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食べきれないお餅が秒でなくなる…!福島で愛される「幻のレシピ」が激ウマだった

福島の郷土料理といえば「いか人参」「凍み豆腐」「じゅうねん餅」などが知られていますが、田村市という地域には「さい餅」(せい餅)という料理が存在します。

福島の"謎"郷土料理を紹介したい

僕のふるさと福島県には、ちょっと不思議な言い伝えのある郷土料理が存在します。

「じゅうねん餅」です。餅にじゅうねんのあんをたっぷり絡めた、それはそれは激ウマな料理です。


「じゅうねん」って不思議な名前ですよね。


じゅうねんの正体は「えごま」。福島では「えごまを食べると寿命が10年伸びる」「10年食べ続けると長生きする」などの言い伝えがあり、じゅうねんと呼ばれているのです。

昨年末、数年ぶりに実家に帰り、じゅうねん餅を食べました。

黒ごまのようにコクがあり、味わいはとてもまろやか。懐かしい田舎の味わいにほっぺたがボトボトと落ちました。


本当に美味しかったー、毎日食べたい!

局所的に受け継がれる"幻の餅"

じゅうねん餅は福島の郷土料理の中でもメジャーな位置づけ。むしろ宮城でも食べるので、東北の郷土料理と言ってもいいでしょう。


しかし……!


実は福島のある地域には、じゅうねん餅の亜種が存在します。これがじゅうねん餅に負けず劣らず美味しいんです。

それは緑の地域「福島県田村市」に伝わる

「さい餅」です。

(光の加減できなこ餅のように見えますが)白えごまと豆腐のあんに餅を絡めた郷土料理です。


えごまは種皮の色によって、白えごまと黒えごまの大きく2種類に分類されます。えごま油は黒えごまから作られます。

「旧大越町史 第3巻 民族」によれば、さい餅の「さい」は、「細(さい)」からきていて、じゅうねんを細くすったタレをつけた餅とされています。


豆腐のマイルドな味わいと白えごまのマイルドな風味が絶妙なんです。さらには餅もマイルドなので、マイルド三重奏です。マイルドの権化といっても過言ではありません。

味付けはしょうゆ、砂糖、だしの素、そしてサラダ油を使います。口当たりがほんのりと甘く、コク深さがクセになります。

私にとってさい餅は、田村市の祖母の味。冬になると餅をついて、腹いっぱいになるまで食べさせてもらいました。

台所でさい餅を作る婆ちゃんの後ろ姿が目に浮かぶ……郷土料理や家庭料理は、懐かしい思い出にふける記憶装置のような役割も果たします。

初心を思い出させてくれる、そんな気もします。

ところで、なぜさい餅が幻か。それは田村市の家庭でしか出会うことができないからです。

あまりに美味しいので県外の方にも食べてもらいたいものの、田村市内で提供している飲食店はありません。販売もされておらず、さらには県内でも田村市以外ではあまり知られていません。

親から子へ、子から孫へ脈々と受け継がれる料理。それぞれの家庭の味を後世に受け継ぐバトンのようなものです。

もう祖母のさい餅を食べることはできないけど、この郷土料理を後世まで受け継いでいきたいものだ。

母の作ったさい餅を食べながら、そんなことを思ったのでした。

ちなみに「さい餅」と紹介しましたが、「せい餅」と記載することもあります。福島の人は訛りが強いので「せぇーもぢ」と言います。

広まれ!さい餅の輪!

材料

つきたての餅:お好みで

白えごま:50グラム程度

木綿豆腐:一丁

しょうゆ:大さじ1くらい

きび砂糖:大さじ1くらい(白砂糖でも赤砂糖でもOK)

だしの素:少々 ※お酒を入れる家庭もあるそうです

サラダ油:大さじ3くらい

作り方

1.適量の白えごまをすり鉢ですり、水をきった木綿豆腐を加えます

2.砂糖、

しょうゆ、

だしの素を加えます。

お湯を少し加えて、伸ばすように混ぜて…

こんな感じになればOK。

3.鍋にサラダ油を引き、くつくつと煮立たせます

4.とろみが出てきたら、つきたての餅を投入

5.よく絡めたら完成です

今夜はさい餅を作ってみよう!

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