世にも珍しい「模様のないキリン」がアメリカで誕生 ⇒ 実は70年代の上野動物園にもいたって知ってた?【画像集】

    実は50年以上前、日本でも同じようなキリンの姉妹、リョウコとトシコが生まれていたんです。

    上野動物園で生まれた「斑点のない」キリンの赤ちゃん。右が姉のリョウコ、左が妹のトシコ

    アメリカの動物園で、世にも珍しい「模様のない」キリンの赤ちゃんが生まれたことが話題になっていますが、実は1960年代から70年代にかけて、日本でも同じようなキリンの姉妹が生まれていました。

    アメリカで誕生。「地球上で最も珍しいキリン」と解説

    キリンには通常、網目状の模様があります。外敵から見つけにくくするカモフラージュという説や、体温調整に役立っているという説があるそうです

    しかし、アメリカ・テネシー州のブライツ動物園で、全身が褐色で模様のないキリンの赤ちゃんが生まれました。同園ではFacebookで、9月4日まで4つの名前案のうち、どれを選ぶかアンケートを募っています。

    ブライツ動物園のFacebookより / Via Facebook: BrightsZoo

    ナショナル・ジオグラフィック日本版によると、野生生物学者のフレッド・ベルコビッチ氏は「何らかの遺伝子変異であることはほぼ間違いないが、それ以上はわからない」と述べているそうです。

    ブライツ動物園の公式サイトでは、「7月31日に生まれた、地球上で最も珍しいキリン」と解説。「最後にこんなことが起こったのは1972年の東京です」と記しています。

    実は日本でも2頭「模様のないキリン」が生まれていた

    東京の上野動物園によると、同じ母親キリン「ネック」から「模様のないキリン」の赤ちゃんの姉妹が生まれていました。

    1967年7月25日に生まれたお姉さんは「リョウコ」、1972年1月15日に生まれた妹は「トシコ」という愛称で呼ばれていました。一般公開されていたそうです。

    1967年7月31日に上野動物園で撮影されたリョウコ(時事通信社)
    1972年1月18日に上野動物園で撮影されたトシコ(時事通信社)

    朝日新聞1967年7月31日東京版の夕刊に掲載された「模様のない赤ちゃん」という記事では、以下のようにリョウコについて報じていました。

    「日本では初めてという模様のないキリンの赤ちゃんが、31日上野動物園にお目見え。生まれたのはさる25日。飼育係がつけた愛称は『リョウコチャン』。普通のキリンが持つ白い斑点がなく、全身が褐色に近い珍しいもの。体重50キロ、身長1メートル70と、スマートな健康優良児だ」

    また、1972年1月18日に時事通信社が撮影した写真によると「普通のキリンのように白地にブラウンのまだら模様がなく、ベージュ一色のキリンが生まれ、名前は『トシコ』と名付けられた」と報じられています。

    リョウコとトシコのその後は?

    上野動物園によると「模様のないキリン」はトシコ以降は生まれておらず。なぜ2頭に模様がなかったのかという理由についても、詳細は分からないそうです。

    姉のリョウコは1974年2月24日、約6歳7カ月で死亡。その2カ月後の4月27日には、妹のトシコも後を追うように亡くなっています。2歳3カ月でした。リョウコの死因は「急性びらん性第4胃炎(慢性栄養不良)」、トシコは「慢性腸炎による衰弱死」と記録が残っています。

    飼育下でのキリンの寿命は20〜25年と言われているのに比べると短い一生でした。