「アキラ・ヨシダ」という名が、現在、アメコミ界で物議を醸している。
アキラ・ヨシダへの"取材"をもとに書かれた特集記事も存在する。
そこには、日本で育ったヨシダについてこう綴られている。
「父は海外とのビジネスも経営していたため、幼少期をアメリカで過ごすこともあった。スーパーヒーローのコミック読んだりテレビ、映画を見たりして英語を学んだ」
「日本の小さなコミック出版社『富士見書房』で編集の仕事を始めた。『ロードス島戦記』で知られる水野良、そして麻宮騎亜など作家やマンガ家とそこで知り合った」
実際、セブルスキー氏本人も日本で暮らしていた経験がある。
暴露されるヨシダの正体
セブルスキー氏はその後、マーベル・コミックを一度離職してタレント・マネージャーとして戻ってきた。ヨシダは、同じ時期にコミックを書くのをやめている。
セブルスキー氏は、タレント・マネージャーとして世界中の若者をスカウトしていた。
そして、セブルスキー氏がマーベル・コミックの編集長に就任すると決まってから、アメコミ界の関係者たちがTwitterで相次いで「ヨシダはセブルスキーだった」と指摘し始めた。
Twitter上で関係者たちによる暴露が相次ぐ中、ジョンストン氏はセブルスキー氏にコメントを求めた。すると、セブルスキー氏は次のように回答している。
アキラ・ヨシダというペンネームは、書き始めてから約1年後にやめた。明かにされていなかったことだが、この名前でライティングやコミュニケーション、プレッシャーについてたくさん学んだ。若くて未経験だった私は、学習しなければいけないことが多かったのだ。
しかし、すべて過去の出来事であり、解決されていることだ。そして今、マーベル・コミックの新編集長として心機一転し、マーベル・コミックでの今までの経験を世界中にいる有望な若者たちと共有していきたい。
アキラ・ヨシダは架空の人物だったと認めたこの回答は、アメコミ界の人々の怒りを引き起こしている。
日本では、ペンネームでマンガなどを制作している人は珍しくはない。なぜ、アメコミ界でセブルスキー氏の告白が物議を醸しているのか?
アメコミ界は白人男性が主流で、多様性に欠けている。非白人や女性ライターの多くは、西洋読者が受け入れられるような名前、画風に合わせてきた。
そんなライターたちにとって、セブルスキー氏が共有したいと語る"体験"は、納得のいかないものだった。
中には、「どんな文化の人々も、自分たちとは違う文化のペンネームやあだ名を使ってきた」とセブルスキー氏を擁護する声があるが、それに対する反論もあり、意見が分かれている。
また、セブルスキー氏がペンネームを使ったことを問題視する一方、アジア人ライターの才能を見出したのも彼だったと、タレント・マネージャーとしての業績を述べるマーベル・コミックの元社員もいる。
ジョンストン氏はセブルスキー氏の暴露記事を出した理由について「すべてはタイミングだった」とBuzzFeed Newsに話す。
現在、アメコミは今まで以上にアメリカの文化の一部として重要視されるようになっているという。
アメコミは今後どうあるべきか。人々に関心を持ってもらうことが「アメコミの未来の助けになっている」とジョンストン氏は見ている。
ジョンストン氏によると、記事に対する反応は分かれている。
なぜ問題になっているのか理解できない人。最悪な『イエローフェイス(白人が東アジア人を演じること)』のパターンだと思う人。面白いと感じる人。悲劇だと感じる人。がっかりしている人。昔からあることだから、と妥協している人。
そのような反応があるという。
「共感できていない声が多いとは思うけど、それがネットというもの」
この騒動をきっかけに、マイノリティの描写の重要性をマーベル・コミックが思い出してくれれば、とジョンストン氏は願う。
「マーベルは、色々な人の人生経験によって語られる多様なストーリーで、多様な人々を惹きつけることができると思い出してほしい」
マーベル・コミックの代理人はBuzzFeed Newsの取材に対し、セブルスキー氏がペンネーム「アキラ・ヨシダ」を使ってコミックを書いていたことを認めたが、公式声明を発表する予定はないとコメントした。
また、BuzzFeed Newsはダークホースコミックスにもコメントを求めている。
この記事は英語から翻訳・編集されました。