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伊藤詩織さんの勝訴を受け、山口氏は控訴へ。彼女はそれを知っても冷静だった

伊藤さんは判決を、そして山口氏の言葉を受けて、何を語るのか。同日午後、司法記者クラブで記者会見を開き、その思いを語った。

ジャーナリストの伊藤詩織さんが性行為を強要されたとして、元TBS記者の山口敬之氏に対し、損害賠償を求めた訴訟の判決が12月18日、東京地裁であった。鈴木昭洋裁判長は、山口氏に330万円の支払いを命じた

一方、伊藤さんに名誉を毀損され、社会的信用を失ったとして反訴していた山口氏側の請求は棄却された。山口氏は判決を不服とし、控訴審で争う意向を明らかにした

伊藤さんは判決を、そして山口氏の言葉を受けて、何を感じたのか。同日午後、司法記者クラブで記者会見を開き、思いを語った。

伊藤さんは「まだ、どのようにこの結果を受け止めていいのか、わからない状態です。確かに素晴らしい結果になりましたが、今まで公にならなかった証拠や証言をオープンにし、議論できたかなと思います」と話した。

「初めてここで会見した時は、今後どうなるかわからないとの気持ちでした。この2年間、#MeToo のキャンペーンも盛り上がり、報道を含めていろんなことが変わりました。裁判官の方に判決文として、どう思ってもらえたのか知れたのはとても有意義でした」

「多くの支えてくれた方がいたから、ここまで来れたと思います。本当にありがとうございます」

多くの支援者らが注目した裁判の判決日を迎えたこの日は、「特に緊張もせず、聞くだけしかないので」との思いだったという。

「(勝訴という)裁判長の話を受けても喜びというよりかは、ただただ結果を聞くだけで。個人的には、だからといってこれまで受けてきた傷が癒えるわけでも、終わりでもないからです」

「(性暴力被害者を取り巻く法的・社会的システムを)どう改善すべきかを考えるうえで、裁判の結果は嬉しい限りです」

山口氏は、「私が述べたこと、私が目撃して証言したこと、私が説明した部分はことごとく否定されている」として、控訴する意向だ。

こうした動きを、伊藤さんは冷静に受け止めた様子だった。

「裁判はこれで終わりではないと思っていたし、この判決日をゴールとして、みなさんの前で話してきたわけでもありません。できることがまだまだあります。なので、この判決は一つのピリオドであるけれど、新しくスタートすることもたくさんあります」

一方、弁護団は「性被害者を勇気付ける結果になった」と判決結果を振り返り、「詩織さんの話は一貫していたので、真実をしゃべっていると考えていたので、負けるかもしれないというリスクを感じませんでした」と伊藤さんを労った。


伊藤さんは2015年4月、当時のTBS・ワシントン支局長だった山口氏と就職相談のために会った。東京都内で食事をすると、2軒目の寿司屋で記憶を失い、痛みで目覚めた。そして、山口氏が宿泊していたホテルのベッドで、レイプされていることに気づいたと主張している。

2017年9月、慰謝料など1100万円の損害賠償を求めて提訴した。一方、山口氏は2019年2月、記者会見などで伊藤さんに名誉を毀損され、社会的信用を失ったとして、慰謝料1億3000万円や、謝罪広告の掲載を求めて反訴した。

そのため、この裁判では合わせて審理。山口氏は「合意があった」「伊藤さんから積極的に誘ってきた」「虚言癖がある」などと法廷で反論していた。