4年ごとに「ドレサージュ (馬場馬術)」 だとか「イベンティング (総合馬術)」だとか、難しい馬術用語を山ほど聞かされるよね。
馬術は上品なオリンピック種目の1つと見なされている。でも、今年の乗馬はずっとヘビメタだ。それは、馬の名前に反映されている。
この馬の名前は、プレッツェルでも、スノーボールでも、リトル・ジョーでもない。
サモン・アップ・ザ・ブラッド(血の精をよびさませ)だ。
「血の精をよびさませ」って……。
サモン・アップ・ザ・ブラッドに乗るのは、シルクハットをかぶった、カルロス・パーラという名のブラジルの選手だ。
サモン・アップ・ザ・ブラッドは、元をたどると、シェイクスピアの戯曲「ヘンリー五世」にでてくる表現。舞台で演じたトム・ヒドルストンが以前、サッカーでイギリスを応戦する際に、ツイートしたりしていた。
それとも名付けた人が単に「ザ・クラフト」とか、ホラー映画が好きなのか。
いずれにせよ、はっきりしていることがある。サモン・アップ・ザ・ブラッドは、このオリンピックで最高の名前だ。
いい夢、見てね!
「ヘンリー五世の」訳文は、『筑摩世界文学全集17 シェイクスピアⅡ』より抜粋しました。