3月15日、アブドルアジズはニュージーランド・クライストチャーチにあるリンウッド・モスクの外にいた。
大きな銃で武装した男を目にした時、48歳の彼は男を軍人だと思っていた。
しかし、直後に2人が倒れているのに気づき、男が卑猥な言葉を叫んでいるのを耳にしたという(AP通信)。
彼がいた場所では、7人が銃弾に倒れた。
異変に気づいたアブドルアジズは、礼拝中だった80人に向かって伏せるように叫んだ。
しかし人々は状況をつかめず、ためらった様子だった。銃声が鳴り響き、ガラスが割れ、遺体を目にするまでは。
「2人の息子が『お父さんお願いだから中に戻って』と言っていました」
「『行きなさい、大丈夫だから』と伝えました」とアブドルアジズはロイター通信に語った。
彼は銃を持った男の気をそらすため外に走り出た。男が別の銃を取ろうと車に戻った時、男に向かってクレジットカードの器械を投げつけた。
男が発砲を再開した時も、注意をそらすため車の間に入っていったという。
その後、男はもう一度車に戻ってきた。アブドルアジズは落ちていたショットガンを投げつけた。
窓が割れ、男はそのまま車で走り去った。
AP通信の報道によると、彼の勇気ある行動がなければ死者の数は増えていただろうとモスクのイマーム(礼拝の指導者)であるラテフ・アラビは語った。
「他の人を助けることだけを考えていました」とアブドルアジズは振り返る。