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最も注意すべきは家庭内感染ではない。新型コロナ分科会、尾身会長が繰り返し強調したこと。

「飲食を中心として営業時間の更なる短縮要請含めて、会食・飲食による感染リスクを徹底的に抑えることが必要です」

新型コロナウイルス感染症対策専門家分科会は12月23日、第19回目となる会合を開き、感染拡大が進む東京でのさらなる時間短縮要請など、対策のさらなる強化が必要だと提言した。

尾身茂会長は「家庭内感染は見えやすいが、あくまで結果」と語り、「飲食店のクラスターが多い」と繰り返し強調した。

「家庭内感染が感染拡大の主要な原因というよりは…」

23日に開かれた分科会では、現在の感染状況に対する分析、ワクチン接種について、そして特措法改正に関する議論が行われた。

尾身会長が「主題」と語ったのが、現在の感染拡大をどのように食い止めるかということに関する提言だ。

尾身会長が21日に出した緊急メッセージでは、飲食店における感染リスクの高さについて語った。これに加え、今回の会見では家庭内感染での感染拡大の捉え方を説明した。

感染経路を追うことができているケースを見れば、たしかに家庭内で感染している例が最も多い。だが、「家庭内で発生したクラスターが別の家庭へと直接いくことは考えにくい」と尾身会長は語る。

「感染拡大の主要な原因は、家庭内感染の上流にある。家庭内感染は、その結果です」

つまり、外で起きた感染が家庭に持ち込まれ、家族のなかで広まるという構図があるということだ。

「家庭内感染への関心は高くて当然だと思います。しかし、家庭内感染が次の家庭内感染のクラスターにつながる傾向はあまり見られず、これは『結果』だと考えたほうが良い」

感染者数が多いこと、地方に比べ生活のあらゆる場面での匿名性が高いことなどから、東京では現在、感染者の約6割の感染経路が追えていない。

だが分科会は、これまでのクラスターの発生状況や、地方での感染拡大も飲食を伴うケースが多いことや、欧州での研究データを踏まえ、その多くは「飲食店における感染によるもの」という判断を示している。

「全部の社会活動を止める必要はないと思っています」

筑波大学のシミュレーションでは、同じ部署の仲間と4人以下で短時間の飲み会を開催することに比べ、別の会社の人と通常の飲み会を開催することのリスクは1.5倍あると推定されているという。

また、忘年会や新年会といった会食の場は、飲酒の有無や開催時間、どんな場所なのかに関わらず、感染が生じやすい。

そのため、尾身会長は改めて、食事をする場合は家族やいつもの仲間ととることを呼びかけた。

「大事なことなので今日も言わせてください。全部の社会活動を止める必要はないと思っています。この急所を押さえることが極めて重要です」

北海道や大阪で徐々に感染者が減少傾向へ転じたことが、こうした急所を押さえることの効果を証明している。

「飲食を中心として営業時間の更なる短縮要請含めて、会食・飲食による感染リスクを徹底的に抑えることが必要です」

「このまま感染拡大が続くと、さらに医療が逼迫をすることは明らか、必然です。火を見るより明らか。首都圏が感染者の多くを占めており、周辺へ染み出している状況にあります。制御しなければ、感染を抑えることは困難です」