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福島に移住した女性が“小さな田舎町”で見つけた素朴な魅力

一般社団法人Switchが運営する複合施設 テラス石森の中山真波さん。福島の郷土料理をPRする彼女が見つけた田村市の魅力を聞いた。

以前、福島県田村市でしか受け継がれていない郷土料理「さい餅」を取材した。

郷土料理というと、土地の飲食店や道の駅で販売されるのを目にすることがあります。しかしこのさい餅はまったくの無名。田村地域の家庭でしか味わうことがきません。

白えごまの風味と豆腐のマイルドな味わいが絶妙。ほんのりと甘くコクが深くて美味しいんです。

詳しくはこちらの記事を読んでほしい。

福島の郷土料理を広める女性

福島の郷土料理を取材する中で、とある女性に出会いました。

一般社団法人Switchが運営する複合施設 テラス石森の中山真波さんです。

テラス石森は市内の廃校を活用し、コワーキングスペースやイベントスペースとして活用する施設。

中山さんは東京から福島に移住し、テラス石森で働きながら地域の食にまつわるPR活動をしています。


(なぜ東京からわざわざこんな田舎に……?)これまでの経緯と、中山さんがみつけた田村市の魅力を聞きました。

被災地の役に立てたら

——東京から福島に来たきっかけは何ですか?

中山さん:母親の出身が福島県伊達郡なんです。子育てとかいろんな流れで6年くらい前に福島にやってきました。

前職は浜通りでまちづくり活動をしていて、その流れで今は田村市に関わっています。


——まちづくりとは具体的にどんなことをされていたのでしょうか。

中山さん:道の駅の開発に携わっていました。もともとカメラマンや販売・流通の仕事をしていたのですが、被災地で役に立てたらいいなと思って。

——田村市ではどのような活動を?

中山さん:田村市やあぶくま地域の食に関わる地域創生です。郷土料理をPRしたり、農産物と飲食店をつなげるような仕掛け作りをしています。

農家さんのあまった食材をどう活用するか、そのアドバイスなども行っていますし、食材の販売・メニュー開発をして情報発信もしています。

——活動の幅が広いですね。ところで田村市の郷土料理というと「さい餅」くらいしか思いつかないのですが、他にもあるんですか?

中山さん:田村市を含むあぶくま地域でいうと「かんぷら」というものがあります。小さな芋を、すったえごまと味噌に和えて食べるんです。

——地元なのに知りませんでした。

中山さん:飯舘村でもかんぷらを食するんですが、えごまは入っていませんでした。同じ郷土料理でも地域性があるんですよ。

ちなみに福島市やいわきにはかんぷらを食べる文化が無いみたいです。同じ福島なのに面白いですよね。

中山さん:この仕事をしていると、90歳くらいのお爺ちゃんお婆ちゃんがとても元気なことに驚かされます。

食べ物も影響しているのかもしれませんね。

——仕事柄いろんな郷土料理を食べてきたと思いますが、お気に入りはありますか?

中山さん:かんぷらも好きだし、葛尾村の凍み餅も大好きです。あと「まんがこ汁」って知ってます? 田村市ではすいとん汁にえごまのパウダーを入れて食べるんです。

——その料理も初めて聞きました。

中山さん:味付けはけんちん汁と同じ味噌ベースなんですけど、私はアレンジして醤油ベースで作ったりしています。

田村市の魅力ってなに?

——東京から来て「福島のここがいいな」と思ったポイントはあります?

中山さん:海も山もあるし、食べ物が美味しいとこですね。凝った調理をしなくても素材そのものの味を楽しめて、幸せな気分になります。

——では田村市にフォーカスするとどうでしょう。

中山さん:ローカル線(磐越東線)を挟んで田園風景が広がっていたり、鍾乳洞があったり、個人的には田村市の鬼伝説にワクワクします。

——たしかに、鍾乳洞がある地域(滝根町)は観光資源が豊富ですよね。

中山さん:星の村天文台があるし、パラグライダーもできますよね。

中山さん:常葉町にはムシムシランド(カブトムシの生態を観察できる施設)があったり、自然と共生してるような不思議な魅力を感じます。福島はそういうところも含めて面白いです。

言われてみると面白いかもしれない田村市

「地元のことって当たり前すぎて魅力に気づきにくいものだ」中山さんと話しているうちにこう気づきました。

新型コロナウイルスが落ち着いたら、郷土料理を食べながら地元を観光してみよう。

子どもの頃とは違った魅力を感じるかもしれないし。

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