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「国会議員や公務員の給与は増額、生活保護費は減額」は不正確。「国民の平均所得を参考」と拡散したが…

そもそもこれらの金額の基準は国民の平均所得ではない。また、生活保護費の一部が引き下げられるのは事実だが、国会議員の歳費もコロナ禍で削減されているほか、公務員のボーナスも引き下げられる方針だ。

「国会議員や公務員の給与が国民の平均所得などを参考に増額される一方で、生活保護費が減額される」とする情報が拡散した。

「同じデータ」が根拠にもかかわらず、「一方は増額で一方は減額」であることに疑義を示す内容だが、これは「不正確」な情報だ。

生活保護費の一部が減額となるのは事実だが、国会議員の歳費はすでに引き下げられ、公務員給与もボーナスが減額となる公算であり、誤っている。

また、そもそもこれらの金額の基準は「国民の平均所得」ではない。BuzzFeed Newsは、ファクトチェックを実施した。

Twitterより

Twitter上で拡散しているのは、以下のような9月30日のツイート。2000以上リツイートされるなど、広がりを見せている。

国会議員を始めとした公務員の給与は国民の平均所得などを参考にして増額されましたが、生活保護世帯の給付金は国民の平均所得などを参考にして明日から減額されます。同じデータを参考にしているのに、一方は「増額」で一方は「減額」、不思議ですね。

このツイートには複数の誤った言説が含まれている。そもそも国会議員の歳費や公務員の給与、生活保護費を決める基準は、「国民の平均所得」ではない。

国会議員の歳費は憲法49条で「相当額」と定められているほか、国会法35条で「一般職の国家公務員の最高の給与額(地域手当等の手当を除く)より少なくない」額、とされている。

一方で国家公務員の給与は民間企業の給与水準が基準だ。「国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させること」という「民間準拠」の考え方を基本に、人事院の勧告が出されている。

また、生活保護費の引き下げについては、今回の引き下げは国民の消費実態を参考にしており、やはりこれも「平均所得」ではない。

生活保護費は引き下げも

時事通信

また、国会議員の歳費や、国家公務員の給与が引き上げられているという事実もない。

国会議員の歳費については、コロナ禍を受け、今年5月から来年4月末までの間、2割削減されるという法改正がなされている。国家公務員についても、人事院が10年ぶりにボーナスが引き下げられる方針であることが、時事通信(10月2日)によって報じられている。

一方で、生活保護費については、多くの世帯で10月1日から引き下げられている、という点でいえば、正確な情報だといえる。光熱費や食費などの生活費に使う「生活扶助費」の基準が2018年10月から3年かけて、段階的に引き下げられているからだ。

5年ごとの見直しに伴い、厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会の「生活保護基準部会」が2017年に出した報告を受け決められたもの。引き下げの上限は5%で、日経新聞などによると、全世帯の67%がその対象となる。ただし、これは先述の通り「全国消費実態調査」をもとに判断されていることに留意が必要だ。

生活扶助費の引き下げをめぐっては、2013年から3回にわけて、基準を平均6.5%、最大で10%引き下げた。物価下落に伴うものとしたこの決定に関しては、違憲性を問う集団訴訟が全国29都道府県で起きているが、初の司法判断となった名古屋地裁は原告の訴えを退けている。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。なお、今回の対象言説は、FIJの共有システム「Claim Monitor」で覚知し、そのレポートを参考にしました。

また、これまでBuzzFeed Japanが実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。

  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。

Contact Kota Hatachi at kota.hatachi@buzzfeed.com.

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