• medicaljp badge

“脱ステロイド”放送の「ザ!世界仰天ニュース」がコメント発表も謝罪はなし。医師は訂正と謝罪、再発防止の徹底を要望

20代女性の荒れた肌が、ステロイドの使用をやめたことで「見事に回復した」とする放送内容に批判が集まる中、番組は「治療については、医師の指導に従ってください」とコメント。訂正や謝罪がないことに、再び批判の声が上がっている。

日本テレビ系の「ザ!世界仰天ニュース」が番組内で「脱ステロイド」を好意的に紹介し、批判が集まっていた問題で番組の公式Twitterアカウントは9月10日、「治療については、医師の指導に従ってください」というコメントを発表した。

なお、同番組は現在までに放送内容についての謝罪はしていない。

経緯を振り返る

今回、批判が集まっているのは、9月7日に放送された日本テレビ系「ザ!世界仰天ニュース」で紹介された「脱ステロイド」のエピソードだ。

番組では、20代女性の荒れた肌が、ステロイドの使用をやめたことで「見事に回復した」と説明していた。

しかし、これは医学的に正確な情報とは言えない。

ステロイドに関する誤解を広げ、現在ステロイドを使用している患者へ不安を与えるような内容に医療関係者を中心に批判が相次いでいた。

近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授で皮膚科専門医の大塚篤司さんは、BuzzFeed Japan Medialに寄稿した記事で、この放送内容について「標準治療を行う皮膚科専門医は脱ステロイド治療とは言いません。なぜならそれは“治療”ではなく“放置”だからです」と問題提起。

次のようにその問題点を指摘している。

「薬を使わないで病気が治るのであればそれにこしたことはありません。でも良く考えてみてください。なんとかできない病気だったから薬が開発されたんです。副作用がでないように、効果を最大限に引き出す上手な使い方を目指すのが良いのではないでしょうか」

「もしこれから数年間、偏った医療情報を信じたせいで、つらい思いをしなくてはいけなくなったのならそれは誰が責任をとるのでしょうか」

コメント発表も謝罪はなし

【9月7日の放送について】 肌荒れを克服した女性の体験談の中で、ステロイド薬の使用を中止したエピソードに触れましたが、患者が自らの判断で薬の使用を中止すると症状が悪化することがあります。 治療については、医師の指導に従ってください。 https://t.co/5A01aLoUXO

Twitter / Via Twitter: @gyoten_ntv

「ザ!世界仰天ニュース」の公式Twitterアカウントは9月10日、午後12時すぎに「9月7日の放送について」と題したコメントを発表。

同じ内容を番組公式ホームページにも掲載した。

「肌荒れを克服した女性の体験談の中で、ステロイド薬の使用を中止したエピソードに触れましたが、患者が自らの判断で薬の使用を中止すると症状が悪化することがあります」とした上で、「治療については、医師の指導に従ってください」と呼びかけた。

「安易な番組をやらないで」「謝罪をして欲しい」

こちらのツイートの日本語だと、自らの判断で中断するのではなく、脱ステロイドという治療するには医師に相談するようにというようにも読めて、脱ステロイド自体は全く否定していないように見える。もっと誠意ある説明と謝罪が必要では。 https://t.co/guHmlaUcWM

Twitter / Via Twitter: @mihyonsong

今回番組側から発表されたコメントには批判の声も上がっている。

産婦人科医の宋美玄さんは「もっと誠意ある説明と謝罪が必要」と指摘

「こちらのツイートの日本語だと、自らの判断で中断するのではなく、脱ステロイドという治療するには医師に相談するようにというようにも読めて、脱ステロイド自体は全く否定していないように見える」と苦言を呈した。

”脱ステロイド”という考え方そのものが非常に危険だ、ということが伝わりにくいような(´・ω・`) ステロイド外用剤を使う医師・薬剤師も「どうなれば止められるか」というゴールを必ず決めて薬を使います。なので、そもそも「薬を止めたら良くなるかも!」みたいな安易な番組をやらないで欲しいです🤔 https://t.co/YcpopOXep2

Twitter / Via Twitter: @Fizz_DI

また、薬剤師の児島悠史さんは「“脱ステロイド”という考え方そのものが非常に危険だ、ということが伝わりにくい」とし、「そもそも『薬を止めたら良くなるかも!』みたいな安易な番組をやらないで欲しい」と呼びかけている

BuzzFeed Japan Medicalへの寄稿記事で、今回の問題を指摘した大塚篤司さんも次のように今回の対応に苦言を呈した。

「ステロイド外用剤を用いた治療を自己判断で中断した事例に対し『脱ステロイド治療』と名前をつけ、あたかも一般的な治療法のように紹介したことに対して訂正をお願いしたいです」

「ステロイド外用剤を急にやめることによるリスク(白内障や網膜剥離、感染症など)は必ず注意喚起していただきたい。また、番組を見てステロイド外用剤の使用に不安を感じた患者さんたちと対応した医療現場への謝罪をして欲しいです」

その上で、再発防止のために次のように語った。

「複数の専門家による監修を受け、ステロイド外用剤だけでなく医療情報全般に関して間違った番組を作らないよう再発防止を徹底してもらいたいです」