人食いザメ、ゴルフ場の池に17年間も生息。オーストラリアの珍事が世界記録と判明【調査結果】

    近くの川の洪水の結果、6匹のオオメジロザメが取り残され、ゴルファーに人気となっていました

    世界に無数にあるゴルフ場の中でも、オーストラリア東部ブリスベン近郊にある「カーブルック・ゴルフクラブ」ほど恐ろしかったものはないでしょう。なぜなら、ホールの横にある池に人食いザメが泳いでいたからです。

    バハマ諸島で撮影されたオオメジロザメ(Getty Images)

    米紙ニューヨーク・タイムズによると、このゴルフ場では1996年に近くの河川が氾濫した結果、6匹のオオメジロザメが14番ホール近くの池に取り残されました。2013年に大きな洪水が起きるまでの17年間は完全に隔離されていたとみられています。

    ドイツのルール大学に所属するサメ研究者、ピーター・ガウスマンさんが、この池のサメたちについて学術誌「海洋漁業科学」に8月18日、論文を発表しました

    地道な聞き取り調査の結果、「低塩分環境におけるオオメジロザメの最長継続滞在期間を17年に延長しました。この種の生息地外の非海洋環境での最長滞在の世界記録です」と記載しています。

    この池で最後にサメが目撃されたのは2015年。洪水でサメたちが川に戻ったのか、それとも環境の変化で死んでしまったのかなどは詳しくは分かっていません。1匹は、違法に釣り人が釣り上げたことで死亡したそうです。

    人を襲うことも……。オオメジロザメとは?

    ナショナル・ジオグラフィックによると、オオメジロザメは体長2〜3メートルほど。世界の熱帯や亜熱帯に生息しており、普段は海岸線などの魚の多い海域にいるものの、汽水や淡水でも生きられるため、河川やその支流を泳いで陸地の奥まで泳いでいくこともあるそうです。

    攻撃的で好奇心の強い性格から、多くの専門家がオオメジロザメを世界一危険なサメだと考えており、ホホジロザメやイタチザメと共に、人間を襲う可能性が高いサメの一種です。

    本来は人間を食べることはありませんが、水の濁った河口や入り江によく出入りしているため、好奇心やふとしたはずみで人を襲うことがあります。日本でも沖縄地方に生息しており、1996年には宮古島で遊泳していた52歳男性がオオメジロザメに噛まれて死亡しています

    ゴルフ場ではシンボルマークになるほどの人気に

    赤で囲った部分が、オオメジロザメが生息していた池(ピーター・ガウスマンさんの論文より)

    1996年のオオメジロザメの出現で、カーブルック・ゴルフクラブは窮地に陥ったのかと思いきや、結果は逆でした。ゴルファーの間でサメは人気を集め、ゴルフ場のスタッフもサメを歓迎しました。池に「遊泳禁止」とサメの絵を描いた標識を掲げるとともに、サメたちに鶏肉や豚肉を与えていたそうです。

    このゴルフ場の統括部長であるスコット・ワグスタッフさんはニューヨーク・タイムズの取材に対して「ここにいるすべてのメンバーはサメが大好きです」「私はサメたちが水から完全に飛び出し、回転しながら着水するのを見ました。とてもクールでした」と振り返っています。

    公式サイトを見ると、このゴルフ場のシンボルマークはサメのような姿になっています。サメがいなくなった2022年にも「シャーク・レイク・チャレンジ」というイベントが開かれていました。

    【動画】ゴルフ場の池を泳ぐオオメジロザメ (2011年にYouTubeに投稿)

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