新型コロナウイルスの感染拡大を受け、小池百合子都知事が「週末の外出自粛要請」をした3月26日、ネット上に「首都封鎖宣言」「東京ロックダウン決定」などの誤った情報が広がった。
あくまで現状の措置は、そうした事態を防ぐための外出自粛要請だ。情報のなかには「水・食料品が買い占めで消える」などとパニックを誘発しかねないものもあるため、注意が必要だ。
小池都知事は3月25日夜、東京都内の感染者が41人と一日の増加数がそれまでで最多になったことを受け、緊急会見を実施。
感染爆発に至るか否かの重大局面にあるとして、週末の外出自粛や自宅勤務、夜間の外出自粛を呼びかけた。
感染爆発(オーバーシュート)を防ぎ、生活や経済などへの影響が著しい「ロックダウン」(都市封鎖)を招かない狙いがある。
しかしネット上には、「東京ロックダウン決定」「首都封鎖宣言」と不安をあおる誤った情報が広がった。
前者のツイートは会見よりも前にツイートされており、2000リツイート、5000いいねされるなど拡散。
後者の「オレ的ゲーム速報」の記事は会見後、「スーパーがとんでもない混雑になり水・食料品が買い占めで消える」などと記しており、コメントが1000以上ついている。
そもそも「ロックダウン」とは?
そもそも、ロックダウンの定義とは何か。
新型コロナウイルスをめぐる政府の専門家会議の3月19日の提言では、欧州での措置に触れながら、「数週間の間、都市を封鎖したり、強制的な外出禁止の措置や生活必需品以外の店舗閉鎖などを行う(…)強硬な措置」としている。
今回の小池知事の自粛要請とは異なる、強制的な措置を指すことがわかる。なお、日本の場合、現時点では包括的なロックダウンを規定する法律はない。
「強制的な移動制限」については西村康稔担当相が3月11日の衆議院内閣委員会で、先日成立された新型コロナウイルス対策特措法ではなく、感染症法を適用することで可能になるとの見解を示している。
同法33条には72時間以内という条件つきで、都道府県知事が「病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある場所の交通を制限し、又は遮断することができる」と定められている。
しかし、この対象は「エボラ出血熱」などの一類感染症のみで、新型コロナウイルス感染症は、現時点では含まれない。このため西村担当相は、実際の交通制限や遮断には、政令改正の手続きが必要になるとしている。
いずれにせよ、現段階では、東京を含む国内の都市でロックダウンは実施されていない。
予断を許さない状況にあることには間違いがないが、こうした状況では、パニックをあおる情報が広がりやすい。その真偽にはいっそう注意を払う必要がある。
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