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生理に悩んでいても、朝は来る。女性が女性の身体のために開発した小さなツール

「PMSがつらい人に『ときには休んでもいいよ』と言えるツールを作りたかった」

腹痛、頭痛、イライラ......月経がはじまる前に起こる「月経前症候群(PMS)」の症状に、毎月のように悩まされている女性たちがいる。月経周期を記録することで周期的な体調変化に気づくことをサポートするセルフモニタリングツール「Monicia」を、コニカミノルタが開発している。

量産化のためのクラウドファンディングをReadyforで実施し、目標金額を達成。女性の身体や性の悩みを解決するテクノロジー「フェムテック」の一つとして注目が集まっている。

新規事業でPMSに着目した理由

Monicia / konicaminolta / Via konicaminolta.jp

Moniciaのサイト

開発したのは、コニカミノルタの新規事業開発部門「BIC Japan(Business Innovation Center)」の江尻綾美さん。京都大学大学院医学研究科の江川美保助教(婦人科学産科学)らの研究グループとの共同研究によって、PMSに悩む女性へのインタビューや3カ月間の実証実験もした。

もともとオフィスサービスや印刷機器などが事業分野のコニカミノルタは、ヘルスケア分野にも進出し、X線や超音波の画像診断装置を手がけている。今回、新規事業でPMSに着目した背景には、江尻さん自身の体験がある。

毎日、記録をしたら体調変化に気づいた

Akiko Kobayashi / BuzzFeed

BIC Japanの江尻綾美さん

江尻さんは、メンタル疾患によって休職と復職を繰り返していた時期があった。30分で終わる作業が半日たっても進まなかったり、同僚の何気ない一言で落ち込んでしまったり。「この世界に自分はいらないんじゃないか」と思うことさえあった。

気持ちの浮き沈みにどう対処すればいいのか模索しながら始めたのが、エクセルシートに毎日の体調を記録することだった。その記録を見ると、症状には波があり、生理前に強く出ていることがわかった。婦人科でPMSと診断された。

適切な治療やカウンセリングを受けたことで、体調が良くなっていくことを実感をできたという。

「PMSってなんとなく言葉は知っているけれど、体調にどう影響するかという知識やケアは行き届いているとはいえません。私自身、記録をして気づいたことが多かったので、その経験を生かしてストレスやメンタルをサポートするツールをつくりたいと考えました」

寝ている間に温度を測る

Akiko Kobayashi / BuzzFeed

小さな卵型のデバイスを衣服に取り付ける

江尻さんが開発したセルフモニタリングツール「Monicia」は、小さな卵型のデバイスと、スマホのアプリのセット。

寝る前に卵型のデバイスをパジャマのズボンに取り付け、計測ボタンを押すと、眠っている間に2つのセンサーが腹部の温度を感知し、10分ごとに計測する。

朝起きてからデバイスを取り外して送信ボタンを押すと、睡眠中の温度データがアプリに送られる。毎日記録を続けることで、低温期・高温期の周期的な変化がわかるというものだ。

ときには休んでもいい

Akiko Kobayashi / BuzzFeed

眠っている間の衣服内の温度がアプリに記録されていく

生理周期を把握するには、毎朝、基礎体温を測って記録する方法が一般的だが、江尻さんは自身の体験をもとにこう話す。

「毎朝かならず起き上がる前に舌下式の体温計をくわえるということが、PMSで朝がつらい人には負担になることがあります。計測に失敗したことで自分を責め、嫌な体験ととらえてしまうこともあるので、できるだけ無理なく続けられる方法にしたかったんです。ときには休んでもいいよ、と言えるくらいに」

アプリでは、温度の記録のほか、「疲れやすい」「食欲不振」「過食」「不眠」「むくみ」など、自身が気づいた体調を選択して記録することができる。自由に項目を設定することもでき、妊娠を望むときの記録や、服薬管理などにも利用できる。

1カ月間を振り返ると、カレンダーで高温期と低温期が一目でわかるとともに、「身体の調子が良かった日数」「心の調子が良かった日数」がレポートされる。

「今月も調子が悪かった」とネガティブにとらえるより、「良かった日がこれだけあった。来月はもっと増えるといいな」とポジティブにとらえてもらいたいというのが、江尻さんの願いだ。

PMSがあるからダメなんじゃない

Akiko Kobayashi / BuzzFeed

カレンダーで高温期と低温期、身体と心の調子が一覧できるようになっている

共同研究ではPMSに悩む女性たちにインタビューし、その声を開発に生かした。

「PMSがつらい人の中には、なぜ女性に生まれてしまったのか、とまで考えてしまう人もいます。いわゆる『女性らしさ』があるピンク色は採用せず、デコラティブな装飾もせず、清潔感や安心感を重視したデザインにしました」

日本医療政策機構の「働く女性の健康増進調査2018」によると、55.6%の女性がPMSの症状があると答えたが、「何も対処していない」と答えた人が63%だった。症状の強さや感じ方には個人差があり、「まずは自分の症状やリズムを把握・理解してもらえたら」と江尻さん。

「ストレスがかかってくると月経がくるのが遅れたり、重くなったり、PMSがつらくなると感じる人もいます。PMSに悩んでいる人もそうでない人も、自分の周期的な心と体の変化を知ることが、体調管理の第一歩になります」

「PMSがあるからダメなんじゃない。それがあっても働けるし、やりたいことができる、と前向きな気持ちになってもらいたい。そして職場ではお互いに理解し合えるような環境になるといいですね」

Moniciaは一般販売に向けて開発中で、デバイスの価格は1万円前後を予定しているという。

Nozomi Shiya / BuzzFeed

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Contact Akiko Kobayashi at akiko.kobayashi@buzzfeed.com.

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