「どんな服で、どんな人と、今年何回目…」渋谷にAIカメラ100台設置プロジェクト、サイトの記載を削除「個人情報には該当しない」

    渋谷駅周辺にAIカメラを100台を設置するプロジェクトについて、運営会社がWebサイト上の表記を削除したと公表しました。「誤解を招く可能性のある記載」として削除したのは、収集する情報に関する記載。ある人が渋谷に来たのは、今年何回目で、 どういう移動をして、どんな人と来ているのか……といった情報です。気づかないうちに個人情報を取得される懸念を招き、「怖すぎ」とネット上で警戒感が広がっていました。

    渋谷駅周辺にAIカメラを100台を設置するプロジェクトについて、運営会社がWebサイト上の表記を「誤解を招く可能性のある記載」として削除したと公表しました。削除したのは、収集する情報に関する記載。渋谷に来たのは、今年何回目なのか、 どういう移動をして、どんな人と来ているのか……といった情報です。

    気づかないうちに個人情報を取得される懸念を招き、「怖すぎ」とネット上で警戒感が広がっていました。

    「渋谷駅にAIカメラ100台設置 2023年7月開始、1人1人に合わせた理想の渋谷へ」の図

    このプロジェクトは「渋谷100台プロジェクト」と題し、渋谷駅周辺に100台のAIカメラを設置するというもの。

    カメラの映像は交通整理やマーケティングなどに利用するとしており、サイトでは当初「オフライン顧客の見える化」とした説明図で、特定の人物の情報を蓄積していくことを示していました。

    この図には、

    「40代/男性、同席者有り(30代/女性)、ブランドAを着用/所持、休日12時より渋谷に銀座線で到着、ヒカリエでランチ、 明治通りを通り、宮下パークへ低速で移動(ショッピング目的を想定)、月3回目(前回:休日◯曜日)・今年10回目の渋谷、ヒカリエ来店数◯回、前回店舗A・Bにて購入を実施・・・」

    と記載されています。

    「オフライン顧客の見える化」の説明図

    ネット上では、「怖すぎる」「自分たちの知らないところで継続的にトレースされて、しかもそれに気づかない」「個人情報がどのように保護されているのか等、透明性に欠ける」などの懸念が続出しました。

    削除内容は……?

    懸念が広がっていることを受け、運営会社の「Intelligence Design」はサイトでこの図を削除。カメラでわかる顧客像について、「通年でデータを保有すること」「追跡して検知すること」「広域で検知すること」などの記載もなくしました。

    運営会社はサイトの記載を修正する説明の中で、収集する情報は「個人情報保護法の定義する個人情報には該当しない」と明記。

    個人情報の取り扱いについて、個人情報保護法や総務省の定めるガイドブックを遵守し、弁護士などのアドバイスを参考にした上で、「適切な管理を行っております」と説明しています。

    またカメラで取得する映像については、「解析後に映像データを即時破棄する運用となっており、個人情報を含む映像データの保存はしておりません」と記しています。

    どういうプロジェクト?

    このプロジェクトは、渋谷駅周辺の商業施設・公共エリアにAIカメラを100台設置し、リアルタイムで利用者の人流データ取得し、解析するというもの。2023年7月から順次、設置を開始することになっています。

    イメージ図

    リアルタイムでデータをAI解析し、「ハロウィーンや年末年始のカウントダウン時といった混雑時の防犯における警備員配置の最適化や人材不足の解決」を目指すとしています。

    また、マーケティング面でも活用。道路の通行量や商業施設への入店客数、利用者の属性情報(性別・年代)、滞在時間等の人流データについて、「複合的に可視化・分析したビックデータを一部オープンデータ化し、各協賛事業者が利用できる形で、渋谷のまちに還元することを予定しております」としています。

    さらに、映像から抽出される人数、属性、滞留状況情報には「個人を特定できる情報を含みません。また、カメラで撮影した映像は解析情報を抽出した後、即時破棄し、保存しません」とも明記しています。

    設置区域

    修正に対する反応は?

    運営会社が修正して以降ネットからは、

    「『即時破棄し、保存しません』……なら、落書犯の検挙などには使えないってこと(´・ω・`)? 防犯カメラではないのね」

    「『うちの店に3:10にきた客はその前にどこに寄り道してきたか』が明らかになるわけで、それはいやだなぁ」

    「マーケターの目線しかない感じだった」

    「すでに渋谷には100台くらいカメラあるんじゃないの」

    などの声が上がっています。