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1日100万回接種はゴールじゃない?高齢者以外の接種はどうなる?河野大臣が語る、ワクチン接種の「3つの山」

「今は考えるよりも前に、とにかく手を動かす」。ワクチン接種を少しでも前に進めるため、河野太郎ワクチン担当相はこう強調する。

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新型コロナウイルス感染症対策の切り札は、ワクチン接種だ。

菅義偉首相は「1日100万回の接種」を目標に掲げ、まず高齢者への接種から着手している。

1日ごとの接種数が増え、7月末までに高齢者接種を終えるという当面の目処の達成も現実的なものとなりつつある今、ワクチン確保や自治体との調整など実務面を担う河野太郎ワクチン担当相は何を狙うのか。

BuzzFeed Newsの単独取材に河野氏は、ワクチン接種に「3つの山」があると説明。迅速かつ確実に接種を進めるための方針を語った。

「総理が大きな旗を振った効果はある」

Yuto Chiba / BuzzFeed

ーー菅首相が1日100万回の接種を目指すという目標を掲げた際、河野大臣は1日70万回が限界じゃないかと食い下がったと言われています。初めて目標を聞いた時、何を思いましたか?

変異ウイルスがこれだけ感染拡大していますからね。

ワクチンは切り札だよねと言っていたときの切迫感と、これだけ変異ウイルスが感染拡大してきた中での切迫感は、やっぱり違うんですよ。

ワクチン接種は予防接種法に基づいて、市区町村にやってもらう業務ですと言いながらも、なるべく早く高齢者への接種を終えて、医療機関への負荷を軽減しないといけません。

大阪のような、ベッドも埋まっている、ホテルでも多くの人が宿泊療養しているといった非常に厳しい状況からいち早く抜け出すためにも、まずは重症化しやすい高齢者にとにかくワクチンを早くうってもらう。

医療従事者や医療機関に対する負荷を軽減する策は、他にありません。

だから、まずは7月末までに、というゴールが決まった。

しかし総理の頭の中には、高齢者世代だけではダメだという考えがある。今は、変異ウイルスの影響で重症化する人の年齢も下がってきています。

65歳以上が接種しおえたら終わりではなく、その次の世代にも行かなきゃいかんぞという意味で、引き続き1日100万回の接種を目指すという目標が出てきたのだと思います。

しのごの言っている余裕はなくて、とにかくワクチンを接種することで人の命を守る。

色々なご意見、ご批判はあるかもしれませんが、総理が7月末までに高齢者への接種を終えるという目標を掲げたので、「9月までに」と言っていた自治体もとにかく前倒しをして、お医者さんも1日10件の予約を20件にするかと動いてくれている。

そういう意味では、総理が大きな旗を振った効果は出ています。

総理が1日100万回という目標を掲げた分、こちらは大変ですよ。でも、今の状況を考えれば、それぐらいのペースでやらないといけません。

1日100万回を達成したら、次は150万回?

Yuto Chiba / BuzzFeed

ーー現時点で伺うのはまだ早いかもしれませんが、ここまでご自身の仕事を振り返って、どう評価されますか?

評価をするには、まだだいぶ早いな(笑)

僕はかねてから、ワクチン接種には3つの山があると言っています。

1つはとにかくワクチンを確保し、日本に持ってくる山。

6月末までに、まずは高齢者接種に必要な分のワクチンは配りきれる予定ですから、1つ目の山には、旗を立てることができたかなという気がしています。

今は2つ目の山を登っている最中です。

予診をする医師、ワクチンをうつ看護師、歯医者、救急救命士、臨床検査技師をとにかく確保する山です。

2つ目の山の頂上は1日100万回接種だと思っています。

そして、この先登らなくてはいけない3つ目の山が、若い世代の人々への接種です。

高齢者の方々のワクチン接種への意欲は非常に高い。しかし、若年層はそのほかの世代に比べて消極的であると言われています。

以前のHPVワクチンの印象などもあって、不安を抱えている人もいるかもしれない。ワクチン接種をどうしようと悩んでいる人々にきちんと情報を届けて、接種率を上げていく必要があるだろうと考えています。

ーー1日100万回に到達したら、そのペースを今後も維持されていくということですよね?

1日100万回が近くなったら、総理のことですから、1日150万回とか1日200万回とか、ドンドン山が高くなり、富士山を登ろうと思っていたはずが、気付いたら途中からエベレストになっているなんて話になるだろうなとは思っています。

ーー3つ目の山、若い世代への接種に関しては若年層になればなるほど接種に消極的というデータも出ています。例えば、こうした世代の接種を後押しするためにアメリカのようにドーナツを配る、宝くじを配るといった様々な取り組みをする可能性はあるのでしょうか?

まずはオーソドックスに、説明から入りたいと思っています。

特に変異ウイルスで重症化する人の年齢が下がってくるにつれて、若者世代でも重症化している人は増えています。

僕の知り合いのコロナに感染した人の話を聞いて怖いなと思ったのが、後遺症の問題です。

新型コロナ自体は治ったけれども、もう半年以上嗅覚が戻ってきていない。人によっては、髪の毛が抜けるといったケースもあるようです。

様々な後遺症に悩まれている方がいる。この後遺症がどれくらい続くのかは、まだわかりませんし、治療法もまだ確立されていません。

そういう意味で、発症を防ぐためにも、ワクチンを接種してほしい。

また、世界各国ではワクチンの感染予防効果を示すデータも出ています。特に若い世代は感染していたとしても、無症状であることも少なくありません。

自分の家族を守る意味でワクチンを接種するという考え方もできるのではないでしょうか。

結局、私たちはいつ接種できるのか?

Yuto Chiba / BuzzFeed

ーー高齢者への接種は進められていますが、一般への接種については、どんな見通しを持っていますか?やはりみんなが気にしているのは、自分はいつ接種できるのか、ということです。

実はすでに一部の自治体では、高齢者への1回目接種や2回目接種まで終えています。

一方で都市部は人口が多い分、他の地域よりも時間がかかってしまいます。しかし、東京23区でも7月半ばに高齢者への接種を終えるという自治体もあるのは事実です。

現在は自治体によって非常に大きな差があります。

6月21日からは企業や大学での接種も開始する予定です。

市町村の集団接種、かかりつけ医での個別接種、自衛隊などの大規模接種会場、そして企業や大学と様々なルートが生まれています。

その中で一番最適なルートで接種していただければと思います。

ーー多くの現役世代は昼間、出勤しているため住んでいる自治体にいません。その意味で「職域接種」は合理的かもしれません。

そうなんですよ。高齢者の方は居住自治体で活動されている方が多いので、居住地で接種してくださいとお伝えしても、特に問題はない。

もしかしたら高齢者接種に関しては(各自に予約を求めるのではなく)福島県相馬市のように、あなたは何月何日に来てくださいと、事前に日程を割り振った上でお伝えする方法が良かったのかもしれません。

しかし、現役世代となると通勤・通学していますし、昼間は居住地にいませんという人が多い。むしろ、東京へ通勤してくる人に対しては東京で接種しますというオペレーションの方が、接種を受ける側にとっては楽かもしれません。

まずは選択肢を広げて、様子を見たいと思います。

「今は考えるよりも前に、とにかく手を動かす」

Yuto Chiba / BuzzFeed

ーー職域接種を広げるために、補助金などで後押しする可能性もありますか?

職域接種に関しては、まずは自前で実施できる企業を想定しています。

1本2070円という定められた金額を医療機関にはお支払いしますが、それ以外の費用についてはまずは自前で用意できる企業に手を挙げてもらって、スタートする予定です。

おそらく職域接種が始まると、自分のところだけでなくグループ企業でも、といったケースや取引先や下請け先にもといったケースが生まれてくるでしょう。

これをどのように広げるのかは検討していきたいと思っています。

職域接種をやりますと言ったところ、問い合わせが殺到しています。「ちょっと待ってください」とお伝えしているところです。

「そんなに焦らないでください、ワクチンはありますから」と。

ーー1000人規模の企業からまず実施するというのは、効率性の面からでしょうか?

従業員が1000人以上の企業であれば、社内に産業医がいます。

大きな規模の企業であれば、自前で設営から実施まで色々と整備していただけるでしょうから、こちらはワクチンの供給だけをすれば良い。

まずは、そこからスタートできればと思っています。

今は考えるよりも前に、とにかく手を動かす、口に出すといった状況です。

高齢者接種を7月末までに。それ以外は自治体の裁量で

時事通信

ーー河野大臣の発信力に期待する人は多いと思います。しかし、まず大臣が最初に発信するスタイルは広く伝わりやすいメリットがある一方、厚労省からの通知が届く前に現場の自治体に住民の問い合わせが殺到し、混乱するという面もあります。こうした政治主導の副作用については、どう捉えていますか?

このワクチン接種は予防接種法に基づく自治体の業務ですとお伝えしていますが、その割には厚労省は箸の上げ下ろしまで指示するような側面もある。

「これは自治体の裁量で良い」とお伝えすると、自治体の側からは「ならば自治体の裁量で良いという通知をください」と言われる。

このようなもたれ合いの構造が、悪い方向に出てしまった場面がありました。

最初に厚労省がワクチン接種に関する手引きを公表した時には、まずは接種券を配布し、その後予約を取ってくださいという内容になっていました。

だから、自治体も接種券を配布し、その後で予約を取る段取りにした。

でも、最初に日付を指定した上で接種券を配布した方がスムーズに接種が進んだ相馬市のような事例も出てきました。こちらの方が混乱が少なく済むことが結果的に明らかになった。

その意味では、申し訳なかったなと感じています。

自治体の業務だ、と言うからには自治体にお任せする。

実はワクチンの配送に関しても当初は色々と細かいルールがあったんです。でも、これはいらないだろうと。

大事なことは

・温度をしっかり管理してください。

・ロット番号をちゃんと管理してください。

・接種したら記録してください。

この3つです。これをしっかりやってくれれば、あとは自治体の裁量で決めていただくのが一番良い。

接種の順番についても、7月末までに高齢者がうち終わるのであれば、あとは各自治体にお任せします。それはそれぞれの首長判断です。

うちでは学校の先生にうちます、保育園の保育士にうちますといったことは問題ありません。ただし、高齢者接種は7月末までに頑張ってくださいということです。

ーー国民全体がワクチン接種を終える時期の目処は?

現時点で全国でワクチン接種をしている会場は、集団接種と個別接種を合わせて4万から4万5000箇所あります。仮に各会場で1日10回ずつ接種回数を増やしてもらうことができれば、それだけで1日40万回増える。

ですから、どんどん始めてくださいと。まずは接種会場を増やし、そして次はどんどん1日の接種回数を増やしてくださいとお願いしていく。それでどこまで接種数を増やすことができるか。

職域接種を広げることで、どれだけスピードアップできるのかも現時点では見えていません。

そして、年齢が下がってくるにしたがって、接種したいと答える人の割合も下がってくる。

ですから、国民全体のワクチン接種がいつ終わるのかという見通しについては正直、まだわかりません。

(続く)

高齢者接種の予約をめぐる混乱やワクチンに関して広がるデマなどに関して聞いたインタビュー後編は6月6日に公開する。

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