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LGBTQの祭典、オンラインで始まる。「マイノリティの中のマイノリティだった」女性は願う

毎年、楽しみにしてくれる人たちがいる。だからこそ、中止は苦渋の決断だった。

日本最大のLGBTQの祭典「東京レインボープライド」が3月19日、来月に予定していたイベントの中止を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、決定した。

毎年、楽しみにしてくれる人たちがいる。だからこそ、中止は苦渋の決断だった。

2019年に代表職を引き継ぎ、団体を率いる柱の1人になった、レズビアンの女性の門出となる大きなイベントでもあった。

共同代表理事の山田なつみさんは「こんな時だからこそできることがある」とBuzzFeed Newsに思いを語った。

BuzzFeed

山田さんが共同代表になったのは、2019年10月だった。

もっとも長く団体の運営に携わっているゲイの山縣真矢さんからバトンを託された。

これで共同代表理事は、レズビアンの山田さんと、トランスジェンダーの杉山文野さんの2人に。山縣さんは顧問兼理事として団体に関わり続けている。

2番目の「古株」の決断

Kensuke Seya / BuzzFeed

NPO法人「東京レインボープライド」共同代表理事の山田なつみさん

会社員の山田さんは、団体に山縣さんに次いで長く在籍し、サポートしてきた。

山田さんが東京レインボープライドと関わりを持ったのは2012年、この団体としてのイベント初開催の時だった。ボランティアスタッフとして参加し、翌年からは運営スタッフを担った。

毎年数百人にのぼるボランティアの管理や広告営業など、中心的な存在としてさまざまな業務をしてきた。

しかし、共同代表理事を交代するとの話があった当初は、共同代表理事の役職に就くのを躊躇した。

Kensuke Seya / BuzzFeed

前共同代表理事の山縣真矢さん=2018年

というのも、当事者をはじめとした関係者にとって、山縣さんの存在感は絶大だったからだ。

さらに、祭典にはパレードだけでなく「フェスタ」が加わり、参加者数もブース数も右肩上がりで、8回目となった昨年は20万人以上が来場した。

イベントが大きくなるほど、責任は重くなる。それに「裏方で頑張って支えるタイプ」という自分にリーダーが務まるのか...。さまざまな思いが駆け巡った。

Kensuke Seya / BuzzFeed

それでも「自分だからこそ、できることがあるかもしれない」と腹をくくった。団体の仲間たちの後押しもあって、前向きな気持ちで手をあげたという。

山田さんは「やるからにはやります、って言ったんです。自分の殻を破りたいとも考えました」と言う。

「メンバーは応援してくれるし、それぞれの分野のプロフェッショナルであるみんなが何かあれば必ず助けてくれる。絶対的な信頼がありました」

マイノリティの中のマイノリティだった

時事通信

誰もが前向きに生きていける「ハッピーな社会」になってほしい。

山田さんは、その思いを強く持つ。

関わり始めた当時、ボランティアスタッフの間には悲壮感が漂っていた。LGBTQであることで、普段からどんな辛い思いをしているかが、常に話題のタネだったという

自身との大きなギャップを感じた。自分らしく生きている日常に、幸せを感じていたからだ。

Barcroft Media / Getty Images

山田さんは「私はある意味、マイノリティの中のマイノリティでした」と振り返った。

「正直、初開催の時、自分みたいに幸せに生きているマイノリティが参加してもいいものかと不安になりました。でも、行きました。そしたら、運営側も参加者も、誰もが本当に楽しそうで」

「みんな口々に言っていました。『ここは天国だ』『唯一、自分が自分らしくいられる場所だ』って。感動とエネルギーに圧倒されました」

イベントで見た当事者たちの表情や気持ちが、日常生活に戻ってもずっと続くようにしたい。その思いから、団体に関わり続け、山田さんの現在がある。

Sumireko Tomita / BuzzFeed

いま、団体には幸せそうな人であふれる。

団体の設立時には、数人だったレズビアンの女性たちも増え、イベントに関わる人の半数以上が、当事者を支援する「アライ(支援者)」だという。

当事者たちを取り巻く社会には、まだまだ困難や課題が残るが、一歩一歩良い方向に進み、団体内部で見る光景も変わってきた。

だからこそ、イベントを「継続して開催し続け、今年も成功させたい」と山田さんは語っていた。だが、新型コロナウイルスの影響で中止に至り、その願いは叶わなかった。

誰もが「ハッピー」になれるように

Kensuke Seya / BuzzFeed

4月25日から5月6日までの期間で予定されていた今年のイベント。テーマは、「Your happiness is my happiness あなたの幸せは、わたしの幸せ」だった。HPには、こう書かれている。

男とは、こうあるべき女とは、こうあるべき家族とは、夫婦とは、日本人とは・・・

「こうあるべき」の押し付け合いではなく、それぞれが思い描く「幸せのかたち」を尊重し合い、お互いの存在を笑顔で祝福できる社会の実現を目指して。

TRP2020は、あなたの幸せとあなたの大切な人たちの幸せを心から応援します。

時事通信

今年のテーマにかける思いとは何か。山田さんは語った。

「身の回りの人たちが自分らしく、そして幸せに生きている姿を自分の幸せだと感じられるような、そんなハッピーな社会を目指したいんです」

「もちろん、そっとしておいてほしいという人もいます。だからこそ、ありのままの自分のことを話したいのであれば、言えるような環境にしたい」

ただ盛り上がりたいから、イベントを開催しているのではない。これは「当事者の人たちが、差別や偏見なく暮らしていくためのもの」。そのビジョンを持ってやってきた。

時事通信

今回の開催中止は、HP上で発表された。だが、ネットを活用し、このイベントに参加予定だった人たちがつながれる場を提供できないかと検討している。山田さんは言う。

「今年は『ハッピー』というテーマがメインでした。ですが、今の世の中の状況は、先が見えず、不安が募り、ハッピーな社会から遠ざかってしまっているなと感じています」

「代々木公園で開催予定だったイベントは、中止という判断をしましたが、みんなが幸せに、自分らしく暮らせる世の中を目指すという思いは変わっていません」

「こんな時だからこそ、伝えたいことがあります。こんな時だからこそ、団体としても私個人としても、できることがあると思っています。笑顔になれるイベントをお届けできるよう頑張ります。楽しみにしてください」

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更新

日本最大のLGBTQの祭典「東京レインボープライド2020(TRP2020)」のオンラインイベント「#おうちでプライド」が4月25日、始まりました。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、東京・代々木公園で予定していたイベントは中止。しかし、それに代わり、TwitterなどSNSを駆使したイベントの開催を決めました。

4月25日にはオンライントークイベントがあり、TRPのTwitter公式アカウント(@Tokyo_R_Pride)でライブ配信しています。新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、それぞれが遠隔で出演しています。

BuzzFeed

東京レインボープライドの公式メディアパートナーであるBuzzFeed Japanは、4月26日、27日の両日、BuzzFeed Japan Newsの公式Instagramアカウントにて「オトマリカイ」のインスタライブを配信します。

オトマリカイ」はLGBTQなお友達をお招きし、「We Are More Than Sexuality」をモットーにゴロゴロ語り合う番組です。

BuzzFeed

今回はいずれも午後8時より、計5組のゲストと話しながらリアルタイムで視聴者の質問にお答えします。

さらに、BuzzFeed Japanでは、6月19日〜28日までの期間中、年に一度の特集「レインボー・ウィーク」を実施し、LGBTQをはじめとする性的マイノリティに焦点をあてた記事や動画を集中的に発信する予定です。

今年の特集のテーマは「幸せ」です。現在、テテレビ会議システムなどを活用し、オンライン上でインタビュー取材に協力してくださる、LGBTQの方やカップルを募集しています。

メール(japan-report@buzzfeed.com)やBuzzFeed NewsのLINE公式アカウント(https://bzfd.it/2rZUSUn)、または担当記者にご連絡いただけますと幸いです。

あなたは、あなたのままでいい。私も、私のままでいい。
誰だって、違うところがあるのだから。
毎日、異なった生活を送り、それがこれからも続くのだから。
愛や幸せがみんな異なるから、この豊かな世界が、今があります。
それぞれの“らしさ”がもっとも尊重される世の中に。
BuzzFeed Japanは、多様な「幸せ」について発信していきます。

バズフィード・ジャパン ニュース記者

Contact Kensuke Seya at kensuke.seya@buzzfeed.com.

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