難民


外国籍世帯の割合は2.87%

BuzzFeed

同省によると、2016年度の生活保護受給世帯は月平均で163万7045世帯。うち世帯主が外国籍である世帯は4万7058世帯だった。

割合にすると2.87%で、ここ数年は同程度で推移しているという。国内世帯数の日本人のみの世帯、外国人を含む世帯の割合とほぼ同じ割合だ。

ただ、これはあくまで世帯主が外国籍の受給世帯数だ。その配偶者や子どもが日本国籍だったり、世帯主が日本人であっても配偶者が外国籍のケースもある。全支給者に対する外国人の割合はわからないということだ。

そのうえで、担当者はこう語る。

「保護課のほうにも、もっと広く支給すべきだという意見から、保護すべきではないという意見まで、様々なものが寄せられています」

「厚労省としては基本的には現状通り、日本人と同等に生活されている外国人の方が生活に困窮されたときに、この形をとるのは人道的に間違いではないとして、通知の運用を続けています」


Contact Kota Hatachi at kota.hatachi@buzzfeed.com.

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