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休業要請応じた店への協力金、支給の条件は?「戦後最大の危機」に東京都は総額8000億円規模の対策

6月までに着手すべき対策についての補正予算を3574億円を計上。新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策、経済活動と都民生活を支えるセーフティネットの強化、社会構造の変革を促し、直面する危機を乗り越える取組の3本柱に予算を充てる。

小池百合子東京都知事は4月15日、緊急会見を開き、新型コロナウイルスについて総額8000億円規模の対策を講じることを発表した。

そのうち6月までに着手すべき対策についての補正予算を3574億円を計上し、4月の都議会臨時会に提案する。

新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策、経済活動と都民生活を支えるセーフティネットの強化、社会構造の変革を促し、直面する危機を乗り越える取組の3本柱を提示した。

「戦後最大の危機」に講じる3本柱

小池知事は会見の冒頭、危機に瀕しているのは「人の命や健康だけではありません」とした上で、IMF(国際通貨基金)が世界恐慌以来の経済損失が生まれることを予測していることに触れ、「日本経済が戦後最大の危機に直面しているいま、大胆かつ効果的な対策を果敢に講じることで不安を払拭したい」と語った。

講じる対策の3本柱は以下の通りだ。

(1)新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する対策(1455億円)

・感染拡大の防止に向けた取り組み(感染拡大防止に対する協力金の創設や外国人新型コロナ生活相談センターの設置等)
・医療提供体制等の確保(患者受け入れ体制の強化、PCR検査体制の充実等)
・区市町村と一体となった対策(区市町村振興基金の積み増し等)

(2)経済活動と都民生活を支えるセーフティネットの強化(2007億円)
・経済活動を支えるセーフティネット(中小企業制度融資の実質無利子等)
・都民生活を支えるセーフティネット(妊婦の方のタクシー利用支援、学校臨時休校への対応等)
・税制面からのセーフティネット(都税の徴収猶予制度の拡充等)

(3)社会構造の変革を促し、直面する危機を乗り越える取組(112億円)
・オンライン教育の推進
・オンライン医療の活用
・テレワークの推進

「感染拡大防止協力金」、支給の条件は?

今回、新たに盛り込まれたのが東京都の休業の呼びかけに全面的に応じる店舗への「感染拡大防止協力金」だ。

1店舗あたり50万円、2店舗以上有してる場合は100万円が支給される。

小池知事は「4月16日から5月6日までの間、要請に応じていただいた方」に対して「措置期間終了後に順次支給できるように」していくと説明した。

この協力金は、酒の提供は午後7時まで、営業時間は午前5時から午後8時までといった都が提示した条件に全面的に協力した場合に支払われるものだ。

なお、その店舗が全面的に協力していたかどうかの判断方法について都の担当者は「いろいろな方法で精査する」とし、「検証の態勢を組んでいる」と述べるに止まった。

一方、都知事は確認作業は「あまり時間をかけていられるものでもない」との認識を示し、正しい使い方をするよう心していきたいとコメントしている。

東京都は先日開設した東京都緊急事態措置等相談センターの名称を「東京都緊急事態措置等・感染拡大防止協力金相談センター」に改めると発表。今後、特措法による要請や指示などの疑問や不安だけでなく、感染拡大防止協力金制度についての質問も、こちらの相談センター(03-5388-0567)で土日祝日を含む毎日午前9時から午後7時まで受け付ける方針だ。

医療従事者にも宿泊施設を確保

東京都は患者受け入れ態勢を強化するために、病室からウイルスを漏れ出さなようにする陰圧装置や人工呼吸器の導入を進めると同時に、軽症者や無症状者を受け入れるホテルをさらに確保する。

現在、2つ目のホテルを確保する目処が立ち、今週末からは自宅から軽症者や無症状者がホテルを借り上げた宿泊療養施設に移る段取りを整備しているという。

こうした対応を進めることで、東京都としては医療機関が重い症状を抱えた患者への対応に専念できるよう環境を整えるねらいがある。

また、今回新たに医療従事者の負担を軽減するために、現場で働く医師や看護師をはじめとする医療従事者たちのための宿泊場所確保のための予算を編成した。

「人の命を守る最前線の方を、都政は守っていきたい。それはすなわち都民を守ること」と小池知事は支援の重要性を強調した。こうした対策に合わせて、4月16日、東京都庁は医療従事者へのエールを送る意味合いを込めて青色にライトアップされる予定だ。

まずは感染拡大の防止を

「繁華街の人出は報道もあって随分抑えられてきた。一方で、地元のスーパーや商店街は人で溢れかえっている状況であります。密を意図せず作っている」と小池知事は外出自粛への協力が不十分であると危機感を示した。

「5月6日までに集中して対応すべきだと思います。さもなければ、だらだらと続いてしまって、(経済損失の)マイナスのためにまた予算を注ぎ込まなければならない。傷口をどのように塞いでいくのか」

「まずは感染症の拡大を防止する。命を守る」と、小池知事は改めて対策の優先順位を示した。