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感染対策が難しい場合、帰省は「できれば控えていただきたい」 新型コロナ分科会、尾身会長が政府に緊急提言

今回の発表は政府からの要請を受けたものではなく、分科会としての独自の判断によるもの。尾身会長は「分科会の考えを早めに示す」必要性を感じたため、「開催を待たずにやる」ことを決めたと語った。

新型コロナウイルス感染症専門家の分科会の尾身茂会長は8月5日、急遽会見を開き、帰省をする場合は基本的な感染防止対策を徹底すること、そうした対応が難しい場合には「感染が収まるまで帰省を慎重に考慮していただくよう」政府から国民に伝えることを要望した。

この会見は当初は予定されていなかったものだ。次回の分科会開催を待たず、「分科会の考えを早めに示す」必要性を感じたため、「開催を待たずにやる」ことを決めたという。

政府への提言、対策難しいなら帰省は「慎重に考慮」を

「お盆が近づいてきておりますので、お盆休みの帰省についてどのように考えているのかということを政府にお示しし、提言することが分科会の責任、役割だと思いまして、今日急遽皆さんにお集まりいただいて、私共の提言について共有させていただきたいと思います」

会見はこのような尾身会長のコメントから始まった。

政府への提言は以下の通りだ。

「お盆休みに帰省した場合、高齢者と接する機会や飲酒、飲食の機会も多くなることが考えられます。したがって、新型コロナ感染が広がっている現状では、帰省する場合には手指消毒やマスク着用、大声を避ける、十分換気するなど基本的な感染防止対策の徹底や3密を極力避けるとともに、特に、大人数の会食など感染のリスクが高い状況を控えるなどして、高齢者などへの感染につながらないよう、政府に対しては、国民の皆様に注意を促していただければと思います」

「そうした対応が難しいと判断される場合には、感染が収まるまで、当分の間、オンライン帰省を含め、慎重に考慮していただくよう国民の皆様に伝えていただければと思います」

「また、そもそも発熱などの症状がある方は帰省を控えていただくとともに、感染リスクが高い場所に行った場合には慎重に判断していただくよう政府の方から国民の皆様に伝えていただきたいと思います」

発表は分科会独自の判断によるもの

「お盆というのは日本国民にとっては特別な季節ですよね。多くの人がこのような状況で、帰省をしようか、しない方が良いのか、私も含め、判断を考えられていると思うんですよね」

「政府がどう採用していただくかどうかはまた、わかりませんが、少なくとも分科会としての考えを政府にお示しするのが我々の責任だと思って公開しました」

尾身会長はこのように語る。

お盆に帰省をする場合も「当然ある」とした上で、「お盆に出身地へと帰れば、ご両親もおられるし、おじいさん、おばあさん、高齢な人もおられる。普通の時であれば、親戚や友達が集まり、お酒を飲む会食もあるかと思います。お酒を飲む機会、高齢者に接触する機会もあるので、行かれる場合は注意して行っていただきたいということ」と説明した。

「慎重に考慮していただきたい」という言葉が意味するところは、どのようなメッセージなのか。質問に対し、尾身会長は基本的感染防止対策などが難しい場合は、帰省は「できれば控えていただきたい」とした。

「そういう対策が難しい場合も当然ある。そういう場合はオンライン帰省含め、電話もあるし、延期もあるし、感染が全国に徐々に広がっていますよね。こうしたときに、感染対策の準備がないままに行くと、3密のようなところで特に高齢者に感染した場合には重症化するので、帰省はなるべくそういう中で、できれば控えていただきたいというのがこのメッセージであります」

今回の発表は政府からの要請を受けたものではなく、分科会としての独自の判断だ。

近日中には次の分科会が予定されているが、「そこまで待っていると、もっと早めに言っていただければよかったと私が逆の立場なら思うので」、このタイミングで発表することについて分科会のコンセンサスを得たという。