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「大金を積まれたとしても…」日テレがDHCのCMを"差別的表現”で拒否した経緯とは

吉田会長はDHCの公式サイト上で「似非日本人はいりません。母国に帰っていただきましょう」「NHKは日本の敵」「社員のほとんどがコリアン系」「チョントリー」などという在日コリアンに対する差別的な表現などをたびたび掲載していた。

化粧品販売大手DHCの吉田嘉明会長が、サイト上に在日コリアンに対する差別的なメッセージを繰り返し載せていた問題。

これを問題視した日本テレビが、DHCへのスポットCM枠の販売を拒否していたことが、5月12日までに明らかになった。吉田会長が新たに文書を記した。

関係者によると、日テレ側は会長のメッセージを「会社としての意見」と受け止め、拒否した。その金額は数千万円分とみられるという。

(*この記事には差別的な文言が含まれます。閲覧にご注意ください)

吉田会長はDHCの公式サイト上で、たびたび「似非日本人はいりません。母国に帰っていただきましょう」などという在日コリアンに対する差別的な表現や、「NHKは日本の敵」「社員のほとんどがコリアン系」「チョントリー」という、根拠に基づかない他社批判をたびたび掲載していた。

多くの批判を集めていたが、5月12日夕方までに文書を更新し、「私はレイシストなんかでは全くありません」「好き嫌いということでは、私の周りにいるコリアン系の人たちは大好きな人たちばかり」などと新たに記した。

そのうえで、改めて「日本の中枢を担っている人たちの大半が今やコリアン系で占められていることは、日本国にとって非常に危険」とする根拠のない持論を展開した。

吉田会長は新たな文書で、DHCが新聞折り込み広告を毎日折込、読売IS、サンケイアイの3社に拒否されたとことに加え、日本テレビにスポットCMの申し込みを拒否されたとも記している。

それによると、DHCが日本テレビに代理店を通じてスポット広告を申し込んでいたところ、「民族差別会社の広告は受けられない」と拒否をされたという。

この点について、吉田会長は「私がブログに書いた文章が朝鮮民族に対しての差別的表現になるというのである」などと不満を示している。

「金銭よりも守るべきものがある」

日本テレビ広報部は「個別の企業のCMに関してはお答えしておりません。CMに関しては、放送基準に基づき内容が適正であるかを判断しています」と回答した。

一方、状況を知る関係者によると、日テレ側は吉田会長のメッセージが掲載されたのち、差別的表現があることを問題視。広告の受け付けを事実上、拒否したという。

DHCのサイト上に掲載されている以上、会社としての意見であると判断。差別的な表現に懸念を示し、販売を事実上拒否した。広告費用は数千万円だったとみられるという。

関係者はBuzzFeed Newsの取材に対し、「日本テレビの営業幹部は『金銭よりも守るべきものがある』と判断したようです」と語り、こうも続けた。

「今回は在日コリアンに関する差別でしたが、これがどこの国を対象にしたものであろうが、日テレの判断は同じだったと思います。テレビという公共性の高いメディアだからこそ、大金を積まれたとしても毅然と立ち向かうことは大切な役割なのではないでしょうか」

DHCをめぐっては、「包括連携協定」を結んでいる高知県南国市や熊本県合志市が、吉田会長の文書が差別的であるとの理由から協定を解消・凍結したほか、複数の自治体が見直しを含む検討に入っていることが、BuzzFeed Newsの全21市町への取材でわかっている。

また、この問題は国会でも取り上げられている。今年4月2日の衆議院法務委員会では、自民党の武井俊輔議員が「ヘイト企業のあり方も非常に残念」と質問。

上川陽子法相が「企業にはむしろ率先してヘイトスピーチを含めたあらゆる差別・偏見をなくして、人権に配慮した行動をとるということについて考えて、深く行動していくことが大事」と、否定的な答弁している。