「壊滅的な出来事がない限り無視」 高層住宅火災 無視された住民の訴え

    「本当に多くの人を火災で失いました。彼らが建物から歩いて出てくることはもうありません」

    ロンドン西部の24階建ての高層住宅「グレンフェル・タワー」で6月14日未明(現地時間)に発生した大規模火災。少なくとも12人が死亡し、大勢の負傷者や行方不明者が出ている。

    安全性への懸念を以前より訴えてきた住民男性の一人は「壊滅的な出来事」でも起きない限り、管理者が安全性向上の必要性を認識することはないだろう、という内容をブログに記載していた。

    エドワード・ダファーンさんは(55)住民団体「グレンフェル・アクション・グループ(Grenfell Action Group)」のメンバー。住宅を管理する民間業者・Kensington and Chelsea Tenant Management Organisation (略称KCTMO)に対し、長い間苦情を申し入れてきた。

    昨年11月20日、ダファーンさんはブログにこのように綴っている

    本当に恐ろしいことだが、壊滅的な出来事でも起きない限り、私たちの住む住宅の管理者の不適格と無能を、世間の人たちに知ってもらう機会は訪れない気がしている。そのようなことでも起きないと、居住者の健康と安全を無視する管理者の姿勢が改善され、私たちの今の危険な生活状況が終わりを迎えることはないのではないか。

    ダファーンさんは、14日の火災では無事だったものの、煙に取り囲まれ、居住している16階の部屋から、消防士に助けられながら脱出したとBuzzFeed Newsに語った。

    「管理者は私たちに対し、火災の危険性のことも含めて、あまり良い扱いをしてきませんでした。壊滅的な火災のようなことが起きない限り、管理者が動くことはないだろうと予想していました。他の住民にも心の備えだけでもしていて欲しいと思っていましたが、こんな形で現実になってしまいました」

    ダファーンさんは、こう続けた。

    「本当に多くの人を火災で失いました。彼らが建物から歩いて出てくることはもうありません」

    この記事は英語から翻訳・編集されました。