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ヤフーとLINEの会見で明かされなかった7つのこと

Zホールディングスの川邊健太郎社長とLINEの出澤剛社長は会見の場で、「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニーへ」というメッセージを繰り返し発信した。

「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニーへ」

2社の足並み、どう揃える?

スマホ決済の競争が経営統合の引き金に?

経営統合による利用者へのメリットは?

明言を避けた7つのポイント。

(1)PayPayとLINE Payどうなる?

ーーPayPayとLINE Payは統合するのか。LINE Payはメルペイなどと提携しているが、どういう扱いになるのか。

川邊:個別具体的なことは統合が果たされてからの検討になるが、全体感で申し上げると、政府が後押ししてキャッシュレスが進んでいるが、それでもキャッシュ7割、レス3割で、3割の中でもクレジットカードや電子マネーがほとんどで、モバイルペイメントは3%になるかならないくらい。

ここはスーパーアプリ化するパスポートになる分野なので、まだまだ伸びていかないとダメ。キャッシュレスも広がらなければならないし、モバイルペイメントも広がらなければならない。

出澤:有意義な取り組みだと考えているが、今日基本合意だと発表させていただいた段階なので、(提携については)各社にご説明をさせていただいて、これからということになる。

ーーPayPayの資本関係はどうなるか?

川邊:PayPayの資本の見直しも統合が果たせた後に考えていくこと。

(2)Yahoo!ニュース、LINE NEWSはどうなる?

ーーニュース配信サービスのYahoo!ニュースとLINE NEWSの配信は、どのような姿を目指していきたいか。

川邊:ニュースをはじめ、すべてのサービスは統合が果たせた後にどうするか考えていく。現時点ではニュースに関してこういうふうにしていくとは申し上げられない。

両サービスとも多くのユーザーに支持されているので、切磋琢磨しつつやっていけたらいい。Yahoo!ニュースを長く担当してきた身としては、日本のジャーナリズムが発展するために、両ニュースが活躍していくといい。

(3)結局、スーパーアプリは生まれるの?

ーーLINEはスーパーアプリを目指しているとのことだったが、統合によって完成に近づくのか?

出澤:一般的なことしか申し上げられないが、Yahoo!にはLINE上にはないサービスがたくさんあり、我々のLINEアプリにとっては非常にいい形で連携ができるのではないかと思っている。

全体で作っていくアプリがどういう形になるのかということで、より日本や世界に住む皆さんの役に立ってほしい。

(4)政府のIT企業規制への動きはどう見ている?

ーー政府はデジタル市場のルールの整備を検討しており、年内に内容を取りまとめる。国のIT企業規制の動きをどう見ている?

川邊:法律だったり審査だったり、それは国が作るものなので我々はどちらかというと審査される立場なので何か特段のコメントはありません。ただ法律の適用に関しては前向きに協力をしていきたい。

(5)独占禁止法の壁はどうする?

ーー独占の問題をどう考えるか?

川邊:お互いに全くやっていないような分野があるので、そこを補完し合うところが最大のシナジー。

よって、それぞれのカテゴリーでシェアが著しく上がる分野は実はあまりない。サービスラインナップが横に伸びるイメージ。

(6)経営統合できるの?

ーー公正取引員会の結合審査の過程で、統合できない懸念はあるのか?

川邊:これから様々な審査、特に独禁法(独占禁止法)の審査があるが、我々は審査される立場であるので、困難であるとか容易であるとか、予断をもつ立場にはない。

(7)グローバル展開どうする?

ーーグローバル展開のビジョンは?

川邊:統合を果たした後に考えること。

出澤:まずは国内でユーザー価値のあるサービスを提供し、ユーザーの支持をえる。それをLINEが強い(シェアをもつ)国に展開し、それから世界に展開していくのが我々の戦略。

それはチャットアプリでやるかというとそうではない可能性もあって、これから作る新しいサービスかもしれない。投資の規模などが個社ではできなかったものができるようになるかもしれない。

統合を果たして以降でないとできないこともあるので、このくらいに述べるにとどめたい。

「我々は対等なチームワークを、殴りあいながらも作っていく」