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パン、クッキーと水だけで16時間… 「そろそろまずい」大雪で車が立ち往生、ドライバーの恐怖

大雪で数百台の車が立ち往生している。関越自動車道の湯沢インター近くで、16時間以上立ち往生している男性は、食料もガソリンも届いていないと語る。

国内各地で大雪の被害が相次ぐなか、新潟県内の関越自動車道や上信越道で約千台の車が立ち往生した。

エリアによっては12月16日深夜から17日午後にかけても解消せず、食べ物やガソリン、携帯トイレなどの支援も届いていない人もいる。

「2日目の夜は、さすがに不安です」。16時間にわたり車に閉じ込められている男性に、BuzzFeed Newsは話を聞いた。

深夜4時以降は1mmも動かず

「車道の本線に雪が溜まってきているので車は動けません。これから、まだ雪も降りますし、これ以上降ると本当に出れなくなってしまいます」

そう語るのは、雑誌『自遊人』の編集長で、『里山十帖』(新潟県南魚沼市)など4つのホテルを経営・運営する岩佐十良さん。

大雪によって、関越道で立ち往生しているひとりだ。17日午後1時に、電話で取材に応じた。

岩佐さんは16日の午後11時過ぎに高崎方面から関越自動車道を走行中、渋滞にはまった。関越トンネルを越え、湯沢インターへと向かう中間地点で、前の車がハザードを付けて止まっていたという。

それまで確認していた高速道路の電光掲示板には渋滞情報は記されておらず、「ここまで動かないとは思わなかった」と振り返る。

「通常はちょっとずつ車が進みますが、この時点で全く前へ進みませんでした」

深夜2時過ぎ、歩いてきたネクスコの職員を呼び止めると、「湯沢インター近くでスタックしてる車があり、道を塞いで動けなくなってしまっている」と言われた。

「その後、深夜4時過ぎに前の車が動いて300mほど進みました。でも、それ以降は1mmも動いていません」

「僕の車でも、そろそろまずいですよ」

湯沢インター近くの道路は2車線だが、両サイドに「2m近くの雪壁」ができている。車は車線の真ん中をギリギリ通れる状態だ。

「午前4時半に300mほど動いてから、もう8時間以上止まっています。その間に、車と車の間には40cmから50cmほどの雪が積もってしまっています」

「例年は12月中旬にここまでの大雪は降りません。冬タイヤに代えているとは言っても、これだけ高く積った雪の上を通ったらハンドルを取られます」

岩佐さんの車は四駆で車高も高い。ちょうどスタッドレスタイヤも新品に変えたタイミングだったという。だが、「僕の車でも、そろそろまずいですよ」とつぶいた。

パンと数枚のクッキー、500mlの水1本で14時間

「このあたりは、除雪車も入って来れない状態です」

各地では食料やガソリン、携帯トイレが配布されているという情報もある。しかし、岩佐さんが立ち往生している湯沢インター付近では取材時点では、物資の供給はない状態だという。

「たまたまパンを買っていて、クッキーも何枚か持っていました。あとは500mlの水が1本。これで16時間しのいでいます」

岩佐さんは車内で一酸化炭素中毒になるのを防ぐため、2時間に1度、車の外へ出て排気パイプ周辺の除雪をしている。

「これはエコノミー症候群にならないための運動でもあります。ボンネットに積った雪もおろして、車の前後の雪もかいて、踏み固めています」

「雪国に住んでいるので、車には雪かきの道具が入っていました。でも、もしも東京など別の地域から訪れた人で道具も持っていなければ相当大変だと思います」

「脱出できるんだろうか…」

周囲の積雪はすでに腰の高さを超えている。歩くのも困難な状況で、この先どのように立ち往生が解消されるか、見通しは立たない。

岩佐さんは「このまま脱出できない可能性もありますよね。今日も脱出できるんだろうか……」と不安げにつぶやいた。


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