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東京都の会見に変化が コロナに配慮?都庁に聞いた

「新型コロナウイルスの感染拡大をしないよう努めることと、報道機関の報じる機会を奪わないということ。この2つのバランスを見極めながら試行錯誤している段階です」と東京都の担当者は語る。

これまで記者が肩を並べるように座っていた東京都庁のの記者会見に4月3日、変化が現れた。

この日の会見では、椅子に「他の座席にご着席願います」という貼り紙が貼られ、記者同士が座る席の間隔を取るようになったのだ。

世界各国の会見では席の間隔を広く取ったり、記者を一カ所に集めて会見を開くのではなく、テレビ電話経由で行ったりするようにして、距離を取る対策が行われるようになっている。

一方で日本では、安倍首相や政府のコロナ対策専門家会議の会見をはじめ、人が密集する形式のものが続き、改善を求める指摘も出ていた。

東京都庁はなぜ、会見のかたちを変えたのか。

感染拡大防止策、今日から

東京都報道課によると、4月3日から会見のやり方を変えたという。

小池百合子知事の定例記者会見をはじめ、都庁の会見場で行われる会見では、報道陣に間隔を空けて座るよう求める。また、マスクの着用を可能な限りお願いするという。

3日の定例記者会見では小池知事もマスクを着用して現れた。小池知事は途中、マスクをしたまま話し続けたことで息苦しくなったのか「すみません、息をさせてください」とマスクを外したり、マスクの位置を直したりした。

東京都は換気の悪い密閉空間、多数が集まる密集場所、間近で会話する密接場面の3つの「密」を避けることや、不要普及の外出を自粛するよう、都民に要請している。

一方で、大勢が一つの部屋で肩を並べて言葉を交わす都庁での会見は、3つの「密」を満たしかねない状態だった。

こうした矛盾を指摘する声も、3月30日に開かれた都知事の緊急記者会見では上がっていた。

また連日の記者会見を見た都民から、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を無視した会見が行われていることへの意見も寄せられていたという。

「新型コロナウイルスの感染拡大をしないよう努めることと、報道機関の報じる機会を奪わないということ。この2つのバランスを見極めながら試行錯誤している段階です」

報道課の担当者は語った。

4月3日の都知事会見を見た他県の職員から問い合わせも来ているという。

より広い場所やオンラインでの実施は?

まずはソーシャルディスタンスの確保を行った東京都。

このままより広い場所で会見を行い、さらに間隔を空けることやオンラインでの会見などに切り替えることは考えているのか。

都報道課の担当者は「記者クラブの会見場以外に適当な場所が都庁の中で見当たらない」という。

また、オンラインでの会見は「ないとは言えない」という。

「オンラインも選択肢の中には含まれています。ですが、残念ながら都庁のスタッフはそれを実現するだけのスキルを持ち合わせていない。そして報道課の体制としても難しいと言わざるを得ません」

入場制限も選択肢の1つに

担当者は「現在と同じクオリティの会見を行う」ことを前提に対応しているという。

会見場への入場制限も「選択肢には入っている」という。だが、それは報道の自由を規制することにもなりうる。

また、定例の記者会見などは主催は都庁ではなく記者クラブのため、協議が必要となる。

「報じる機会を奪うことがあってはならないと認識しています。しかし、同時に各社1〜2名まででの参加をお願いするといったことは、次のステップの対応の選択肢に入っています」という。