慣れ親しんだ文房具にはこんな魅力があった。消しゴムハンコが想像を越えてくる件。

そんなツイートとともにポップな消しゴムはんこを投稿し、普段フリマアプリで自作の消しゴムアートを販売するsiroさん。

いったいどうしてこんなに細かいアートを消しゴムに？

魅力を聞きました。

きっかけはお母さんから、学生の頃に使っていたデザインナイフをもらったことだったと語ります。

「母は消しゴムはんこを作ったことがないのですが、学生時代にこするだけで転写することが出来るシートが流行っていたらしく、その時にデザインナイフを使っていたらしいです」

小さい頃からものづくりは好きだったというsiroさん。せっかくだからナイフを使って何か作ろうと思いたち「消しゴムはんこ」の存在を知りました。

「手作りのはんこというと芋版等の素朴な物という印象しか無かったため、消しゴムで作られた、繊細で素敵な作品の写真の数々に衝撃を受けました」

また基本的に、消しゴムはんこはデザインナイフ1本で彫り進めることができると知り、その手軽さもとても魅力的だったと話します。

「道具も100均等ですぐに揃えられるものばかりで、始めるハードルはかなり低かったです」

そこからsiroさんの消しゴムはんこ作りは始まりました。

今のように精巧な消しゴムはんこを彫れるようになったのは、オーダーを受けるようになったことが大きいのだと話します。

「始めたばかりの頃、彫るのはとても楽しかったのですが使うこともなくただ保管に困るようになってしまいました。

捨てるのも勿体ないのでフリマアプリで販売してみたら、あるお客様からオーダーで作ってほしいと言われたんです。正直なところ、今の私があるのはその方のおかげです。そこから消しゴムはんこのオーダーを受付けるようになり、本当に様々なデザイン、大きさのものをたくさん作らせていただきました」

図案の細かい物や難しいものを拒まずに受け、最善を尽くすことの積み重ねが自分の技術となって、現在の自信となっていったと語ります。

「完成品を見て、これなら買わないと言われたことももちろんあります。それでも、もっと精度をあげようと努力することに繋がったので、それら全て含めオーダーを始めて良かったと心から思います」

また、Twitterで他の作家さんとの繋がりが出来たことも上達の要因なのだと言います。

「自分の作品について生の声を聞くことができ、嬉しいお言葉、また本当に励みになる言葉ばかりでした。「自分の作品を公開する場がある」ということも大切なのだと思います」

実は今の形になるまで、自分なりにトライアンドエラーを繰り返されていたのだとか。

「消しゴムはんこは、細かいものや余白の広いものが難しいので、これはネットで色々調べ、自分なりに試行錯誤しました」

siroさんの消しゴムはんこは、オーダーメイドを含む、販売用のものと、趣味で作っているものの2つに分かれているといいますが、それぞれこだわりが異なっているのだと語ります。

「ご購入いただく物はやはり清潔感や見た目の美しさ、耐久性や使い心地等を一番に考えています」

特にオーダー品は、内容や依頼者様に合った消しゴムの色を使ったりと、自分の個性を出すというよりはお客様第一で制作することを心がけているのだと話します。

対して趣味で作っているものは「消しゴムはんこの可能性」を模索する中で生まれた作品なのだとか。

「はんこの概念を覆すような、それでいてはんこならではの良さが活きた作品であることを一番に考えています。そのため、見た目の美しさは同じようにこだわっていますが、使い心地等はあまり気にしていないです」

オーダー品は基本的にいただいた図案の通りに彫るため時間の目安もつきやすいと言いますが、趣味のものはイメージやデザインを固めるだけでもかなりの時間がかかるのだと言います。

「私はイラストや絵が得意では無いため、ぼんやりしたイメージを形にすることに毎回苦労するのですが、それでも少しずつ形になっていくことがとても楽しく、出来たときの達成感と喜びは何にも代えがたいです」

1点目は常に身の回りのものを丁寧に見るようにしているのだと話します。

「特に、普段の生活の中での風、光、音、色は直接的なひらめきにはなりませんが、自分にとって、また全ての作品を作る上で大切な要素になっています」

2点目はどんなに小さくても自分の好きなことや気になることを増やす努力をすることだと答えます。

「例えばTwitterには本当に多くの素敵な作品があって、どのように作られたか、それを作られた方がどんなことに興味を持っているのか、何に影響を受けているのか等、そこから広がる世界に興味をもつほど、視野が広がってより多くのことに気づけるようになると思っています」

実際そこからアイデアが生まれることもありますし、何より知らない世界を知ることはとてもわくわくするのだとか。

「アルミ製で丈夫、適度な重みで重心が手元に近く、細かな部分がとても彫りやすいです。見た目もシルバーでシンプルなデザインが気に入っています」

以前、お母さんから譲り受けたものよりもこちらのほうが手に合っていたということで、過去に使用していたものは保管しているということです。