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仕事中の感染対策が万全でもコロナに感染? 新型コロナ分科会、新たに注意を呼びかけた行為とは

新型コロナウイルス対策専門家分科会は10月23日、感染リスクが高まる5つの場面と感染リスクを下げながら会食を楽しむための工夫、年末年始に関して提言を行った。

新型コロナウイルス対策専門家分科会は10月23日の第12回会合で、感染リスクが高まる5つの場面を示し、感染リスクを下げながら会食を楽しむための工夫などを提言した。年末年始の帰省や初詣などへの集中を避ける意味でも、休暇期間を長くすることも提言した。

これから年末年始にかけて、忘年会や家族での新年の会食などが増える。それを控えて分科会が示したのは、以下の5つの場面だ。

・飲酒を伴う懇親会等

・大人数や長時間におよぶ飲食

・マスクなしでの会話

・狭い空間での共同生活

・居場所の切り替わり

飲酒は少人数で深酒を避け、コップや箸の使い回しを避けるといった工夫を呼びかけている。

職場での対策が万全でも…

新型コロナ分科会の尾身茂会長は「冬を迎えるためには、これまでの対策について評価することが必要である」とした上で、「主にクラスターを介して拡大することから、今年の冬に備えるためにはしっかりとクラスター連鎖を抑えることが必要」と強調した。

専門家らは改めて5つの場面の感染リスクを示す資料を公表した。

(1)飲酒を伴う懇親会等
(2)大人数や長時間におよぶ飲食
(3)マスクなしでの会話
(4)狭い空間での共同生活
(5)居場所の切り替わり


尾身会長は感染が起きた全ての場面が網羅することはできないとしながら、上記の5つの場面について注意を呼びかける。

今回、改めて示されたのは5点目の「居場所の切り替わり」だ。

自治体へのヒアリングを通じて、仕事中は感染対策が行われていたとしても、休憩時間に居場所が切り替わること等で気が緩み、感染リスクが高まる傾向にあることがわかったと説明した。

具体例としては休憩時間の喫煙所を例示。リラックスしている中で、通常であれば行われている感染対策が行われず感染が広がるリスクがある。また、ジムなどでも運動中はマスクをしているが更衣室でマスクを外して会話する等、感染リスクが居場所の切り替えに伴って高まる場面があるとした。

尾身会長はこうした情報が内閣府、厚労省、分科会のホームページに出ていたとしても「必ずしも社会全体に広く伝わらないことがある」と言及。また、「新聞を読まない人も多い、テレビを見ない人も多い」と語り、「国にわかりやすく多くの人に伝わるようなメッセージの発信をしていただきたい」とコメントしている。

会食をリスクを下げながら実施するために

また、今回の分科会では感染リスクを低減させながら会食を食べるための留意事項も示されている。

利用者の側には飲酒をする場合は(1)少人数・短時間で、(2)なるべく普段一緒にいる人と、(3)深酒・はしご酒などは控える、という3点に特に注意を呼びかけた。

また、箸やコップを使い回すことや正面や真横に座ることも避けることで感染リスクをより低減できると説明した。

会話をする際にはなるべくマスクを着用することを効果的だ。その際、フェイスシールドやマウスシールドはマスクに比べ効果が弱いことにも留意するよう尾身会長は語った。

店選びを行う際には換気が適切になされているなどガイドラインを遵守した店を選ぶよう推奨している。尾身会長は従業員で感染者が出たもののガイドラインを守っていたこともあり、利用者からは感染者が出なかった店舗があるとし、ガイドラインの重要性を改めて訴えた。

12月25日から1月11日まで休むケースも?

一部報道で政府が年末年始の休暇を1月11日まで延長するよう呼びかける方針を示していることが明らかとなっている。

尾身会長も今回の分科会でこの年末年始休暇について政府に対し提言を行ったことを認めた。

「年末年始に(感染を)拡大させないため」とその理由を説明した上で、以下の5つのポイントが提示されている。

(1)今年の年末年始には、集中しがちな休暇を分散させるために、年末年始の休暇に加えて、その前後でまとまった休暇を取得することを職員に奨励していただく範を示してもらいたい

(2)これは働き方改革に資するものであり、新たな働き方を創造する意味からも、新型コロナウイルス感染症を契機として今まで以上に強いリーダーシップをはっきしてこの提言を実現していただきたい

(3)経済団体、地方公共団体等に対して、政府と同様に分散して休暇を取得することを呼びかけていただきたい

(4)民間企業とも連携し、「小規模分散旅行」を推進するなど、Go Toキャンペーン各事業の運用のあり方を含めて、年末年始の人の流れが分散するよう努めていただきたい

(5)年末年始は飲酒や会食の機会が増えることから、「感染リスクが高まる5つの場面」「感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫」をあわせて国民・社会に幅広く伝わるよう発信していただきたい

西村大臣は「1月3日が日曜日ですので、通常の年であれば4日の月曜日から様々な活動がどこも開始されることとなる」と説明した上で、そうなれば「3日間で初詣など人が集中することになる」と懸念を示した。

例年通りの年末年始休暇では「小規模で分散ということがなかなか実行できないことになりかねない」と語り、「分科会の中では例示として12月25日くらいから11日まで休みを取るのも一案との話もありました」と休みを長期化することについてどのような議論が行われたのかを明かした。

「1つの考えとしては11日まで休むということもありうる。ただ、全ての業種でできることではありません。休みを分散して取ることが何よりも大事だと思います」

西村大臣は休みの長さについては、業種などで差が生じることもありうるとしつつ、休みを分散させることの重要性を繰り返し強調した。

この年末年始がこれまで専門家が何度も訴えてきた時期と場所を分散させる「小規模分散型旅行」を実現する上での「1つのモデルケースになる」と捉えているという。

ハロウィンのイベント、今年は自粛を

会見の中ではハロウィンについての注意喚起も行われた。

例年、ハロウィンの時期は渋谷などで賑わいを見せる。しかし、今年は感染リスクを踏まえ自粛が呼びかけられている。

西村大臣も「3密」が発生しやすい場所、感染防止策が講じられていないパーティーなどへの参加を控えることや街頭での飲酒などを控えるよう求めた。