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朝日新聞で上司が記者の勤怠を改ざん 10人分、最大月56時間短く

BuzzFeed Newsが社内文書を入手した。電通の事件で長時間労働に注目が集まるが、それを報じるマスメディアで上司による部下の勤務時間の改ざんがあった。

朝日新聞社で記者の申請した出退勤時間を上司が改ざんし、一定の基準内に収めていた問題で、その人数が記者10人、計26ヶ月におよぶことが、BuzzFeed Newsが入手した社内文書と同社への取材でわかった。

BuzzFeed Newsが入手したのは、朝日新聞社の労働組合が3月3日、メールで配信した文書だ。

それによると、改ざんが見つかったのは2015年6月から16年5月までの10人分、延べ26ヶ月分だ。関係者によると、大阪本社経済部だという。

「みなし労働制」を採用している記者職では、出退勤時間から1日あたり8時間を引いた「措置基準時間」が健康確保や労働実態把握の目安となっている。

同社によると、月100時間を超えると産業医の面談が受けられるようになり、180時間もしくは3ヶ月連続で120時間を超えると、面談が義務付けられる。

改ざんには、措置基準時間を一定以内に収める目的があったとみられる。

ただし、今回の問題は、残業代の未払いとは無関係だ。「みなし労働制」では残業代が固定で決まっているためだ。

1ヶ月で計56時間30分、短く改ざんされていた社員もいた。最初に改ざんに気づいた社員のもので、今回発覚したケースの中では一番大きい。

BuzzFeed Newsの取材に、同社は「勤務記録を勝手に書き換えるやり方は論外です。時短についての認識が根本的に誤っていたと言わざるをえず、会社として容認できるものではありません」と回答した。

所属長は問題発覚時と今回の2度に渡って処分を受けているが、同社はその内容を明らかにしていない。改ざんされた社員には今後、個別に説明をするという。

また、2016年11月の社内調査では、同様の事案は他に見つからなかったという。同社では、再発防止策として、一度提出した出退勤時間を勝手に書き換えられないようにする、などの方法を検討している。

長時間労働の問題は、朝日新聞社に限ったものではない。メディア業界に蔓延しているものだ。

朝日新聞社は記者職ではない社員に違法な労働をさせたとして、2016年12月、中央労働基準監督署(東京)から長時間労働での初の是正勧告を受けている。

「仕事のやり方の見直し」を最重要課題としている同社。

各部署からボトムアップでアイデアを募集するなど、全社的に労働時間削減や働き方改革を進めていくという。

BuzzFeed Newsでは、記者たちの労働の実態を『「うちは電通のこと書けないね」長時間労働に悩む女性記者たち マスコミの抱える課題』にまとめています。