被害者10人以上、警官が強制性交で起訴。「私は権力者」「証拠を消せる」と脅し…

    「私は権力者。証拠を残さずに殺すことだってできる」英ロンドンで十数人の女性に性的暴力や監禁などを行った容疑で、警察官の男が逮捕・起訴されました。

    英ロンドンの男性警察官が、12人の女性に性的暴行を加えたとして逮捕・起訴されていたことがわかりました。

    ロンドン警視庁の警察官デビッド・キャリック被告(48)は強制性交罪や監禁罪などで逮捕・起訴され、法廷で1月16日、24件の強制性交を含む49の起訴事実を認めました。ロンドン警視庁は翌日、キャリック被告を懲戒免職としました。

    ロンドン警視庁の発表によると、1月13日の予備審問段階でキャリック被告は20件の強制性交を含む計43の罪(起訴事実)を認めていましたが、法廷ではそれを上回る数の起訴事実を認めました。

    被害女性の1人が匿名で英ガーディアン紙によせた回答によると、最初はマッチングアプリで出会ったといいます。

    女性は、キャリック被告は出会った当初、「とてもおしゃべりで、礼儀正しい人」だったと答えます。

    しかし、交際関係に発展すると、態度が豹変。逮捕・起訴でわかった強制性交などの性的暴力の容疑だけでなく、人前で恥をかかせる、スマートフォンを管理する、そして職務中にわいせつな動画を送りつけるなどの精神的な虐待も行なわれたと証言しています。

    キャリック被告は、1996〜1997年まで英陸軍の後方支援部隊に従事。2001年からはロンドン警視庁の警察官として勤務していたと同紙が報じています。

    2009年には警察の特殊部隊に配属され、英議会があるウエストミンスター宮殿や英首相官邸のあるダウニング街を警備する職務を務めていました。

    BBCによると、2021年10月に被害女性の1人がキャリック被告を告発し、警察がキャリック被告に職務停止処分を下し、被告の過去の行動の徹底調査に乗り出しました。

    その結果、キャリック被告の強制性交容疑が浮上し、同月中に逮捕・起訴されました。警察当局は、キャリック被告は強姦が女性とのトラブルで警察沙汰になっていたとする調査結果を発表。もっとも古いもので2000年から、過去9度にわたって問題が繰り返されていたことが分かりました。

    しかし、いずれの事案でも逮捕や起訴といった処理は行われていませんでした。

    また、逮捕・起訴直前の2021年9月、地元警察に強制性交容疑で逮捕されていましたが、解雇していなかったこともBBCが報じています。

    法廷後、警察関係者はそれぞれ声明を発表しました。

    同日、バーバラ・グレイ警視総監補(副総監)は、「恐ろしい犯罪の被害を自ら名乗りでて、報告した被害者たちの勇気を称賛します」と声明文でコメント。

    翌17日、マーク・ローリー警視総監は、被害者とロンドン市民に対し、謝罪の意を示しました。「私たち警察の信用は失墜しました。心から申し訳なく思っています」

    「彼(キャリック被告)は警察官になるべきではありませんでした。残忍な方法で女性を虐待しました。気分を害します」

    「被害を受けた女性や少女、そしてロンドン市民にお詫びいたします」

    ローリー氏は、BBCの取材に対し、警視庁管轄の現役警官約800人を、計1000件以上の性的・家庭内暴力の容疑で捜査中であることも明かしました。

    Commissioner Sir Mark Rowley: I apologise to all of David Carrick's victims. We have failed. I'm sorry. He should not have been a police officer. I have promised action. Integrity is our foundation - the Met will become ruthless at rooting out those who corrupt it.

    Twitter: @metpoliceuk

    英ガーディアン紙によると、首を絞められたうえレイプされた女性に、被告は「自分は英首相の監視を担当しているんだ。だから行儀よくしていろ」
    「自分はは権力者だ。警察で働いているのだから、証拠を残さずに殺すことだってできる」などと脅したといいます。

    BBCによると、ほかの被害者には、キャリック被告にベルトでむちうたれたり、食器棚に監禁されたり、さらには夜中に手錠をかけられ裸で外に放り出されたりといった虐待を受けていた人もいるといいます。

    キャリック被告の判決は、2月6日に言い渡される予定です。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。  翻訳:髙島海人