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コロナかも? 不正確な情報が拡散する中、LINEでの健康相談が急増

診療の一歩手前にある健康相談。適切に使うことで医療機関の負担を軽減することにもつながる。

感染拡大が進む新型コロナウイルス。医療機関が逼迫した状況に陥る中で、様々な人が不安を抱きながら生活をしている。

そんな中で急増しているのがオンラインでの健康相談へのニーズだ。8300万人を超える利用者を抱えるLINEは昨年12月からオンラインで医師に相談できるサービスの提供を開始。

新型コロナへの健康不安にも対応するため、現在は無料で相談することができる。

診療の一歩手前にある健康相談。これまで馴染みの薄かったこうしたサービスが適切に利用されることで、医療機関の負担軽減にもつながることが期待されている。

4月には10万件規模に

LINEヘルスケアはLINE上で利用できる医師への健康相談サービス。あくまでオンライン診療など遠隔診療ではない。

対応している診療科は内科、小児科、産婦人科、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科。

相談内容や診療科から医師を選んだ上で、「いますぐ相談する」のか、「あとから回答をもらう」のか相談方法を選択し、体の不調などについてLINEのトーク画面で医師に直接相談することができる。

3月11日から経済産業省の支援事業に採択されたことで、現在は無料でオンラインでの健康相談を提供している状態だ。

LINEヘルスケアは新型コロナに関して、これまでも厚労省とも連携し、ダイヤモンド・プリンセス号の乗客に医療相談サービスの提供や厚生労働省の公式アカウントとの連携などを進めてきた。

「2月の相談件数は前月比40倍。3月も引き続き増加傾向にあり、現状のペースを維持すれば4月は月に10万件規模の相談件数に達する見込みです」とLINEヘルスケア担当者はBuzzFeed Newsの取材に回答する。

利用者急増の背景には、経産省の委託を受けたことで無料で相談できるようになったこと、外出自粛の呼びかけや緊急事態宣言の発令があったと説明する。

利用者の増加に対応するため、2019年12月のサービススタートから現在まで急ピッチで対応できる医師の人数を増やし、いまでは数百名単位の医師が相談の対応に当たっているという。

相談の4割が新型コロナ関連

現在、寄せられる健康相談の約4割が新型コロナに関する内容だ。

「自分自身が新型コロナに感染したかもしれないと思った時に、そもそもこの症状で病院に行く必要があるのか、保健所にどのように相談すればいいのか等、わからないことが多いのが現状です。そんな中で、健康相談の範囲内で、医療の専門家から回答を得られるのが価値になっていると感じます」

「他にも慢性疾患を抱えていて、病院に行きたいけれども感染を懸念してなかなか通院できない方が医師とつながるためにサービスを利用されている傾向があります。また、産婦人科など普段から病院にアクセスしづらい女性特有の疾患などについて相談されている傾向があります。クローズドな環境で医師と1対1でつながることへのニーズがあるのではないでしょうか」

担当者は「健康相談と言いながら、医師とつながることで体の不調以外も相談しうるサービスになっている」と語る。実際、これまでも子育てについて小児科の医師に相談するといったケースがあったという。

診療の一歩手前に

健康に不安を感じたとき、最初のアクションとして想起されやすいのはインターネットでの検索やTwitterでの情報収拾だ。だが、そうした手段では「正しい情報にたどり着くまでに遠回りをすることや不正確な情報に惑わされることがある」。

そんな中で医師とオンラインで直接つながることは、正しい情報へ最短距離でアクセスすることを可能にする。

だが、医師からのアドバイスは、時に相談者の命を左右しうるものだ。医療に関するサービスを提供する上では、サービスの拡充と合わせてより一層の品質維持が求められる。

LINEヘルスケアでは医師の本人確認と医師免許確認を徹底すると同時に、厚労省のガイドラインをベースに作成した独自のガイドラインに基づくレクチャーを行うことでサービスの質を担保する努力をしていると説明した。

また相談への返答内容は24時間365日モニタリングされており、ガイドラインに違反した不適切な情報が提供されていた場合には対応を行うという。

担当者は「IT企業が医療の分野で事業を展開することについて、WELQ問題などを踏まえて不安を感じる人もいることは理解できる」と語った上で、その不信感を払拭していくために注力していくとした。

「何か健康について悩んだり、わからないことがあったときに医師とつながり正確な情報を得られることが重要だと考えています。ネット上では様々な情報が飛び交う、そんな中でオンラインでの健康相談が診療を受ける一歩手前の選択肢になることができればと思います」

また、いますぐ医療機関にアクセスすべきなのか否かの判断を下す上でのアドバイスを提供することはユーザーの不安を受け止めるだけでなく、医療機関が疲弊するリスクを解消することにもつながるのではないかと担当者は強調した。

なお、LINEヘルスケアでは厚労省のオンライン初診解禁などの流れを受けて、今後、オンライン診療事業も実施することを検討している。