アメリカ・ニューヨーク市内の地下鉄駅で1月15日(現地時間)の朝、アジア系の女性が男性に押され、接近してきた地下鉄車両にはねられて死亡した。
ニューヨーク市警察によると、被害者の女性はマンハッタン区アッパー・ウエスト・サイドに住むミッシェル・アリッサ・ゴさん(40)。
ゴさんは午前9時半ごろ、タイムズスクエア42丁目の地下鉄駅で、電車を待っていたところを襲われた。
ニューヨーク市警察のキーシャント・スーウェル本部長は、「この事件はいわれのないもので、被害者は容疑者との面識はない。無分別な犯行である」と述べている。
女性を押したと見られるサイモン・マーシャル容疑者(61)は現場から逃走し、その後警察署に出頭。第2級殺人の容疑で逮捕された。
ニューヨーク市警察刑事局のジェイソン・ウィルコックス署長は15日午後、容疑者は「過去に3回の犯罪歴があり、精神疾患も抱えていた」と記者会見で発表した。
警察は、彼がホームレス生活をおくっていたとみている。
今のところ、マーシャル容疑者が人種を理由にゴさんを狙ったかどうかは明らかになっていないが、ニューヨーク6区代表のグレース・メン議員は記者会見で、「アジア系アメリカ人は『外国人』『真のアメリカ人ではない』と見られることが多い。私たちは都市一丸で人種差別に反対する」と語った。
一方でウィルコックス署長は、被害者はアジア系であったが、事件の数分前に、マーシャル被告は駅のホームでアジア系ではない別の女性に近づき、彼女に対して脅迫的な行動をしていたことを指摘した。
その女性はマーシャル容疑者に線路に突き落とされるのではないかと心配し、彼がゴさんを突き落とす前にその場を離れたという。
コロナ禍に交通犯罪が増加したため、ニューヨーク市警察は地下鉄のホームと列車のパトロールを強化している。事件当時、地下鉄のホームには2人の警官がいた。
警察とマンハッタン地方検事は、事件を捜査し、証拠を収集している最中だと述べた。
アメリカでは、コロナ禍でアジア系アメリカ人に対する差別的な事件が増えている。
2020年3月には、ジョージア州アトランタでアジア系の従業員が多く働くマッサージ店複数を、21歳の男が相次いで銃撃。アジア系6人を含む8人が死亡する事件が発生した。
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:アシュウェル英玲奈