このままじゃ結婚できない。超トップYouTuberが人気絶頂期でも感じた大きな危機感

フィッシャーズのシルクロードさんが恐れる、「2019年のフィッシャーズ」とは一体。

人気YouTuberグループ「フィッシャーズ」のシルクロードさんが、実体験をもとにしたホラー映画「カカリ-憑-」を製作した。8月12日より1週間限定で劇場公開するも、チケットは即完。生々しい怖さが評判を呼び、19日より東京と大阪で追加上映が決定した。

BuzzFeedではそんな本作にちなんで、シルクロードさんに心霊体験以外で恐れていることを聞いてみた。

思い出す2019年の恐怖

▲フィッシャーズのシルクロードさん / BuzzFeed

ーー心霊体験以外でシルクさんが恐れていることってあるんですか。

怖いなって思うのは、過去の自分らなんですよ。2019年のフィッシャーズが、正直一番怖くて。

なにが怖いって実績。その年はフィッシャーズの動画が19億回再生されたんですね。アジア部門でトップ、世界ランキングで9位。日本人で唯一入ったんですよ。

世界ランキングの中には、YouTubeの王座に近いと言われている海外のチャンネルなんかもいて。差が1億とか2億だったんですよ……この年のフィッシャーズはマジで狂ってたなって。

▲2019年、その年のYouTubeで最も視聴されたクリエイターとして世界9位にランクイン。日本人で唯一のランキング入りとなり、毎年、チャンネル登録者数数千万人クラスの海外チャンネルが並ぶ / 提供写真 / Via buzzfeed.com

ーー当時の勢いだったら、「王座」も狙えたかもしれないですね。

時々、2019年の自分らを思い出すんですよ。動画をアップして10分で10万、1時間で120万再生とかいってておかしいだろって。そういう動画を連発してたんです。

和装している時期だったんですけど、この時のフィッシャーズを見ると怖くなります（笑）当時はまだショート動画がなかったのに19億回ってイカれてる。そんな意味で過去の自分らが怖いなって。

ーー2019年はなにがあったんですか。

頭がバグってたんです。「死んでから寝る」って考えてたんですよ。

ーー！？

死んでからいっぱい寝ればいいのに、なんでいま寝ることをえらぶんだって。漫画みたいな話なんですけど、あの時はがむしゃらにやればやるほど、すべてが結果につながってたんです。それもアホみたいなだなって（笑）

でも、体力的には全然いけてしまっていた。だから歯止めが効かなくなっていました。

立ちながら寝て、崩れ落ちて目を覚ますみたいな。それでまた編集する。イカれてたんです。YouTubeにすべてを捧げすぎていた。こんな時期が2017年から2019年まで続きました。

気づいた、このままじゃ結婚できない

2019年夏、大阪万博記念公園で「鬼ごっこキミ達vsフィッシャーズ」を開催。フィッシャーズが鬼役となり、逃げ役には1万人以上の一般人が参加。ギネスワールドレコーズによる世界記録を達成した / 提供写真 / Via buzzfeed.com

ーー2019年はWeb動画のアカデミー賞とも言われる「Streamy Awards」を受賞、夏には1万人以上の鬼ごっこを開催してギネス記録を達成しました。まさに人気絶頂期とも言えると思うのですが、翌年の2020年からはなにか変わっていったんですか。

これから先も長くYouTubeを続けるには、ちょっといろいろ考えないとな、と思って。

周りが結婚しはじめたんですよね。それを見ていたら、ぼくも結婚したいなって。このまま続けたらぼくは家庭を持てないと思ったんです。

ーー24時間365日、すべてをYouTubeに使っていたわけですもんね。

ぼく、子どもが好きなんです。30手前で結婚できたらいいなとか考えてたんですけど、今のままじゃ無理そうだなって。昔なんか20歳で結婚してると思ってましたからね。

8月19日に28歳の誕生日を迎える / BuzzFeed

ーーメンバーのンダホさんとザカオさんが先にご結婚されました。

そうなんです。ンダホは子どもまで生まれて。YouTubeやりながら子育するって大変だよなって、身近で見ていて感じることもあります。メンバーとの付き合い方もいろいろ考えなきゃいけない。

むちゃくちゃなスケジュールをやり続けると、奥さんにも負担をかけるだろうし、そうするとメンバー本人もしんどくなる。だったら、そうなる前に自分たちから変わった方がいいと思いました。

ーーどう変えていったんですか。

スタッフをいれたり、1日のスケジュールをいろいろと工夫するようになりました。ちゃんと休憩を挟んで、1日4〜5本撮ってたのを半分にしたりとか、体力を使う運動系の撮影はマックスで2本までにしたり。あとは休む時にはしっかり休むってスタイルにしました。

▲お風呂で食事をするなど、シルクさんの驚異的な体力が垣間見える動画となっている / Via youtube.com

ーーシルクさんは、短時間の睡眠でも平気だったり体力のレベルが異次元じゃないですか。自分自身はまだまだ動けるのに……みたいなジレンマはなかったですか。

ぼく自身は今でも全然大丈夫ではあります。でも、フィッシャーズはひとりじゃないのでみんなの状況を見て考えていかなきゃいけない。今は大丈夫でも、さすがに40歳50歳で2019年の動きをしろって言われたら絶対無理です。

動けなくなる時は、いきなりくると思うんですよね。きたらもう遅くて、露骨にいろいろとダメになっていくだろうなって。動画の内容とかが急に変わって、視聴してもらえなくなるかもしれない。だから、どうせなら体力があるうちに徐々に変わっていこうと。

無理のない時に無理のない働き方を整えていく。あのまま破滅的な生活を続けていたら、本当にどこかで死んでいたかもしれない（笑）

実績的にも体力的にも2019年の自分らが怖いです。

超えられるのはフィッシャーズしかいない

BuzzFeed

ーー「昔のほうがよかった」とか、過去の自分たちに悩まれるクリエイターさんもいると思います。フィッシャーズは、2019年の栄光と比べられたりはしないですか。

「昔のほうがよかった」って、ぼくは全然マイナスに感じないです。新しいことをやってるからこそ、「昔のほうがよかった」って言われるわけで。逆に変わらないまま同じことを続けてると、今度は「もういいや」って言われると思います。

だったら新しいことをやって、「昔のほうがよかった」って言われたほうがいいです。昔がよかったって言われても、いずれまた振り向かせられるなって。

だれかに言われてとかじゃなくて、自分がおもしろいと思った方向にいくのが一番なんですよ。無理にやりたくないことをやってヤル気をなくすのが、YouTuberとしての生命的にヤバい。

ーーさっきのYouTubeを長く続けていく話にも通じますね。

そっちの方が楽なんですよ。メンタル的にもダメージを受けないし。周りの声よりも、いかに自分たちが長く続けられるかを最優先に考えていったほうがいい。ずっと長くやってれば、どこかでまた好きになってくれる時がくると思うんです。

いまもいろいろ工夫して、新しいことを仕掛けています。「カカリ-憑-」もそのひとつです。やっぱり2019年の自分らを超えられるのはフィッシャーズしかいない。超えられるかなぁ、超えたいな。

映画「カカリ-憑-」は、東京と大阪で追加上映決定。19日よりフィッシャーズのYouTubeチャンネルでも公開決定！

youtube.com

＜あらすじ＞

探索パート

会議中、乱入してきた撮影スタッフに拉致されたシルクロードは、心霊スポットとして有名な、とある廃墟に連れ出される。彼はスタッフとともに廃墟を探索しながら、自身が過去に体験してきた数々の心霊体験エピソードを振り返っていく。しかし、徐々に不可解な現象が　彼らの周りで起き始めていくーー。

ドラマパート

高校生のシルクロードは、修学旅行でとある島へ向かっていた。島に到着次第、友人の月島、小谷、竹下の4人で廃墟探索へ行く予定であったが、そこで突然、シルクロードだけが、島に上陸した間の記憶をなくしてしまうーー。

追加劇場上映期間

2022年8月19日（金）〜8月25日（木）

ヒューマントラストシネマ渋谷（東京都渋谷区渋谷1-23-16ココチビル7・8F）とシネ・リーブル梅田（大阪府大阪市北区大淀中 1-1-88 梅田スカイビルタワーイースト 3・4F）で上映。

19日（金）より、フィッシャーズのメインチャンネルでも公開。