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「イーロン・マスク氏と米GMのCEOがデートしている」AI生成の虚偽画像が一時拡散、本人も反応

とても精巧につくられた写真だが、これはAIで生成されたものだ。虚偽の画像であることはすでに示されているが、その精巧さから、ユーザーらからは驚きをもって受け止められている。

テスラ社CEOのイーロン・マスク氏が米ゼネラル・モーターズ(GM)CEOのメアリー・バーラ氏とデートしているという虚偽画像が、Twitterにアップされ、拡散している。

AIで生成されており、マスク氏本人も反応。Twitter上ではすでに訂正情報も掲載されているが、700万以上のインプレッションを獲得するなど広がりを見せた。

投稿者も「種明かし」をしており、AI技術の発展によるフェイク・誤情報が今後さらに増えるとして、警鐘を鳴らしている。

3月26日夜(日本時間)に「Breaking: Elon Musk is now dating GM CEO Mary Barra 🤣」(速報:イーロン・マスク氏が、GMのメアリー・バーラCEOといまデートしている)という文章とともにアップされたのは、上掲のような写真。

2人が手を繋いで路上を歩いているようなもので、このユーザーはほかにも「More pics of the happy couple.」(幸せそうなカップルのほかの写真)として複数枚の「2ショット」をアップしている。

とても精巧につくられた写真だが、これはAIで生成されたものだ。実際、拡大をしてみると、2人が繋いでいる手の部分の指の本数がおかしいことがわかる。これはAI生成画像によくみられる描画のミスだ。

そもそも両者はライバル企業のCEO同士。バーラ氏は既婚者であり、こうした面会がされていたという報道や公式情報も一切、見当たらない。マスク氏本人も「Also … I would never wear that outfit」(私がこんな服を着ることはない)とリプライ欄で反応している。

Twitterのユーザーが拡散している誤情報などをファクトチェックする「コミュニティノート機能」ですでに虚偽の画像であることは示されているが、その精巧さから、ユーザーらからは驚きをもって受け止められている。

投稿者も驚いた「拡散スピード」

@blovereviews Also … I would never wear that outfit

Twitter: @elonmusk

投稿者は自らのYouTubeチャンネルで、この写真はテキストから画像生成できるAI「Midjourney」の最新バージョンを使用して作成したとし、「非常に簡単」だったというプロセスを開示している。

AI生成とわかるよう質の低いものを選んで掲載したにもかかわらず、多くのユーザーが信じ、想像以上のスピードで拡散されたと明かした。2人の「馴れ初め」についても、対話型AI「ChatGPT」に制作してもらっていたという。

そのうえで投稿者は、AI技術の発展によって、SNS上でこれまで以上にフェイクや誤情報が広がることになるだろうと指摘。今後は「AIと現実の見分けがつかなくなる」とも述べ、危機感を訴えた。

AI生成のフェイク画像をめぐっては、2022年の台風15号の豪雨災害時に、静岡県内の被災地の画像を偽造した写真が日本でも拡散した事例があった。

また、AI生成の人物画像のアイコンを用いて、ワクチンやコロナ関連の誤情報の発信を続けている日本語アカウントの存在もBuzzFeed Newsの取材で確認されている。

誰でもこうしたフェイク画像を容易につくれるようになっていることから、情報の精査にはより注意が必要であると言える。


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  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。