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「なぜ五輪だけ許されるの?」「10万円は再支給?」菅首相の回答は… 4度目の緊急事態宣言で

8月に開催予定だった音楽フェス「ロック・イン・ジャパン」が中止になったことに触れた質問もあった。

政府は7月8日、東京に4日目の緊急事態宣言を発令すると発表した。期間は7月12日から8月22日まで。沖縄県に出されている宣言も同日まで延長する。

「まん延防止等重点措置」は、神奈川、千葉、埼玉と大阪の4府県で来月22日まで延長し、そのほか5道府県は11日で解除する。

菅義偉首相は会見で、3週間で再び宣言に至ったことについて、「大変申し訳ない思い」とし、「この期間を乗り越えて、必ず安心の日常を取り戻すとの決意で取り組んでいく」と呼びかけた。

記者からは、7月23日に開会式を控えた東京オリンピック・パラリンピックに関する国民の「不満」をぶつけた質問や、菅首相の「責任」を問う質問、昨年の緊急事態宣言の際に出された10万円の特別定額給付金に関する質問もあがった。

菅首相がこの日の会見でまず強調したのは、ワクチン接種のスピード感だった。

「医療の現場からは負担が軽減されてきたという声も聞こえてきます」などと語り、7月末には希望するすべての高齢者の接種が終わる予定であり、感染減少に一定の効果がみられる可能性のある全国民の4割に達するとした。

そのうえで、緊急事態宣言の発令については、このように説明をした。

「新型コロナの区切りが見えてきたところ、ここで再度東京を起点とする感染拡大が起きることは絶対に防がないといけない。先手先手で発出判断をしました」

「3週間で再び宣言に至り、国民の皆様に様々なご負担をおかけすることは、大変申し訳ない思いであります」

国民に対してはこう謝罪もしつつ、「未知の敵との戦いは、私にとっても心が休まるときはありません」と、以下のように呼びかけた。

「ワクチンによって変異株であっても、発症や重症化を大きく防ぐことができます。治療薬の開発も進んでいます。いま必要なことは、感染を抑えながら、1人でも多くの方にワクチンを接種していただくことです。それによって、新型コロナとの戦いに終止符を打って、安心できる日常を必ず取り戻すことができると信じてます」

なお、ワクチンの供給に一部自治体などで滞りが生じてることについては、「おかげさまで増えている」「予想を上回るペースで接種が進む中で不安の声が寄せられている」とし、ワクチン配分を見直し、配分量を早期に示すなどと述べた。

五輪で「世界が一つになれる」

また、菅首相は東京五輪について「緊急事態宣言下の異例の開催となりました」と語り、こう訴えた。

「世界で40億人がテレビを通じて視聴すると言われるオリンピック・パラリンピックには、世界中の人々の心を一つにする力があります。新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が一つになれること、そして全人類の努力と英知によって、難局を乗り越えていけることを、東京から発信をしたいと思います」

「また、東京は史上初めて、パラリンピック2度開催する都市となります。障害のある方もない方も、お年寄りも若者も、みんなが助け合って共に生きるという、共生社会の実現に向けた心のバリアフリーの精神をしっかり伝えたいと思います」

「今回の大会は、多くの制約がありこれまでの大会と異なりますが、だからこそ、安心安全な大会を成功させ、未来を生きる子供たちに、夢と希望を与える歴史的な、歴史に残る大会を実現したいと思います」

菅首相が繰り返す「安心安全の大会」という言葉について、「どうすれば実現したと言えるのか」と、その判断基準を問う記者もいた。

首相は五輪に関する水際対策や感染対策をあげ、「ウイルスに侵入されなかったこと、感染拡大阻止をしたこと、そうした結果というのは大事」と語った。

なぜ、五輪だけ…?

8月に開催予定だった音楽フェス「ロック・イン・ジャパン」が医師会の要請などで中止になったことに触れた質問もあった。

記者は、「4回目の緊急事態宣言でイベントや文化祭、修学旅行など学校の行事の中止も多くなると思われます」として、以下のように問うた。

「なぜ五輪だけは許されるのか。こうした率直な疑問や意見に対して、総理はどうお答えになるのでしょうか」

菅首相の回答(要旨)はこうだ。

「まずご指摘のイベントですけれども、野外音楽フェスとしてはまさに最大級であって、若い方を中心に大変楽しみにされている、そういうふうに承知しています。中止になったことは、大変残念に思います」

「他方、このイベントの開催については、東京大会も実は同様の取り扱いでございます。緊急事態宣言下のもとでは、午後9時以降は無観客での開催をお願いするとなっていますので、こうした点についてはご理解をいただきたい」

「どのような体制で、東京大会を開催するかは、5者(協議)の方でこれから決められる予定であります。ただ、私自身も緊急事態宣言が発せられた際には、無観客も辞さないということを申し上げてます。そういう中で、5者の中でどのように開催するかということは決まっていくだろうというふうに思います」

「いずれにせよ、感染の抑制とワクチン接種に全力で取り組んで、1日も早く日常のかつての日常を取り戻すことができるよう、全力を挙げるのが私の仕事だと思ってます」

菅首相の答えなかった「責任」

また、会見では「責任」がひとつの焦点となった。記者からは、以下のような質問もあがった。

「総理は毎回感染を抑え込むと訴えていますが、約束は果たされず、いつまでこんな生活がダラダラ続くのかと、国民の疲労や不信感はピークに達しています。政府のこの間の対策は、感染拡大の見通しの甘さから一つ一つのタイミングが遅く内容も不十分だったのではないでしょうか?自らの責任と合わせて認識を伺います」

これについて、菅首相は「感染対策の決め手となるのがワクチン」「ワクチンを接種することによって、かつての日常を取り戻すことができる」「ワクチン接種を最優先で行っている」などと繰り返すのみで、これまでの対策の不備や、責任に触れることはなかった。

別の記者からは東京五輪で感染者が増加した場合の責任について問う質問もあったが、やはり自らの「責任」に触れることはなかった。

五輪の観客数についても、他県での扱いについて「国民の安全安心に責任を持つ一定以上、総理のお考えを」と聞いた質問もあったが、これについては「ルールにあった形で5者協議で決められていくんだろうと思っています」と答えた。

なお、10万円の特別定額給付金の再支給についての質問もあったが、菅首相は「大変な影響を受けてる方にには様々な支援策を行なっている」として現状の補償を繰り返すのみで、明言しなかった。