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体の関係はなくてもいい。知性や思考に性的な感情を抱く人が伝えたいこと

自認する「パンロマンティック」「サピオセクシュアル」。自分は誰とも付き合わなくてもいいと考えた時期もあった。

付き合ったら、必ずセックスをするものなのかーー。

交際相手に「付き合っているんだから、今日は愛し合おうよ」などと誘われた時、断ったこともある。すると、多くの場合、当時のパートナーたちは傷ついた。

相手の気持ちを察し、「いいよ」と撤回してセックスを受け入れた日もあった。

「セックス」が理由で別れた人もいた。セックスを決してしたくないわけではなく、相手が嫌いなわけでもない。むしろ、相手に魅力を感じ、好きだから付き合っているのに。自分について理解してもらうのは難しかった。

そんな人が存在するだけでも知ってもらいたい。そう願う人に思いを聞いた。

シャッツさんは、現在24歳。生まれた時の身体的な性別は女性だが、性自認は男性でも女性でもない「Xジェンダー」を自認している。

ほかにも自認していることがある。

人を好きになる時、相手のジェンダーとセクシュアリティを意識しないのだ。それらを条件とせずに、人を好きになる。

また、その好きという気持ちに恋愛感情はあるけれど、性的な感情は伴わない。このセクシュアリティを「パンロマンティック」という。

さらに、シャッツさんが自認しているのが、「サピオセクシュアル」というセクシュアリティだ。

惹かれるのは、人の体や容姿ではなく知性や思考などの内面で、それらに性的な感情を抱くというものだ。

つまり、シャッツさんは、相手のジェンダーとセクシュアリティに関係なく、恋愛感情を抱く可能性がある。しかし、その好きになった相手の体や外見によって性的興奮をおぼえず、「セックスをしたい」とは思わない。

性的に興奮するのは、相手の知性や思考などの内面の豊かさを感じた時だという。

当然の話ではあるが、たとえば女性を好きになる男性が、全ての女性に恋愛感情を抱かないように、相手のジェンダーとセクシュアリティに関係なく恋愛感情を抱く可能性があるからといって、「誰にでも」惹かれるわけではない。

知的好奇心が強いシャッツさんは、本や音楽、劇などによって性的に満足することもある。

ただ、知識欲を満たしたいと考えるものの、それは性欲を満たすために、というわけではない。あくまでも副産物として、時に性欲を満たすことができるだけだという。

シャッツさんは、自身についてこう説明する。

「目の前に、顔立ちや体つきが素敵な方と、知識がたくさんあって論理的な話し方や詩人のような話し方をする人がいるとします。どっちの方が、セクシーに感じるかといったら、後者なんです。内面の知的な部分に性的な魅力を感じるんです」

「人に撫でられた時、くすぐったいか、心地良いかの感覚って紙一重だと思っています。知識欲を満たすと、その先に快楽みたいな感覚が現れるんです。人に撫でられた時に起こる感覚と同じように、官能的なフワッとした気分になります」

「すごい肌触りの良いタオルで包まれたような感じなんです。ずっとこういう状態でいたいって思うくらい、本当に心地良いんですよね。だから、パートナーがいなくても性的な感情を満たすことができるし、パートナーに身体的なものを自分からは求めないんです」

悩んだ「暗黙の了解」

そんなシャッツさんが、悩んできたのが、交際相手との「暗黙の了解」だった。

「愛を確かめるために、性欲を満たすためにセックスを強要するパートナーが、男性、女性問わずいました。セックスをするために、好きになったんじゃない。人としての魅力に惹かれて好きになって、付き合ったのに」

「そして、『付き合ったんだから、セックスしようよ』というようなアプローチをされ、ストレスを感じたことがよくありました。『好き』という気持ちを確かめるための手段は、セックスだけじゃないよねって思うんです」

付き合ったら、セックスをするもの。こうした前提がある人に、自分がどんな人なのか説明しても理解してもらうのは難しかった。その結果、自分は誰とも付き合わなくてもいいと考えた時期もあった。

セックスが嫌いなわけではないし、絶対にしたくないわけでもない。セックスを求める相手が悪いとは思わなかったし、嫌な感情も抱かなかった。

ただ、相手に一方的な気持ちが垣間見えると、互いのコミュニケーション不足を感じた。そして、セックスを断ったとき、相手が傷つき、悲しんでいると感じると、理解してもらえていないとショックを受けた。そして、無理をして相手に体を委ねてしまうことがあったという。

問いと向き合った末に

いま、交際中のパートナーとの関係は「すごく心地良い」と感じている。自分とはどんな人かを伝えるSNSでの発信を見ていてくれた人だった。

「『セックスをしなくても良いんじゃない。くっついているだけでも良い』と言ってくれるんですよ。だから、お互いに無理しなくて良いんだって思えて、すごく心地良いんです」

シャッツさんは、「自分がどんな人なのか」との問いと向き合いながら生きてきた。「これだ」といま自認するセクシュアリティにたどり着いたのは、2020年2月だった。

自分とジェンダーやセクシュアリティは違えど、似た感情を持つ人がいるのではないかと考えている。ただ、そうした人が少ないからこそ、理解してもらうには努力が必要とも感じている。

「食欲が旺盛の人もいるし、『全然食べなくても良いよ』という人もいる。ショートスリーパーの人もいるし、『たくさん寝ないとダメ』って人もいる。人はそれぞれ違いますよね」

「自分を誇りに思っています。自分のセクシュアリティについて理解してもらうために、ずっと喋っていく必要があるなって思うし、発信し続けたいです」


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