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岸田総理の演説に無所属の候補者が乱入 「うるせえ!」「帰れ!」と怒号飛び交う

「全国で大激戦が続いています」と語る岸田首相。自民党の「最後の訴え」で何を語ったのか。

解散から投開票日まで17日間と、「戦後最短の選挙戦」となった今回の衆院選。選挙戦最終日の10月30日、各政党は何を訴えたのか?

与党・自民党の岸田文雄総裁と、野党第一党・立憲民主党の枝野幸男代表の街頭演説を取材した。

この記事では、JR大井町駅前で行われた自民・岸田氏の演説の模様をリポートする。

野党批判に「そうだ!」「その通り!」

自民党の「最後の訴え」と言えば、安倍晋三氏が総裁に就任した2012年以降、秋葉原が定番となっていた。

しかし、今回の衆議選の最後の演説は大井町駅前。総裁選で「自民党改革」を訴えていた岸田氏が独自色を打ち出したともとれる。

会場には1時間半以上前から、演説を待つ支持者らの姿があった。

午後7時、演説が始まる頃には周辺は聴衆であふれ、近隣の商業施設の2階、3階から演説を聞く人々の姿も見られた。

「私たちの領土のすぐ目と鼻の先で自由と民主主義を守るための戦いが繰り広げられているのに、自衛隊はいらない? 日米安保はいらない? そんな人たちに命を、この国を預けられますか?」

応援弁士の丸川珠代参議院議員が野党批判を繰り広げれば、聴衆からは「そうだ!」「その通り!」と賛同の声があがる。

岸田氏は午後7時30分過ぎに選挙カーの上に登場。「皆さんこんばんは。内閣総理大臣・自民党総裁の岸田文雄です!」と挨拶をすると、大きな拍手が巻き起こった。

岸田氏「全国で大激戦が続いています」

「日本国、4年ぶりの総選挙。この選挙もいよいよ大詰めを迎えようとしています」

「全国で大激戦が続いています」

岸田氏は冒頭、こんな風に切り出した。

続いて訴えたのはコロナ対策。病床確保や3回目のワクチン接種などの施策に続いてアピールしたのが、経口治療薬の重要性だった。

「何よりも大切なのは、治療薬。皆さんが自宅で口から飲める治療薬を実用化すべく、進めてまいります。この口から飲める治療薬っていうのが大きなポイントになるんです」

「検査を受ける、陽性だとわかる、薬をもらえるとなればドンドンと検査をしよう、検査をしなきゃと損だと皆さん思うじゃないですか」

「検査は進む、そして早期の段階から治療薬が飲めるとすれば重症化も防げる。予防と検査、治療の3つがしっかり結びつき、皆さんができるだけ平時の経済社会活動を取り戻す、大きな一歩を踏み出すことになるわけです」

「野党は盛んに分配、分配と…」

コロナ対策で平時の生活を取り戻していった先に見すえるのが、経済の再生だ。

「日本の経済、東京の活力をしっかりと取り戻していかなければなりません。しかし、経済を成長させた成果は一部の人間にとどまるのではなく、皆さん一人ひとりにしっかりと分配する。皆さんの所得・給料を引き上げるという形で経済の成長を実感していただける。こういった経済をつくっていきたい」

「立民をはじめとする野党は盛んに『分配、分配』『あれもやります、これもやります』と言っています。しかし、分配だけでは、いつか分配するものはなくなってしまうわけです。経済は続かない。結局、増税に頼らなきゃならなくなる」

岸田氏の主張に、群衆からは「そうだ!」と声があがる。

「私たち自民党は経済を成長させ、その果実を皆さんの所得として分配する。成長も、分配も両方しっかりやると言っている。ここが自民党の強みであり、野党との違いである」

無所属の候補者が演説に乱入

無所属の候補者が演説に乱入する一幕もあった。

候補者はスピーカーで「岸田さん! 岸田さん!」と必死に呼びかけるが、岸田氏の演説が止まることはなく、何事もなかったかのように進んでいく。

聴衆から「うるせえ!」「帰れ!」と怒号があがり、一人の男性がこの候補者に掴みかかった。

自民党関係者からも抗議を受け、乱入した候補者は「民主主義の妨害だ!」と主張。関係者は「だったら票をとれ!」と応戦した。

「今回の選挙は未来選択選挙」

「今回の選挙は未来選択選挙だと言われています。コロナ対策、これからもしっかり進めていく。これが皆さんに判断していただく大切なポイントです」

「また、経済対策、持続可能な経済は誰がしっかりと責任を持てるのか。これも皆さんにご判断いただきます」

「外交安全保障も自公政権に委ねるのか、共産党・立民政権に委ねるのか。これを皆さんにご判断いただかなければいけない。大切な選挙です。明日、いよいよ投開票日。皆さんの賢明なご判断をお願い申し上げます」

岸田氏が演説を終えると、陣営は「皆さん一緒に、『勝つぞ』コールを」と呼びかける。

「勝つぞ!」「おー!」
「勝つぞ!」「おー!」
「勝つぞ!」「おー!」

詰めかけた支持者らが拳を振り上げた。

岸田氏は最後に選挙カーを降りて聴衆のもとへ。

多くの人が少しでも近づこうとして騒然とする中、岸田氏は笑顔でグータッチをして回り、その場を後にした。