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背負ってきた「風評被害」の重み 処理水問題に福島の漁業関係者が抱く不信感

福島第一原子力発電所で生まれ続ける汚染水と、汚染水から放射性物質の除去処理を施した処理水。BuzzFeed Newsは福島に住む人々がどのような思いを持っているのか、取材を行った。

福島第一原子力発電所では、事故で溶け落ちた核燃料を冷却するために水をかけることや、地下水が原子炉内部に流入することによって、放射性物質を含む「汚染水」が生まれ続けている。

この汚染水から放射性物質の除去処理を施した「処理水」も、同様に貯まり続けている。

原発の敷地内でタンクでの貯蔵を続けてきたこの処理水をどう処分するかを巡り、経産省は12月23日、処分方法を議論する有識者会議に、安全基準を満たすまで再処理して薄めたうえで

・海に放出する
・水蒸気にして大気に放出する
・両方を併用

の3つの案を盛り込んだ取りまとめ案を提示した。

有識者会議の議論は大詰めを迎えている。そして、議論の行方に最も大きな影響を受けるのが、福島第一原発周辺に暮らす人々や、福島の海で獲れた魚を扱う水産業に携わる人々だ。

これまでの議論、そしてこれからの展開に、何を思うのか。BuzzFeed Newsは福島県浜通りで取材した。

関係者が口をそろえるのは、地域の漁業をどう復興させるかという視点が、処分方法を巡る議論に十分取りこまれていないという、深い懸念だった。

これまでの議論を振り返る

政府は環境への放出を行う場合には、処理水を基準を満たすレベルまで二次処理した上で放出するとしている。ただし、この水に含まれている63種類の核物質の中でトリチウムは、いま運用されている浄化設備では除去できない。

トリチウムは水素の仲間(同位体)で、「三重水素」とも呼ばれる。宇宙線の影響で自然界にも存在し、水蒸気、雨水、海水、水道水、さらには人体にも含まれている。放射線(β線)を出すが、トリチウムの出す放射線は弱く、紙1枚あれば遮ることができるため、外部被ばくは、ほぼないという。

経産省が設置した「トリチウム水タスクフォース」は、5つの処分方法の選択肢を抽出し、それぞれの方法のリスクや環境への影響について総合的に評価した。

・パイプラインを掘って地下2500メートルの地層に注入
・薄めて安全基準を満たしたうえで海洋に放出
・水蒸気にしたうえで大気に放出
・電気分解で水素に還元して放出
・処理水でセメントなどを練った上での地下埋設

経産省はここからさらに海洋放出と大気放出に絞り、12月23日に有識者会議「多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会」に提示した。いずれも「基準を守って処分すれば、安全性に問題はない」としている。

最有力視されているのは、海洋放出だ。日本では、1リットルあたり6万ベクレルの基準を下回る濃度に薄めれば、トリチウムを含んだ水を海に流すことが認められている。

これまでも国内各地の原発から長年にわたり。この方法で排出されてきた、日本だけでなく、フランスや韓国など各国でも、同様の方法で処分されている。大気への放出も米国などで先例があるが、国内で続いてきた海洋放出が、最有力の選択肢として浮上している。一方、処理水の処分を巡り福島県内など計3カ所で開催された説明会・公聴会で相次いだのは、海洋放出に反対する声だった。

福島県漁連が放出に反対する理由は「安全性」ではない

福島県の漁業者団体、福島県漁業協同組合連合会(福島県漁連)はこれまで一貫して、処理水の環境放出に反対する意向を示してきた。

「適正な処理を行えば科学的に安全なはずだ」ということを理由に、福島県漁連の姿勢を批判する人も少なくない。

福島県漁連指導部の澤田忠明主任は、県漁連が反対の立場をとるのは「安全性に問題があると考えているからだけではない」と強調する。

漁業などに対する「風評被害」への不安が払拭できないため、海洋放出に反対の立場をとっているという。「国民的な議論が進み、消費者の方々が安全性を正しく理解するのであれば、海に流したとしても、問題にはならないかと思います。しかし、海に流すことへの懸念の声もある中で行えば、風評被害が起きることは避けられないと感じています」

この問題を巡っては、海洋放出に踏み切りたい国と東電、断固として反対する県漁連という構図で報じられがちだ。

澤田さんは「我々が最終決定権者ではない」と疑問の声を上げる。

県漁連の野崎哲会長は、処理方法を巡ってこれまで、全国的な議論を呼びかけてきた。澤田さんは言う。

「海に流したいと言っているのは国。処理水の安全性を主張しているのも国。タンクがいっぱいになると言っているのも国ですよね。なぜ被害を被る我々から議論を巻き起こさないといけないのか。本来は国の責任でやるべきことだと思うんです」

震災後、少しずつ積み上げてきた消費者からの信頼が失われることを懸念している。「試験操業を続けて、ここまで築き上げてきました。それがゼロになる可能性がある」と澤田さんは語る。

「またやり直すのですか、という話ですから」

仮に海洋放出がなされた場合、鮮魚店に福島県産と他県産の魚が並べば、あえて福島県産を選ぶ人は少ないのではないか、と澤田さんは危惧する。

震災後、漠然とした不安感が福島県産の買い控えにつながった経験がある。

「もしも国民の理解が得られないまま海洋放出したとすれば、震災直後よりも酷い状況になりかねないと思っています。反対を押し切って流してしまったとしたら、イメージダウンは必至です。福島の魚を誰も買わなくなるのではないでしょうか」

「反対するしかない」「もっと仕事したい」ある漁師の思い

福島県北部の相馬市原釜地区では、漁師の世代交代が進み、若手の漁師が比較的多い。

原釜漁港の漁師、菊地基文さん(43)は、こう語る。

「政府や東電が言うように、本当に安全なレベルで流すんだったら、俺はしょうがないと思ってる。ただ、これまで見てきて、その情報が信頼できるものなのかどうか、そこからだよなあ。漁業者からすれば、信頼できねえよ」

その上で、科学的安全性を巡る議論とは異なる理由で、今のままでは海洋放出を受け入れることはできない、と明かした。

「科学的に安全だとしても、漁業者としては、絶対に反対だって言わなきゃならねえと思ってんだ。結局、海に流すことになるんだろうと思いつつも、反対だって言わなきゃなんねえんだって。だって、流していいって言ったら、海に流すのが一番楽だから、お金がかからないからと理由を並べて、(政府や東電が)それ以外の選択肢を考えなくなるだろ」

処理水を海洋放出したら、どんな問題が起きるのか。起きた問題にどう対処するのか。具体的なことが議論されないまま、なし崩し的に海洋放出が決まってしまうことへの危機感があるという。

海洋放出が行われた場合、本格操業の再開がさらに遠のくのではないか、と菊地さんは懸念している。

2011年以降、福島県の沿岸漁業では「試験操業」が続き、漁業は制約を受けている。

試験操業は放射性物質の検査を通じて漁業再開に向けた情報を集めることを主な目的にしている。操業日数は現状で、週2日程度。獲ることができる魚種も制限がある。

この試験操業が続く限り、全面的な漁業活動の再開はできない。

県漁連は国の基準よりも厳しい独自の安全基準(漁獲物1キロあたり50ベクレル)を設定し、その基準をクリアしたものだけを出荷している。震災直後は44の魚種が出荷の制限を受けていた。その出荷制限を受けている魚種も2019年12月には1種にまで減少した。

こうした中で県漁連は2019年、本格操業の再開に向けて復興計画を策定した。現在は2010年の23%に止まっている水揚げ量を、2024年までに61%にまで回復させることを目指している。この計画は国の「がんばる漁業復興支援事業」にも採択されている

福島の漁業に、復興への道筋がようやく見え始めている。

もし、このタイミングで処理水の海洋放出がなされれば、本格的な漁の再開が再び遠のいてしまう恐れがある。

菊地さんは、この状況に歯がゆさを募らせている。

続く試験操業、削がれるやる気

原釜の現役漁師の中には、海で働く父親の背中を見て漁師になることを決めた人も少なくない、と菊地さんは言う。

震災前までは漁師は「やればやるだけ金になる仕事」と言われていた。「いい大学を出て会社に入るよりもぶち抜いて稼っげからな」と当時を振り返る。

「若い子がいっぱいいる浜には、競争意識が芽生えんのよ。あいつに負けたくない、あいつには勝ちたいんだって。それがその浜の水揚げ量に影響してくる。だからこそ、試験操業が続いていったときにこの先の世代がどうなるのか、心配だし不安だよ」

しかし今は操業に制限があるため、その減収分の補償を東電から受けている。

菊地さんが補償されている賠償金の支給額は、それまで生活する中で得ていた所得の8割だ。金額は売上減少額と実損額に基づき決められる。

「魚が獲りたくて仕方がない奴にとっては魅力がない」。同年代の漁師の間での腕の張り合いや競争意識も湧きづらいという。

「今までは獲ればとるほどお金が入る、青天井だった。それが今では出船回数も決められ、操業時間も決められている。もちろん競争意識が完全に消えたわけではなくて、その枠の中でやりあってはいるんだよ。ただね、とはいえ賠償で手に入る金額は8割だぞ。少ねえって思うからな、もっと獲れるのにって。いくらやっても8割かって…」

「8割もらえるなら食うには困んねえよ。でもな、何の面白みもなくなるわけ。福島県内でも、ここの浜は他の浜よりも魚を獲る、どこよりも稼ぐ浜だって言われてきた。それをみんな誇りに思ってやってきたんだよ。そういう文化がなくなることが俺は寂しいんだ」

漁師を続けて20年。傍らで続けていた魚の出荷に必要な梱包材等の資材を販売する会社も現在の水揚げ量では休業せざるを得ない状況だ。

「こんな少ない水揚げじゃ、やったってしょうがないからな」

菊地さんはつぶやく。

魚を獲ることを制限され、漁師として仲間と競争しながら磨いてきた手腕を発揮できない。それでも一定の金は入る。その現実が、少しずつ漁師たちのやる気を削いでいる。

20〜30年先を見据えて…仲買業者が抱く懸念

水揚げされた魚を全国の市場に売りさばく。それが仲買業者の仕事だ。飯塚哲朗さんは2009年、相馬市原釜で仲買業者の父親の跡を継いだ。

「海に流すのは反対と言ったところで、反対にもならない…受け身だとはわかっているけど、流されるしかねえなって思う」

処理水をめぐる議論に何を思うか問いかけると、飯塚さんはこう語った。ここでも耳にしたのは諦めの言葉だった。

仲買業者も、震災後の風評被害や試験操業、水揚げ量の減少といった様々な出来事に翻弄され続けてきた。

「振り回されている感はすごくある。でも、それはもうここで生きる人間の宿命だと思ってるよ」

震災後に起きたことは必ずしもネガティブなことばかりではなかった、と飯塚さんは振り返る。

風評被害によって「福島県産のものは口にしたくない」という声も突きつけられた。だが、「福島の漁業を応援したい」と福島産の魚を積極的に購入してくれる消費者とも出会うことができた8年半だった、という。

原釜で獲れた魚たちは箱に詰められ、「福島県沖」と文字が入ったラベルを貼られて全国の市場へと出荷されていく。

この「福島県沖」のブランドを他の地域に負けないレベルに強くしていくしかない。それがここで生きていくための今後の展望だと飯塚さんは強調する。

飯塚さんは菊地さんと一緒に「そうま食べる通信」を立ち上げ、福島の魚を食べたいと言ってくれる消費者と直接つながり、漁の裏側や活躍する漁師たちの情報を伝えている。購読者数は右肩上がりで、2019年には200人を超えた。

「この先、20年〜30年と元気でいても、福島県沖の魚を使って商売ができなくなったら意味がない。30年後もここで商売を続けるために、何ができるか。それしか考えていませんよ」

飯塚さんは、地元の水産業が衰退していく様を指をくわえて見守るつもりはない。

「凹みますよ」風評被害に翻弄されてきた小売店の本音

消費者に最も近い場所で魚を取り扱うのが、地域の小売店だ。

いわき市の大川魚店の店主、大川勝正さんはこれまでも風評被害と戦ってきた。知らない誰かの心ない言葉に傷ついた回数は数知れない。

大川さんの不満は、小売の立場の人々に、国や東電から説明が行われていないということだ。海洋放出が注目を集める現状を報道で知り、不安も感じている。

震災2ヶ月後の2011年5月から、自社で放射能検査を行ってきた。その結果をホームページで発信するなど、安全性を伝えるための試行錯誤を続けていた。

店の一角には、これまでの放射能検査の結果をまとめたファイルが置かれている。もし福島の魚を食べることに不安を持つ人がいれば、安全だという科学的な根拠を示すことができるように。そんな思いからだ。

「店頭では商品の良さ、美味しさをアピールしています。もしも気になる人がいるならば、その時は現状はこうですよとお伝えするようにしています」

2013年、汚染水の流出事故で売り上げは震災直後並みに…

大川さんには、苦い記憶がある。震災の翌年には試験操業がスタートし、いわきでも試験操業が始まった矢先の2013年に、福島第一原発で未処理の汚染水が流出する事故が起きた。

東京電力と原子力規制委員会は当時、約300トンの汚染水がタンクから漏れ出ていた事実を認めている。これを受けて、試験操業も一時中断されるなど、混乱が広がった。

2012年の売り上げも好調とは言い難かったが、それでも徐々に回復の兆しを見せていたという。だが流出事故で、そんな状況が一転した。

「ようやく戻ってきはじめたところで、ガンと突き落とされた感覚でした。2011年の事故直後の頃のように売り上げが落ち込みました。特に直後の2~3ヶ月間は目に見えて影響を受けましたね」

2011年、2013年と2度の大きな売り上げの落ち込みを経験した。突然降りかかる様々な理不尽な経験を「凹みますよ。折れますよ。たぶん、あれだけのことを経験したら折れてしまう人もいると思う」と大川さんは振り返った。そしてつぶやく。

「売り上げのベクトルを、上向きに持っていくところまでが一番大変なんです」

小売の本音、漁業者の本音

大川魚店は近年、いわき市内に1店舗、郡山市のデパートに1店舗と新規出店を続けている。もっと試験操業で獲れた福島の魚を食卓に届けたい、そんな思いが裏にはある。

福島県産の魚の干物や惣菜などを販売し、「手応えを感じている」。「だからもっと水揚げ量があってもいい」、大川さんはそんな率直な思いを口にした。

「食においては継続性が重要なんです。いつ店に足を運んでも、そこにある。そういう商品を私たちもお客さんにお届けしたいんです。今は福島の魚は店頭に並ぶとしても週に数回。食べてもらう習慣が作りにくい現状はもったいないなと感じています」

いわき市内で営業する別の小売店もBuzzFeed Newsの取材に対し、水揚げ量の不安定さが足かせとなっている現状を打ち明ける。試験操業期間によって水揚げが減っていることで、地元で獲れた魚を消費者に届けられていない。

いわきの名産であるメヒカリも、その日は茨城県で水揚げされたものが店先に並んでいた。

「もっと魚を獲ってほしい」。それが小売の立場に立つ人々の偽らざる本音だ。

一方、福島県漁連の澤田さんは、水揚げ量を増やせない背景に、十分な販路の確保ができない現状があると説明する。流通量が少ない中では水揚げ量をむやみに増やすことはできない。

水揚げ量と流通量の問題は、漁業者と仲買、小売が連携しないことには解決しないという。季節の売れ筋の魚をより多く獲る、より市場でニーズの高い魚に絞って水揚げ量を増やすと言った取り組みを検討しているという。

娘には30年後も福島のカツオを食べてほしい

福島県南部いわき市の港町・小名浜では漁業関係者の高齢化が進み、試験操業が続くことで漁業への新規参入も阻まれる中で、世代交代は進んでいない。

小名浜で生まれ、小名浜で暮らす小松理虔さんは「有識者」として地元ではよく知られている。2012年から2015年まで、地元のかまぼこメーカーで広報を担当していた。その後、編集者・ライターとして独立した。

震災後、小松さんは地域の代弁者、コミュニケーターとしての役割を期せずして背負ってしまった。

書く仕事のかたわらで魚に残存するセシウムの線量を調査した民間団体「うみラボ」や福島の魚と酒を楽しむ「さかなのば」といった草の根からはじまるリスクコミュニケーションと言える活動を続けてきた。国や東電への信頼性が損なわれる中で、結果的に地元住民や福島県産の魚を食べるか悩む人々の不安の受け皿になったかたちだ。

震災以降、国や東電は地元住民とのコミュニケーションに失敗し、信頼性が損なわれていることは事実だ。だが、小松さん自身が培ってきたリスクコミュニケーションのスキルを再び使うことになることを、小松さんは望まない。

「責任をしっかりと果たすべき国や東電が責任を果たさない状況で、俺ら住民がリスクコミュニケーションをきめ細やかにやるなんて、あまりに理不尽でしょう」

今回の処理水の処分方法をめぐる議論では「そもそもリスクコミュニケーションが果たせる領域は小さい」と指摘した上で、国や東電の説明、政府の小委員会での議論には被災した地域の再生という視点が欠けているのではないかと問題提起する。

その地域に住む人間にとって処理水の問題は単なる経済政策や廃炉政策の問題ではない。これは「福島の漁業をどう再生するのかという大きな枠組みの中で語らなくてはいけない問題」だ。

「現在は地域が置き去りにされ、十分な議論もなされていない。そんな状態ではどれだけトリチウムの安全性を理解していても、環境に放出することには賛成できない。漁業の自立と再生にとって何が一番いいのかを考えてほしい」と小松さんは言う。

今の状況で海洋放出をしたら、漁業者の自立が遅れることは避けられない、と小松さんは考えている。

「魚の水揚げは増えた方がいいし、漁業者には一刻も早く自立してもらいたい。若い人にはどんどん漁師になって欲しい」。それが小名浜で生まれ育った小松さんの願いだ。

「俺は自分の子どもにもできるだけ長くこの地域に住んでもらいたいと思っているし、30年後も今と同じように福島のカツオを娘にも食べて欲しい。そのためには、30年後も漁業者がしっかりと稼げる社会でないといけないんだよ」

「国や東電には一方的に決定を押し付けるのではなく、そこに住まざるを得ない人、関わらざるを得ない人、困難さを宿命づけられた人による決定を後押ししてもらいたいよね」

消えない不信感を拭うには

SNSなどでは、処理水放出の科学的な安全性を訴える声と、不安を表明する声が争いを続けている。

一方で福島の浜通りで深く根を張っているのは、安全性そのものへの不安よりも、むしろ国と東電のこれまでのコミュニケーションの拙さに端を発する不信感と、人々に理解されないまま放出されることで起きるかもしれない売り上げの落ち込み、つまり風評被害への恐怖だ。

どんな処分方法を選ぶにしろ、まずはこうした絡み合った思いを解きほぐしていかなければ、復興への歩みは進まない。

処分方法は、遠からず決まることになる。それまでに、そしてその後も、国と東電、国民、そしてメディアは、どこまで地域の人々とその復興に思いを寄せながら、処理水の問題を考えていくことができるのか。

それぞれに突きつけられた問いだ。

<この記事は、Yahoo!JAPANとの共同企画で制作しています。汚染水と処理水をめぐる問題を考える上での一助となるべく、様々な角度から報じた記事をこちらのページから読めます>