「接種当日のキャンセルなどでワクチンが余れば、小中学校などの教職員に接種を受けてもらう体制を準備しています」
新潟県三条市の滝沢亮市長の、こんな発信が注目を集めている。
高齢者へのワクチン接種が徐々に本格化する中、キャンセルなどで余ったワクチンの取り扱いが課題となっている。
余ったものを自治体職員など高齢者以外の人々に接種することに批判的な報道もある中、三条市は明確な方針を打ち出した。
「ワクチン廃棄を防ぐことを最優先とします」
「三条市では、接種当日のキャンセルやノーショーでワクチンに余剰が生じた際には、小中学校等に連絡し、事前登録済みの教職員から接種会場に赴いてもらって接種を受けてもらう体制を準備しています」
「教職員の年齢を問うことなく、ワクチン廃棄を防ぐことを最優先とします」
滝沢市長の発信に、Twitterでは「ワクチンを無駄にせず、関わるスタッフのリスクや時間も無駄にならず効率的」といった声が上がっている。
なぜ、余ったワクチンを教職員に接種することを決めたのか。
三条市の広報担当者はBuzzFeed Newsの取材に、「現段階では子どもはワクチン接種できない中、子どもや教職員を感染から守るため」と語る。
対象には小中学校の教職員だけでなく、保育園に勤務する保育士なども含むという。
「子どもを学校へ通わせている保護者の方の不安を払拭するためにも、三条市ではこのような方針を定めました」
キャンセル分の接種めぐり批判も
「高齢者でも医療従事者でもないのに…62歳の町長がワクチン接種『危機管理のため』」(東京新聞, 2021年5月12日)
「42歳町長ら職員29人が接種 高齢者先駆け『キャンセル分で』」(毎日新聞 , 2021年5月13日)
ワクチン接種をめぐっては、高齢者接種のキャンセル分を首長や自治体職員が接種することを批判する報道が相次いでいる。
河野太郎行政改革担当相はこうした余ったワクチンについて4月13日の段階で、「全く制約はないので、廃棄されないよう、現場の対応で打っていただきたい」と言及。
「若い方でも予診で問題がなければ打っていただいて記録する。ほかの市や県の方でもかまわない」とし、どのように取り扱うかは現場に委ねる方針を示している。
新潟県三条市の他にも、埼玉県戸田市や佐賀県伊万里市では接種のキャンセル待ちを登録する制度がスタート。
自治体がそれぞれ工夫をこらし、ワクチンを廃棄することがないよう対応している状況だ。