2019年の「過労死等防止対策白書」が発表された。
(1)週60時間以上働いている:397万人
国が過労死ラインとして定めているのは、月80時間の時間外労働だ。
労働基準法で定められている法定労働時間は原則として週40時間。そのため、週60時間働くと、月の時間外労働は過労死ラインに達する。
こうした背景から政府は、2020年までに週60時間以上勤務する労働者の割合を5%にするという目標を設けている。しかし、現状でも週60時間労働を超える人は397万人(6.9%)いることが明らかとなった。
一方で、労働者1人当たりの年間総実労働時間は6年連続で減少。「建設業」「運輸業,郵便業」「製造業」「情報通信業」が全産業平均よりも労働時間が長くなっている。
(2)仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている:58.3%
(3)職場での「いじめ・嫌がらせ」に関する相談受付件数:8万2797件
(4)仕事を理由に自殺:2018人
(5)過労死や過労自殺:158人
労災請求件数は前年度から117件増加し、2697件(脳・心臓疾患:877件/精神障害:1820件)。
そのうち労災支給が決定されたのは703件となっており、前年度と比べると56件減少した。
過労死もしくは過労を理由に自殺した人の数は158人(脳・心臓疾患:82件 / 精神障害:76件)。業種別に見た際に、特に多いのが運輸業・郵便業で32件となっている。
今回の白書では、長時間労働が多いと指摘される建設業とメディア業界に限定した調査も実施された。
厚労省は2010年1月から2015年3月までに認定された脳・心臓疾患、精神障害事案のデータを用いて分析を行った。